株式会社東京コンサーツのプレスリリース
世界がコロナ禍に覆われることとなった2020年。“今こそ芸術の力を信じよう” と、世界を舞台に活躍する異分野のアーティストの共鳴によって「Depth of Light 美術×ピアノ×現代音楽」は生まれました。
この舞台は、和紙に岩絵具という鉱物顔料を用いた作品を空間と親和性の高いインスタレーションとして発表し、国際的な評価を得る美術家・大舩真言の新作と、数多くの国際コンクールに入賞し国内外で高い評価と注目を集めるピアニスト・深見まどかの演奏により繰り広げられます。また、尾高賞・芥川作曲賞・武満徹作曲賞という著名な作曲賞の三冠に輝いた気鋭の作曲家・坂田直樹が今回のために新作「Depth of Light」を書き下ろしました。
プログラム全体は、武満徹や一柳慧など日本を代表する現代作曲家の作品や、フランスを代表する現代作曲家フィリップ・エルサンの俳句や日本の伝統文化・精神性からインスピレーションを受けた曲などで構成され、音と美術、演奏が様々な反応を生み出しながら大舩真言の演出により映像作品として統合されます。
本企画は、美術家・ピアニスト・作曲家が、各々の表現の根幹へ立ち返る中でコラボレーションに新たな可能性を感じ、未発表の新作展示や新曲の世界初演などを「映像による発信」に集約した、これまでにない新たな挑戦です。
“現代音楽や現代美術に触れる機会がなかった人々にも広く鑑賞していただきたい” という思いで、3日間限定(9月20日から22日)で「特別無料公開期間」が設けられました。そして、無料期間での広がりを経て真に作品を視聴したいと思われる方たちのためにも、より高画質での「有料配信」が10月31日まで行われます。
映像配信というパーソナルな関係性に結びつく形で届けけられるこの作品は、鑑賞者それぞれに “多様な響き合い” を生み出すでしょう。様々な意味で実験的なこの試みは、今後の芸術の新たな可能性を切り開きます。
- 〖 実施概要 〗
公演名:Depth of Light 美術 × ピアノ × 現代音楽
会場:ロームシアター京都 メインホール
無観客公演収録日:8月31日(月)
有料配信期間:9月27日(日)0:00 – 10月31日(土)23:59まで
公式サイト:http://www.depth-of-light.info
演出・美術:大舩 真言(美術家)
出演:深見 まどか(ピアノ)
作曲:坂田 直樹(新作提供)、武満徹、一柳慧、フィリップ・エルサン(Philippe Hersant)
衣装:オロール・ティブー(Aurore Thibout)
使用ピアノ:ヤマハCFX
助成:京都市文化芸術活動緊急奨励金、京都府文化活動継続支援補助金
協力:ロームシアター京都
後援:ヴィラ九条山
企画制作:大舩真言、深見まどか
主催:Depth of Light 実行委員会
《演奏曲目リスト》 ・武満 徹 : 雨の樹素描II ~オリヴィエ・メシアンの追憶に~(1992) ・フィリップ・エルサン : 3つの日本のスケッチ (2009) 1. Suma – 2. Nara – 3. Yamato ・坂田 直樹 : Afterimages II (2013) ・一柳 慧 : 雲の表情 VIII. 久毛波那礼(くもばなれ)(1989) ・坂田 直樹 : Depth of Light (世界初演) 《美術作品リスト》 |
舞台監督:浜村修司
照明:葛西健一
映像記録: 桜木美幸
写真記録:田邊真理
WEB制作:園田和也
- 〖 配信視聴方法 〗
本公演公式サイト http://www.depth-of-light.info からご視聴いただけます。 サイト画面中ほどのPV動画部分右上、「¥800でレンタル▶︎」ボタンからご視聴にお進み下さい。 |
・視聴料金 :800円
この視聴チケットのご購入で3日間(72時間)ご視聴いただけます。
・お支払方法 :クレジットカードまたはPayPal
サイト上でアカウント登録やログイン等のお手続きの上、決算となります。
・視聴推奨環境:パソコン、タブレット、モバイル端末(スマートフォン等)
Wi-Fiもしくは有線インターネット環境での視聴を推奨いたします。
- ■ 大舩・深見・坂田が綴る、この公演への想い ■
「絵の中に音が聴こえる」これは私が作品制作をする時に最も深く繋がりあっている瞬間ともいえる。 息を潜め、目の前の現象に全身の感覚を注ぐ時に立ち現れる一体感。そこには、音・光・闇・揺らぎ・温度・ 湿度・空気の振動など、様々な要素が渾然一体となっている。 私の創作の原点は人間の思考以前にあり、それは自然の中はもとより、音の中に、また人が生み出す芸術 の中にも流れている。人の息吹を込められた魂の表現には不可思議なる何かがある。 世界の状態が変化する中、今、最もシンプルに何かと向き合うことの大切さが問われている。Depth of Light – それぞれの生み出す芸術が融合する。何が起こるのか、新たな体験が始まる。(大舩真言)
光はどこまでも深く、闇と繋がっている ・・・・この暗黒時代に人々の心に火を灯すためには、芸術家同士がそれぞれの分野の垣根を超えて団結しなければと強く思い、私の挑戦が始まった。そして美術家・演奏家・作曲家の共鳴が、異分野コラボレーションという概念を超えたものとなった。 いつも私は演奏家として、「聴衆者の心の中に音楽を投影したい」と思っている。耳で聴いていても、 心に浮かび上がる様々な情景・・・目の前に見えないものを心で感じることで小さな幸せを見出す。たった一点の閃光がやがて広大な陽光となって心の奥底を満たしていくように、無の空間から浮かび上がる広大な世界。これはDepth of Lightが描こうとしている世界観に通じている。Depth of Lightが人々に稀有な感動を与え、芸術活動の新たな一歩となることを願う。(深見まどか)
絶え間なく変化し、過ぎ去っていく私たちの存在を見つめることが、私の制作における大きなテーマとなっている。その場に留まらずに消えてしまう音は、この主題に取り組むに当たっての至上の素材であると感じる。大舩真言の作品と対峙したときに、私はそこに自分自身との不思議な共鳴を聞き取る。今回の « Depth of Light » というアイデアと、大舩の芸術が持つ温度や手触りを通じて、私は自分の音楽をこれまでになかった角度から眺めることとなった。 また、深見まどかは長らく私の作品に取り組んできたピアニストである。 彼女の存在が、その共振をさらに増幅させていった。コロナ禍によって社会が揺さぶられるなかで、私たちは一度足を止めて、より本質的な事柄と向き合う必 要に迫られている。これは芸術にとっても不可避な転換点である。三人のアーティストが、いま見て、聞いているものを通じて、言葉を超えた交換を行う « Depth of Light »。私にとっては、この空間が今回の出来事と向き合う出発点となるだろう。(坂田直樹)
- ■ 作曲家フィリップ・エルサン氏からのメッセージ ■
20年以上前に、松尾芭蕉の俳句に触発されて短いピアノ曲を書き始めました。それはある種、定期的に自分の内面を見つめる作業を続けるための秘密の日記のようなものでした。2004年に、俳句から構想を得て24曲からなるEphémères(エフェメール)と言う大作を作曲しましたが、その後も私は俳句や和歌を読み続け、日本文化の精神性や美学、詩的な感性は、私を魅了し続けました。「ピアノソロのための3つの日本のスケッチ」は2009年に作曲し、フランスのLes Flâneries de Reims(ランス夏の音楽祭)で初演されました。この作品は与謝蕪村の俳句からインスピレーションを受け、蕪村が訪れた場所を想起させる構成になっています。
深見まどかさんはこの曲を世界で初めて録音した人で、この才能あるピアニストによって京都で私の作品が演奏されることがとても嬉しく、光栄です。Depth of Light公演のコンセプトはこの作品の作曲概念と通じているようにも感じます。美術家の大舩真言さんの作品によるインスタレーションと共に、この素晴らしいプロジェクトに参加できて心から嬉しく思います。パンデミックの最中にこのような大きな挑戦をするにはどれだけの勇気が必要だったでしょう。日本へ深い敬意を込めながら、この公演のご成功をお祈りいたします。- (フィリップ・エルサン)
- ■ アーティストプロフィール ■
大舩 真言(おおふね・まこと)| 美術家
1977年生まれ。2001年、京都教育大学特修美術科日本画専攻研究科終了。和紙や岩石に岩絵具を塗り重ねる伝統と現代の融合した独自の作品は、これまで美術館やギャラリーに止まらず国内外の世界遺産や、教会、寺院などでも展示され、作品と場との相互作用によって生み出される臨場感漂うインスタレーションは、他に類を見ないものとして国際的に高く評価されている。平成27年度文化庁新進芸術家海外研修員として1年間パリに滞在。2018年にはフランス・パリで開催された大規模な複合型文化芸術イベント『ジャポニスム 2018:響きあう魂』の公式企画の舞台公演(会場:フィルハーモニー・ド・パリ)で、新作「VOID」によるインスタレーションを行うなど幅広い活動を展開している。 近年の主な個展としてMAKOTO OFUNE(OLIVIER MALINGUE|ロンドン ’20)、WAVE(YOSHII GALLERY|ニューヨーク ’17)、Particules en Symphonie(St-Merry 教会|パリ ’16)ほか、グループ 展 blue.(Nassau County Museum of Art|ニューヨーク’20)、ON THE ART OF BUILDING A TEAHOUSE(Neues Museum Nürnberg|ニュルンベルク ’17)ほか多数。パブリックコレクションには、ザ・リッツカールトン京都、フォーシーズンズホテル京都や Villa La Coste|Château-La-Coste(フランス)など多数。 http://www.ofunemakoto.com/
深見 まどか(ふかみ・まどか)| ピアニスト
1988年京都市生まれ。華麗な技巧と音色でフランスを中心にヨーロッパで高い評価を得る期待の若手ピアニスト。東京藝術大学音楽学部付属音楽高等学校、同大学音楽学部を経て、パリ国立高等音楽院修士課程ピアノ科、古楽科、室内楽科を審査員満場一致の首席で卒業。ロン=ティボー国際コンクール、ブゾーニ国際コンクールなど10個以上の国際コンクールに入賞。ヴァンクライバーン国際コンクール、ショパン国際コンクールではディプロマ獲得。青山音楽賞新人賞受賞。フィガロジャポン紙のパリ特集では若手演奏家を代表して、ジョルジオ・アルマーニ氏らと共に紹介された。ソリストとして、ベルギー王立ワロニー管、パリ室内管、ポルト国立管、フランスパドルー管、イタリアバーリ市立管、芸大フィル、西本智実指揮イルミナートフィルなどと共演。シャンゼリゼ劇場、カーザダムジカ、Bozarなどヨーロッパ各地で演奏し、仏PassavantMusicから2枚のCDをリリース、iTunesやSpotifyで配信中。マリア・ジョアン・ピリスらと共にポルトガル大統領の前で演奏し絶賛を博す。東京ではヤマハミュージックジャパン主催「ドビュッシーピアノ作品全曲演奏チクルス」を成功させた。 http://www.tokyo-concerts.co.jp/artists/madokafukami/
坂田 直樹(さかた・なおき)| 作曲家
1981年、京都市生まれ。2007年、愛知県立芸術大学、08年、 パリ・エコール・ノルマル音楽院をそれぞれ首席で卒業。13 年、パリ国立高等音楽院を修了、14年、IRCAMにて研修を受ける。これまでにSACEM賞、第36回入野賞、武生作曲賞など受賞多数。管弦楽作品《組み合わされた風景》は、2017年度 「武満徹作曲賞」第1位、第66回「尾高賞」、そして第28回「芥川作曲賞」という日本音楽界で最も権威ある作曲賞で三冠に輝き、1作品での3つの作曲賞受賞は史上初となった。作品は ヨーロッパ、アジア、北米、南米で演奏されており、これまでにルートヴィヒスブルク音楽祭、武生国際音楽祭、フェスティヴァル・ミュジカなど著名な音楽祭で作品が取り上げられ、それらはNHK交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、アンサンブル・ノマド、アンサンブル2E2Mなど、威信のある団体により演奏されている。現在はパリを拠点として、フランス文化省、フランス・ミュジーク(ラジオ・フランス)、サントリー芸術財団 などから、数多くの国際的な委嘱を受けている。4月から名古屋フィルハーモニー交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンスに就任。 https://naokisakata.net
▼本公演PV動画はこちらから
https://youtu.be/53U1nh2Dz-E