株式会社WOWOWのプレスリリース
日本時間の12月15日、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのT-Mobileアリーナで『UFC245』が開催される。
カマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントンのUFCウェルター級タイトルマッチをメインイベントに、マックス・ホロウェイvsアレクサン
ダー・ヴォルカノフスキーのフェザー級タイトルマッチ、アマンダ・ヌネスvsジャーメイン・デ・ランデミーの女子バンタム級タイトルマッチと、豪華3大タイトルマッチが組まれた今大会。
この中のウスマンvsコヴィントン、ホロウェイvsヴォルカノフスキーの見どころを、WOWOW『UFC -究極格闘技-』解説者としても知られる“世界のTK”髙阪剛に語ってもらった。
——豪華カードがずらりと並んだ『UFC245』ですけど、メインイベントのウェルター級タイトルマッチ、ウスマンvsコヴィントンのポイントはどの辺にありますか?
「そもそも二人ともトップレスラーなんですよね。」
――ウスマンはNCAAディヴィジョン2のレスリング全米王者、コヴィントンもNJCAA全米王者です。
「だから二人とも、最終的にテイクダウンを奪ってグラウンドでコントロールしたいんですけど、その前に、どちらがスタンドで主導権を握れるか、そこがまず第一のポイントになってきますよね。いきなりタックルにいっても、お互いテイクダウンディフェンス能力も高いので、なかなか取れないと思いますから。」
――王者ウスマンの特長としては、どんな点が挙げられますか?
「ウスマンの方は、構えが大きいんですよ。ボクシングの構えよりワイドなスタンスで、打撃もそこから打つので、構えそのものがタックルを読みづらくさせているんです。だから相手も簡単に足を取られたりするようなことが起こっている。」
――打撃がくるのか、タックルがくるのかが分かりづらいと。
「また、おそらくウスマンは右も左も同じように動けると思うんです。だから組んだ時、右組でも時折、左組の動きをしたりする。だから相手は思いもよらないタイミングで、エルボーをもらってしまったりするんですよね。前回、タイロン・ウッドリーを破って王座獲得した試合でも、組んで左のヒジを当ててテイクダウンにいくという流れがあったんです。あの時もウッドリー程の選手でも、対応できませんでしたからね。余程、相手からすると分かりづらい動きをするんだろうと思います。」
――また、予測してない攻撃こそ効くわけですしね。対するコヴィントンは前回、元王者のロビー・ローラーを圧倒してその実力を見せつけましたけど、いかがですか?
「ウスマンとコヴィントンを比べると、前半1、2ラウンドで前に出て行く圧力という部分では、コヴィントンの方が優っていると思いますね。」
――前半はコヴィントン有利じゃないかと。
「その反面、試合後半になってくると、ものすごく分かりやすく疲れるんですよ。ただ、動きが悪くなっても、相手に攻め込まれるまでの状態にはならないので。感じとしては1、2ラウンドを確実に取って逃げ切るような試合が多い。ハファエル・ドス・アンジョスとの試合でも、後半は逆にテイクダウンを奪われていますから。あれは技術的な問題というよりも、タックルを切るだけの体力が残っていなかったんじゃないかと。だから穴があるけど、前半圧倒的に強いのがコヴィントンという気がしますね。」
――コヴィントンはサブミッションの極めも強いですよね。
「その極めが強いというのも、瞬発的な力の強さからきているんですよ。サブミッションっていうのは、極める瞬間、ものすごくエネルギーを使うので。それでウスマンの方は、全体を通してのスタミナやフィジカルコントロールで優っている。5ラウンドを終始同じペースで攻め続けることができる選手ですから。ウッドリー戦では、4ラウンドから動きがさらに良くなるという、普通では考えられないことが起きていたので、これはまた“理解ができない系”ですよ(笑)。」
――UFC王者特有の、常識を超えた強さを持っていると。
「だから、今度のタイトルマッチでもおそらく最初からコヴィントンは仕掛けると思いますが、それをウスマンがしのぐか、もしくは逆にカウンターで打撃を当てるとかテイクダウンを取るなど、そういうことが起こせるかどうか。もしくは、コヴィントンがしっかりアドバンテージを取るだけの攻撃ができるかどうか。そこが大きなポイントになりそうですね。」
――では、この試合は1~2ラウンドが要注目というわけですね。
「そうだと思います。ただ、コヴィントンも後半スタミナが切れても、組んでからのねちっこい攻撃を仕掛けることができるので、後半になってからの組みの展開をどっちがコントロールするか。そこも、もう一つのポイントとして挙げておきたいと思います。」
——もう1試合、ホロウェイvsヴォルカノフスキーのフェザー級タイトルマッチ、これも激しい試合になりそうですね。
「どっちも引かない、気が強いタイプですからね。そして両者ともにフィジカルが強くて、スタミナがあって、打たれても気にしないという。長身でリーチが長いホロウェイと、小柄でガッチリしたヴォルカノフスキーで体型は全然違いますけど、そこは共通しています。」
――この一戦は、フェザー級で圧倒的な強さを見せる王者ホロウェイと、現在MMA17連勝中のヴォルカノフスキーというまさに頂上対決ですが、ホロウェイは前回、ヴォルカノフスキーと似たタイプの小柄なパワーストライカーであるフランク・エドガーに完勝していますから、やはり王者が有利ですかね?
「自分は、必ずしもそうとは言えない気がしますね。ホロウェイは、エドガー戦で勝ちはしたんですけど、ブライアン・オルテガやジョゼ・アルドを圧倒していた時の感じではなかった気がするんです。」
――確かに、これまでのような残酷なほどの圧勝ではなかったです。
「何が違うんだろうと思って、エドガー戦の映像をあらためて細かいところまで観てみたんです。ホロウェイの強みというのは、“オフバランス”と言って、態勢が崩れかけても強打が打てるところにあるんですよ。綺麗にまとまったボクシングやキックの技術だけじゃなく、“なぜ、こんなところから打てるんだ?”というような打撃が、大きな武器になっていた。でもエドガー戦では、それがあまり見られなかったんですよね。極力正しい姿勢の時に打撃を打とうとしていた感じがあって。」
――荒々しい感じではなく、慎重かつ冷静に戦ってる感じはしました。
「これはあくまで憶測なんですが、エドガー戦の前に1階級上のライト級暫定王座決定戦でダスティン・ポワリエと対戦した時、もしかしたら無理な体勢から打撃を出し続けたことで疲れてしまったので、そこを修正する必要性が生まれたんじゃないかと思うんです。」
――それによって、ホロウェイ最大の武器が削がれたのではないかと。
「ホロウェイは通常の打撃もものすごく強いんですけど、いわゆる“Xファクター”的な要素っていうのは、オフバランスの時に出す打撃で、それで今まで勝ってきたと言っても間違いではないと思うんですよね。それがもし鳴りを潜めて、小さくまとまってしまったのだとしたら、ヴォルカノフキーのようなガシガシくるファイター相手だと、危ないかもしれません。」
——ヴォルカノフスキーは、怖いものなしでどんどん出てきますからね。
「技術的にも基本に忠実でありながら、とにかくフィジカルが強いので、プレッシャーをかけた後の暴れ方が尋常じゃないですよね。両者ともに、打撃を効かされてから気合が入るタイプでもあるんですけど、気持ちの面で同じタイプ同士だと、追いかける側の方が有利なんですよ。だから個人的にホロウェイには、元の雑っぽいけど、相手を完璧に効かせて仕留めるような戦いをしてほしいな、とは思っています。」
――簡単に言えば、ホロウェイらしさを取り戻してほしい、と。
「そうですね。ヴォルカノフスキーは気持ち的にも乗ってると思うので、いわゆる正統的なスタイルだけで勝ちに結びつけるのは難しいと思いますから。ホロウェイが、荒々しく暴れられるかどうか、にかかっているのではないかと思います。」
(取材/文・堀江ガンツ)
◆◆WOWOW『UFC-究極格闘技-』放送スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC245 in ラスベガス 怒涛のトリプルタイトルマッチ!UFC全勝の王者ウスマン、初防衛なるか!?』
12/15(日)午後0:00[WOWOWライブ]生中継
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)
12/21(土)午前7:30[WOWOWライブ]リピート
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)
【対戦カード】
<ウェルター級タイトルマッチ> カマル・ウスマン vs コルビー・コヴィントン
<フェザー級タイトルマッチ> マックス・ホロウェイ vs アレクサンダー・ヴォルカノフスキー
<女子バンタム級タイトルマッチ> アマンダ・ヌネス vs ジャーメイン・デ・ランダミー
【収録日・収録場所】
2019年12月14日/アメリカ・ネバダ州ラスベガス T-Mobileアリーナ
【出演】
解説:髙阪剛、堀江ガンツ
実況:髙柳謙一
進行:渋佐和佳奈
■詳しくはWOWOW番組オフシャルサイト(https://www.wowow.co.jp/sports/ufc/)をチェック!
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