5G活用に向け、モバイルIP網を利用した映像伝送・カメラの遠隔制御によるスポーツ中継の実証実験を実施

株式会社TBSテレビのプレスリリース

株式会社TBSテレビは、2020年11月12日から15日の間、CSTBSやBS-TBS、TBS系列で中継を行ったスポーツ番組「2020三井住友VISA太平洋マスターズ」にて、5G活用に向けたモバイルIP網を利用した映像伝送・カメラの遠隔制御の検証を行いました。
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)が提供するキャリアクラウドサービスを用いて、IPと親和性の高いパナソニック株式会社(以下、パナソニック)のカメラシステムと株式会社ソリトンシステムズ(以下、ソリトンシステムズ)のモバイルIP中継器の最新機種を利用した実証実験に成功、その一部をテレビ生中継で利用しました。

 ゴルフ中継でのワイヤレスカメラは、選手に密着するなど臨場感のある絵作りに欠かせませんが、映像を伝送するためゴルフ場内にFPU(テレビジョン放送用の無線伝送装置)の受信点を複数設置して放送専用のエリアを構成し、カメラ側では送信アンテナの向きを常時コントロールする必要がありました。また、一般的なFPUは片方向通信による映像伝送のみであり、カメラ制御等はできないため、カメラのアイリスコントロール(明るさ調整)等はカメラマンが自ら行う必要があり、無線機を通じてカメラマンに指示を出すことにより行っていました。
 またゴルフコースに高いイントレ(組み立て式の足場)を設置してカメラマンを配し、地上高約25メートルの高さからのカメラ映像も、ダイナミックな絵作りのため多用してまいりました。
 そこで、今回の実験では、①ワイヤレスカメラ(有人)と②イントレの高所に置いた無人のカメラから、映像をモバイル回線で伝送し、同時に拠点となる現地センターからモバイル回線で伝送した制御信号を用いてセンターからカメラのコントロールが実現できることを実証いたしました。
 映像の伝送路には、5G時代に求められる低遅延※1、高セキュリティなどMEC(Multi‐access Edge Computing)※2 の特長を持つドコモのクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド®」のオプションサービス「クラウドダイレクト™」を用いました。
 同サービスは接続端末とクラウド基盤間の通信経路を最適化することで”ネットワーク伝送遅延を低減”し、ドコモ網からインターネットに出ることなく閉域網の中で端末同士をダイレクトに繋ぐことで高セキュリティ通信を実現しています。今回のゴルフ場では、無線区間の伝送はカバーエリアの広いLTE通信を利用しましたが、一般的なLTEサービスに比べても低遅延・高セキュアを実現しています。なお、クラウドダイレクト™を使用し、伝送した映像をオンエアで使用するのは、放送業界初の取り組みとなります。
 ハイビジョン映像伝送には、ソリトンシステムズのモバイルIP中継器ZAO-SHを使用し、新たに採用されたプロトコルにより今まで以上に低遅延な伝送が可能となりました。なお、モバイルIP中継器ZAO-SHをオンエアで使用するのは、放送業界初の取り組みとなります。
 またパナソニックのカメラシステムは標準機能としてIPリモート制御に対応しているため、カメラ側にはクラウドダイレクト™による5G通信端末を接続するのみ、操作を行う拠点側でもリモコンに5G通信端末を接続するのみの非常にコンパクトな構成を実現できました。

 

イントレの様子

イントレ上に設置した無人カメラ

ワイヤレスカメラを遠隔で操作している様子

実証実験構成図

 今回の実験により、インターネット固定回線が現場に用意できない場合でも、モバイル網にて低遅延のリアルタイム映像伝送を行うとともに、遠隔地からリアルタイムでカメラ制御が可能であることを確認しました。これにより、ワイヤレスカメラの映像品質が現地センターで一括管理できるようになるとともに、高所などでも無人カメラの遠隔制御による映像制作が可能となるなど、番組クオリティの向上だけでなく、放送番組制作現場での機材・人員の最適化の推進に繋げられると考えます。
 TBSテレビでは、5Gの普及拡大に合わせ、引き続きキャリア網も利用した映像音声制御信号の伝送方法・番組取材中継方法・リモートプロダクションの研究を進めて参りたいと考えます。

※1…各種条件により遅延時間は変動するため、ネットワークの伝送遅延が必ず一定以下になるといった保証をするものではありません。
※2…MECとは、移動通信網において、お客さまにより近い位置にサーバーやストレージを配備する仕組みです。
*「ドコモオープンイノベーションクラウド®」「クラウドダイレクト™」は株式会社NTTドコモの商標です。

今、あなたにオススメ