株式会社NHK出版のプレスリリース
貧困や差別に苦しむ家族や人々といった、社会の見過ごされがちな側面を一貫して撮り続けてきた二人の映画監督、是枝裕和とケン・ローチ。彼らの目に、不寛容・不平等の増す世界はどのように見えているのか。二人が語り合い話題となったNHK番組「クローズアップ現代+ 是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る」と「BS1スペシャル 是枝裕和×ケン・ローチ 映画と社会を語る」の内容をもとに、2020年6月以降に追加取材を行ったうえで、大幅に加筆修正した新書『家族と社会が壊れるとき』が発売となります。
コロナ禍で拍車がかかる分断と格差をいかに乗り越えるべきか。搾取する側・される側という、単純な二項対立に終わらない複雑な現実の姿を、深い洞察と想像力によって浮かび上がらせた対話と書き下ろしを収載した一冊です。
- 本文より
パブリックなものがナショナルなものに回収されていくのは、この国だけではなく、いま全世界的に起こっていることです。そんな危うい時代にさしかかっています。パブリックには、多様性と寛容の精神が必要です。これはじつに難しい価値観です……
だから、わかりやすいナショナルのほうに、人々は容易に流されてしまうのでしょう。でも僕は、その流れには何としても抵抗しなければいけないと思っています。
――是枝裕和
- 本書の構成
第一章 『万引き家族』と『家族を想うとき』から見えてくるもの(是枝裕和)
第二章 <対談>家族と社会をめぐって(是枝裕和/ケン・ローチ)
第三章 壊れゆく社会のなかで イギリス・ヨーロッパ・世界(ケン・ローチ)
第四章 「悪い時」を乗り越えるために(ケン・ローチ)
第五章 ナショナルへの回収にいかに抵抗するか(是枝裕和)
- 著者
是枝裕和(映画監督、テレビディレクター)
1962年、東京生まれ。1987年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。1995年、『幻の光』で映画監督デビュー後、国内外の映画賞を多数受賞。2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。2018年、『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。
ケン・ローチ(映画監督)
1936年、イングランド中部ウォリックシャー州生まれ。「キャシー・カム・ホーム」で初めてTVドラマを監督、『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビューを果たし、『ケス』でカルロヴィヴァリ国際映画祭グランプリを受賞。その後、世界三大映画祭などで高い評価を受け続けており、カンヌ国際映画祭では『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の2作でパルムドールを受賞。
- 商品情報
出版社:NHK出版
発売日:2020年12月10日
定価:880円(本体800円)
判型:新書判並製
ページ数:208ページ
ISBN:978-4-14-088642-7
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4140886420