株式会社朝日新聞出版のプレスリリース
火坂雅志氏と伊東潤氏の共作による長編歴史小説『北条五代』が発売となった。NHK大河ドラマ原作ともなった『天地人』などで知られる火坂氏が、2015年に急逝したために未完となった作品を、伊東氏が引き継いで完結させたものでである。
亡くなった作家の未完作品を別の作家が書き継いで完成させるケースは極めて珍しい。
最近では『屍者の帝国』が挙げられるぐらいだ。伊藤計劃氏が構想し冒頭の草稿を遺して伊藤氏がガンで早逝し、その後を親友の円城塔氏が書き継いで完成させたものである。
『北条五代』は、初代・早雲から最後の第五代・氏直に至るまでの百年に及ぶ北条氏の興亡を描いた大河巨篇。北条氏五代にわたる歴史を描いた作品は、おそらく初めてだろう。
【内容紹介】
早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直の五代百年にわたる北条氏の興亡を描いた歴史巨編。伊勢新九郎盛時(後の北条早雲)は今川家の内紛を取りまとめ、やがて伊豆・相模を平定する。早雲を継いだ第二代・氏綱は武蔵・駿河にまで進出し、北条家の地歩を固めるが……。
【推薦コメント】
「火坂さんと伊東さんの執筆魂が宿ったような迫真の出来。これを快挙といわずして何を快挙というのか」(文芸評論家:菊池仁氏)
「本作品には、日本の閉塞感を打ち破り、未来を切り開くためのメッセージに満ちている」(文芸評論家:末國善己氏)
【本文から】
早雲の生涯をつらぬいた思想の根幹は、政敵にはいかなる謀略を用いることも辞さないが、自身に対しては禅僧のごとき厳しい節制を課し、領国の民にはつねに誠実に接して噓のない政治をおこなうことにある。
遺訓の原文にも、
――上下万民に対し、一言半句も虚言を申すべからず。
ある。
彼が理想としたのは「祿壽應穏」、すなわち領民の財も命も穏やかであるべしという思想である。数ある戦国大名のなかで、これほど民政に心を砕き、民に慕われた男もあるまい。その意味で、早雲は異色の武将といっていい。
(本文「第一部」より)
【著者コメント】
今、冥府におられる火坂さんに心残りがあるとしたら、『北条五代』を完成させられなかったことだろう。私たち後進にできることは、その無念を無念として終わらせず、バトンを引き継ぐようにしてゴールまで走りきることだ。
かくして、火坂さんの未完の大著『北条五代』を完成させることができた。
今はゴールにたどり着けたという喜びと、火坂さんの名に恥じない作品に仕上がったかどうかという不安が交錯している。
だが少なくとも、天の火坂さんは、この作品の完結を喜んでくれているだろう。
――伊東 潤
『北条五代』(上)(下)
著者:火坂雅志 伊東潤
判型:四六判上製
定価:上巻1900円+税 下巻1950円+税
発行:朝日新聞出版
発売日予定:2020年12月7日(金曜日)
上巻:本文404ページ 下巻:432ページ
<『北条五代』(上)>
https://www.amazon.co.jp/dp/4022517379
<『北条五代』(下)>
https://www.amazon.co.jp/dp/4022517387