鼓童 NEW BEAT VISION PROJECT PR事務局のプレスリリース
太鼓芸能集団「鼓童」は、2020年5月23日(土)より、ロベール・ルパージュが演出を手掛ける「鼓童×ロベール・ルパージュ〈NOVA〉(ノーヴァ)」を世界に先駆けて上演いたします。さらに、チケット一般発売を2019年12月15日(日)よりスタートいたします。チケット発売に先立ち、第2弾トレーラー動画の公開と共に、写真家 伊藤大輔が手掛ける最新のキービジュアル、演出を手掛けるロベール・ルパージュの最新インタビューを初公開いたします。
▼第2弾トレーラー動画
https://youtu.be/1HPgvtSK7nc
11月上旬、カナダ・ケベックにて「鼓童×ロベール・ルパージュ〈NOVA〉」の稽古が行われました。ロベール・ルパージュは共に公演を作り上げる鼓童メンバーについて「初めて鼓童と会った時、彼らは『視覚的な表現』を追求しようとしている印象を受けました。それは至って当然のことですよね。なぜなら、彼らは『響き』や『音楽』に強いこだわりを持つパフォーマーだからです。視覚的な表現を我がものにできるようになれば、それはとても素晴らしいことだと思います」と語りました。
ロベール・ルパージュのインタビュー全文、〈NOVA〉メンバーのインタビュー全文は、2019年12月15日(日)、公式サイトにて公開いたします。(公式サイト:https://www.kodo.or.jp/nova)
◆ロベール・ルパージュ インタビュー(インタビュー実施日:11月9日)
Q.ロベールさんは、これまでさまざまな手法を駆使して舞台を作られてきました。今回は、太鼓とテクノロジー。この発想はどのように生まれたのですか?
A.初めて鼓童と会った時、彼らは「視覚的な表現」を追求しようとしている印象を受けました。それは至って当然のことですよね。なぜなら、彼らは「響き」や「音楽」に強いこだわりを持つパフォーマーだからです。視覚的な表現を我がものにできるようになれば、それはとても素晴らしいことだと思います。
ただ、私は日本人ではないので、日本独特の色彩表現には足を踏み入れようとは思いませんでした。一方で、日本的表現とはまた違う、普遍的な色彩感覚も存在すると思います。私はそこに着目したり、日本の伝統的な手法を保ちつつテクノロジーを使ったりすることで、パフォーマンスを高めようと思いました。
テクノロジーを持ち込むにあたっては、常に慎重に考えなければなりません。テクノロジーそのものに特別な意味を持たせてしまい、伝統的なパフォーマンスの趣旨から離れてしまうようなことは避けなければいけません。あくまでも、テクノロジーはアーティストのパフォーマンスを高める手段。なので、特定のテクノロジーを使う必要はないと思っていました。
Q. 〈NOVA〉のテーマは、 「サイマティクス」です。一般的には、音波によって物体を振動させることだったり、音の可視化という意味で使われる言葉ですよね。なぜこのテーマを選ばれたのでしょうか?
A.サイマティクスは、振動、リズム、ビートといった音楽の概念に密接に関わっています。サイマティクスの理論によれば、私達が目にするあらゆる形状や形式の中に「世界」が存在するということ。肉体さえも「音」によって形づくられるということになります。かつてビッグバンが起こった瞬間、宇宙には自由に移動する無数の細胞や分子がありました。それらの粒子はやがて、さまざまな形状や形式を取りながら一つにまとまりました。なぜなら、ビッグバンの爆発音には、あらゆる周波数、振動、そして音符が含まれていたからです。
これを表現できたら面白いのではないかと思いました。鼓童のパフォーマンスを目の当たりにすると、圧倒的な振動や響きを体感します。パフォーマンスを繰り広げられると、観客のほうも変わっていく。私はこの作品を通して、魂、心、精神、身体、そしてこの世界の形状や形式のどれもが、音や振動、リズムによって変化してしまうということを表現しようとしました。
Q.今回の作品をロベールさんの言葉で説明していただけますか?
A.簡単に言うと、世界や宇宙の創造に関する作品です。その中での人間の体験や、どのように人間が世界と対峙するかを表現しています。闇と光という2つの領域があり、闇と光を往来し、その過程で何を学ぶのかという問いは常に存在します。つまり、それが〈NOVA〉のすべてと言えるでしょう。
世界と、その発展や進化について、そして自滅へと向かう道を表現しています。作品を通じて政治的なメッセージや「大変だ!」「世界を救わなければ」というようなことを伝える意図は一切ありません。過去の混乱から学び、今私達が暮らしている信じられないほど複雑な世界と人間の体験との間でどのように折り合いをつけるか、ということ表現したいのです。
Q.稽古期間も残すところわずかとなりましたが、現段階での作品の状態や、これからの「詰めの作業」に対する心境を教えていただけますか?
A.長期にわたって作品に取り組んでいると、「これで十分だろうか。すべてやり尽くしただろうか。私達の意図は観客にきちんと伝わるだろうか」という思いに常に駆られるようになります。しかし、私達は今、やれることはやり尽くしたと言える非常に贅沢な地点にいます。少なくとも満ち足りています。
まだ編集という膨大な作業が残っていますが、何が重複しているのか確認し、二度も三度も繰り返している箇所はすでにわかっていて、そこで取捨選択が必要になります。アーティストにとって苦痛を強いられる選択も出てくるでしょう。なぜなら、一生懸命作り上げたものを削除しなければならないからです。今は、このハラハラするような手に汗握る段階です。
次に新しい局面が待っています。最終調整の段階では、すべてのアイディア、プロジェクト、楽曲、その全てが非常に興味深いものになっています。それらを1つにまとめると、別の意味を持ち始めます。これも作品創作の一部です。現在、1つの大きな流れになるようにすべてをまとめている段階なのですが、良くも悪くも、予期していなかったものが突如として見え始めます。現段階では、完成した作品に私は大変魅了されています。なぜなら、素晴らしいものがありすぎるからです。どうぞご期待ください。
――太鼓と創造力がつくりだす、新・視聴体感芸術〈ノーヴァ〉
ロベール・ルパージュが演出を手掛ける、「鼓童×ロベール・ルパージュ〈NOVA〉」は、日本文化と最先端ビジュアルテクノロジーが融合する、新・視聴体感芸術です。映像や光、演者の動きをプログラミングして実現する“音を見る”=サイマティクス(意味:音や振動の可視化)。プロジェクションマッピングではなく、太鼓の音に合わせて、打ち手の生のリズムにテクノロジーが反応。音から動きが起こり、繋がり、物語が構築されます。人間本来の根源的なものを表現しながら、人が生きる上で忘れてはいけない、希望や夢など、「目には見えにくいもの」を表現します。
- 「鼓童×ロベール・ルパージュ〈NOVA〉」公式サイト
――2020 年 5 月 23 日(土)、世界初演
2020 年 5 月 23 日(土) 、東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
の世界初演を皮切りに、熊本、新潟、山形、神奈川、愛知、大阪を巡演しま
す。〈NOVA〉はラテン語で新しいという意味。鼓童とロベール・ルパージ
ュが織りなす、見たことも感じたこともない新しい世界をお楽しみくださ
い。
https://www.kodo.or.jp/nova
◆東京公演概要
・公演名:「鼓童×ロベール・ルパージュ〈NOVA〉」
・演出:ロベール・ルパージュ
・公演日程:2020年5月23日(土)~31日(日) ※休演日:5月27日(水)
・劇場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
・チケット発売日:2019年12月15日(日)
・主催:北前船、豊島区、公益財団法人としま未来文化財団
・後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所
・製作協力:Ex Machina
・Technological partner for video and tracking:VYV
・協力:KAAT神奈川芸術劇場、よこすか芸術劇場((公財)横須賀芸術文化財団)、フェニーチェ堺
・特別協力:読売新聞社
・助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
・企画:製作・著作:北前船
◆公演期間・公演地情報
・5月14日(木)・16日(土):よこすか芸術劇場 ※プレビュー公演
・5月23日(土)~31日(日):東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
・6月7日(日):熊本県立劇場 演劇ホール
・7月10日(金)~12日(日):新潟県民会館 大ホール
・7月25日(土):やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館) 大ホール
・9月3日(木)~6日(日):KAAT神奈川芸術劇場
・9月11日(金)~13日(日):愛知県芸術劇場 大ホール
・9月19日(土):厚木市文化会館 大ホール
・9月26日(土):フェニーチェ堺 大ホール
◆伊藤大輔(写真家)
1976年宮城県仙台市生まれ。明治大学卒業後、スペイン、バルセロナのIDEPにて2年間写真を学ぶ。その後中南米に渡り、ブラジル、リオデジャネイロのスラム街にて活動を開始し写真家となる。
2016年帰国。現在は写真家兼秦野市議会議員。
◆ロベール・ルパージュ(演出)
ロベール・ルパージュは、演出家、脚本家、俳優、映画監督としても大成をおさめている。演劇に対するクリエイティブで独創的なアプローチにより世界的な賞賛を得、特に新たなテクノロジーを駆使することで古典的な舞台演出の概念を根本から揺るがした。著名な舞台作品としては、『ドラゴンズ・トリロジー』、一人芝居である『887』、オペラ作品『ファウストの劫罰』、マルチメディア作品においては『The Library at Night』、そしてシルク・ドゥ・ソレイユの『KÀ』及び『トーテム』などがある。©V. Tony Hauser
◆太鼓芸能集団 鼓童
佐渡島を拠点に、太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年ベルリン芸術祭でデビュー。以来50の国と地域で6,500回を越える公演を行う。劇場公演のほか、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」や、多様なジャンルのアーティストとの共演、国際芸術祭、映画音楽等へ多数参加している。2012年から2016年まで坂東玉三郎氏を芸術監督に招聘。2017年「幽玄」で坂東玉三郎氏と再共演を果たし、翌18年には歌舞伎座において新作歌舞伎「幽玄」として演奏で参加した。近年は石川さゆり、初音ミク、AI、元ちとせ、ブラフマンらと共演。2019年には19年ぶりの中国ツアーを成功させたほか、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」開会式、「国立競技場オープニングイベント ~HELLO, OUR STADIUM~」に出演。