花王のプレスリリース
2019年5月、花王は、“個性が輝く顔”をアートとサイエンスの両面から探求するため、2倍サイズの顔の彫像作品を制作する現代美術家Kazu Hiro氏と共同研究を開始したことを発表しました。このレポートではKazu Hiro氏による彫像の制作過程に焦点を当て、作品がどのようにでき上がっていくのかを紹介していきます。第4回目は、髪や眉毛、産毛の植毛の過程。
【頭髪の毛を加工する】
シリコーンの肌に色がついた後は、髪の毛や眉毛など毛を植えていく工程に入ります。
まずは頭髪です。Kazu Hiro氏の作る顔の体積は実物の8倍ほどの大きさになるので、頭髪も人毛では細すぎます。そこで今回は、花王が開発した製剤で処理した人毛を太く膨らませ、使用することにしました。これにより、オードリー・ヘプバーンのストレートで細く、なめらかで艶やかなブルネット(ダークブラウン)の髪の毛を再現することができたのです。晩年の像には白髪を混ぜることで年齢を表現しました。
【頭皮への植毛】
人間の頭髪は十数万本と言われていますが、Kazu Hiro氏は、このシリコーン像に頭髪を一本一本手で植えていきます。針を使って毛をシリコーンの肌に植え込んでいくのです。人間の頭髪は、つむじを中心に渦を巻くように生えています。この像でもそれを再現するように、一本一本毛の向きと角度を微妙に変えながら植えています。朝から晩まで植え続けても数週間かかる、気の遠くなるような根気のいる作業ですが、少しでも気を抜いて毛と毛の間隔が狭くなると、そこだけ黒く固まって不自然に見えてしまいます。常に集中して、等間隔を保って植えていきました。
【 まつ毛、眉毛、産毛を植える】
眉毛と まつ毛には、先が尖って太さがちょうどよい毛を使いました。若い像には濃い色、晩年の顔には薄い色を選ぶことで、年齢に伴う変化も再現しました。
さらに、細さが人間の産毛にちょうどよい白い毛を、頬を中心に植えました。光が当たった時に産毛がハイライトのように明るくなるので、肌の質感がよりリアルになりました。
※本彫像は、オードリー・ヘプバーンを忠実に再現したものではなく、アーティストの解釈によって作られています。
AUDREY HEPBURN™ – TRADEMARK & COPYRIGHT – PROPERTY OF SEAN HEPBURN FERRER AND LUCA DOTTI – ALL RIGHTS RESERVED