公益財団法人東京二期会のプレスリリース
『ルル』2021日8月28日(土) 〜31日(火)新宿文化センター 大ホール
「レクイエム」 2021年8月12日(木)〜13日(金)東京オペラシティ コンサートホール
公益財団法人東京二期会は、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年7月より2021年8月に開催が延期となっていた『ルル』と「レクイエム」の公演チケットを、2020年12月19日(土)より再発売いたします。
ヴェルディ「レクイエム」の指揮は、若くしてフランス国立リヨン歌劇場首席指揮者を務めるイタリアの貴公子的存在ダニエーレ・ルスティオーニ。メトロポリタン歌劇場『アイーダ』、ロイヤル・オペラ・ハウス『椿姫』等世界の歌劇場を席捲する才能が日本で初めてヴェルディ作品を披露します。
20世紀オペラの最高峰『ルル』とヴェルディの傑作「レクイエム」の上演をどうぞお楽しみください。
- 「運命の女(ファム・ファタル)」と呼ばれたルルの真実を演じる、森谷真理、冨平安希子、中村蓉
ルルは、男性の運命を狂わせる「運命の女(ファム・ファタル)」の代表的存在と言われてきました。しかし、演出のグルーバーは、それは「男性からみたルルの姿に過ぎない」といい、今回の舞台では「彼女の内面、魂を描きたい」と語っています。
ルルを演じる歌手は森谷真理と冨平安希子のダブル。森谷は、メトロポリタン歌劇場に『魔笛』夜の女王役でデビューを果たし欧州の歌劇場でもキャリアを重ねてきた日本を代表するソプラノのひとり。2019年「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で「君が代」独唱を務め大きな注目を集めました。冨平はバイエルン州立歌劇場他ドイツ各地の劇場に出演した実績を持つソプラノ。国内ではドイツオペラのレパートリーを中心に多くの東京二期会公演で主演する他、宮本亞門演出ミュージカル「サンデー・イン・ザ・パーク」に出演するなど幅広く活躍しています。
二人の歌手とともに出演するのは、コンテンポラリー・ダンス界の才華、中村蓉。今回のプロダクションでは振付を担当するとともに自ら舞台の上で演出家の意志を具現化することに挑みます。
新しく生まれかわる20世紀の名作にご期待ください。
※写真左から:森谷真理、冨平安希子、中村 蓉
- 『ルル』あらすじ
時代は19世紀末。かつて貧民街で暮らしていた少女ルルは、新聞社の編集長シェーン博士に拾われ、彼好みの女性として成長する。次第にルルは、妖艶な魅力を放つようになり、シェーンは彼女と関係を持つ。ルルと愛人関係を続けるシェーンだが、彼は高級官僚の娘と交際を始め、ルルを初老の医事顧間と結婚させる。
ある日、ルルの肖像画を描いていた画家が、彼女に魅了され、言い寄り始める。 事の次第を知った夫の医事顧問は心臓発作で急死。画家はルルと再婚するが、彼女の汚れた過去の真実を知り、彼もまた自殺する。
その後、ルルはシェーンと結婚する。しかし、ルルの周囲には同性愛者のゲシュヴィッツ伯爵令嬢、貧民街時代に知り合った謎の男シゴルヒ、力業師といった怪しげな“信奉者” がおり、さらにシェーンの息子のアルヴァまでルルにのぼせあがっている。嫉妬に常軌を逸したシェーンは、ルルに拳銃を持たせて自殺を強いるが…
- 『ルル』 プロフィール Profile
指揮 マキシム・パスカル Maxime Pascal
2014年3月フランス人として初めてネスレ・ザルツブルク音楽祭ヤング・コンダクターズ・アワー ドを受賞した若き才能であり、彼の世代において最も刺激的で有望な指揮者の一人である。この受賞により、パリ・オペラ座管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル管弦楽団、ボルドー・アキテー ヌ国立管弦楽団、リール国立管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、南西ドイツ放送交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ等主要楽団への客演を果たした。
ミラノ・スカラ座やパリ・オペラ座に定期的に招聘されており、18年7月にサルヴァトーレ・シャリーノの新作を指揮したベルリン州立歌劇場で『ペレアスとメリザンド』を再び指揮。また、デンマーク国立管弦楽団、RAI国立管弦楽団へのデビュー、そしてレ・シエクルを指揮してのアジアデビューとなる香港ベルリオーズ音楽祭に登場。またパリから発信するシュトックハウゼンのオペラ・ツィクルス「光」の複数年プロジェクトをスタートさせており、18年11月にオペラ・コミークで『木曜日』、19年6月にフィラルモニ・ド・パリで『土曜日』を指揮。同作品はボルドー公会堂及びロンドンのサウスバンクセンターでも披露。19年10月には再びミラノ・スカラ座に登場しフランチェスコーニ『カルテット』を指揮。
マキシム・パスカルとル・バルコンはポリニャック財団のレジデント・アーティストとして10年より活動しており、現在彼は同財団の公認アーティストとなっている。11年11月Simone and Gino del Duca財団音楽賞をフランス音楽アカデミーから授与された。
東京二期会には、2019年2月黛敏郎『金閣寺』(宮本亞門演出)公演で初登場を果たし、雄弁かつ繊細で黛の音楽に新たな光を与えた、と絶賛された。20年12月読売日本交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団を指揮し、いずれも好評を博した。2021年は1月に東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ『サムソンとデリラ』を代役で急遽指揮予定。
演出 カロリーネ・グルーバー Karoline Gruber
オペラ演出家として国際的な活躍を見せており、これまでにインスブルック古楽音楽祭およびベルリン州立歌劇場『月の世界』、ハンブルク州立歌劇場『ポッペアの戴冠』(「オーパンヴェルト」誌の年間最優秀演出家にノミネート)、同『ナブッコ』『ジューリオ・チェーザレ』、 ボン歌劇場『ダルダノス』、ザクセン州立歌劇場『クレオフィーデ』、ライン・ドイツ・オペラ『プラテエ』、ミュンヘン・キュヴィリエ劇場『セメレ』等を演出。2005年から10年までベルリン芸術大学で演出法の講義を担当し、現在はザルツブルク音楽大学教授。日本においては東京二期会『フィレンツエの悲劇』『ジャンニ・スキッキ』でデビュー後、びわ湖ホ ール『サロメ』、東京二期会『ドン・ジョヴァンニ』(ライン・ドイツ・オペラとの共同制作)、『ナクソス島のアリアドネ』 を演出。最近では17年ウィーン国立歌劇場プロコフィエフ『賭博者』、ゲルトナープラッツ歌劇場ヘンデル『セメレ』、ハンブルク州歌劇場コルンゴルト『死の都』のほか、ライン・ドイツ・オペラにおいては東京二期会との共同制作公演『ドン・ジョヴァンニ』の再演を重ねている。
- 「レクイエム」概要 | 音楽は世界の人々をつなぐ――平和へのメッセージを込めて
ヴェルディ「レクイエム」は、その壮大さと荘厳さから、死者の安息を祈るカトリック教会のミサ曲という枠を越えて、オーケストラのコンサートピースとして、多くの人々に普遍的な感動を与えてきました。東京二期会は、世界の人々をつなぐ平和へのメッセージを込めて、このヴェルディの傑作を演奏することを決定しました。
指揮のダニエーレ・ルスティオーニは、東京二期会とは縁が深く、2014年『蝶々夫人』で日本デビューを飾ると、17年2月『トスカ』でも再登場し人気を博しています。海外ではさらに評価が高く、ミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場、パリ・オペラ座などで活躍。メトロポリタン歌劇場での『アイーダ』、ロイヤル・オペラ・ハウスでの『椿姫』など、ヴェルディのオペラでも世界的な賞賛を受けています。今回の指揮が、日本で初めてのヴェルディ作品の演奏となります。
ソリストは、木下美穂子(ソプラノ)、中島郁子(メゾソプラノ)、城宏憲(テノール)、妻屋秀和(バス)という、いずれもヴェルディ歌いとして定評のある4名がつとめます。東京二期会公演でも数多くの共演を果たしてきた東京フィルハーモニー交響楽団、そして二期会公演には欠かせない二期会合唱団とともに、特別な二夜を、今夏の東京に贈ります。
- 「レクイエム」 プロフィール Profile
指揮 ダニエーレ・ルスティオーニ Daniele Rustioni
世代で最も魅力的な指揮者の一人として、オペラとコンサート双方で活躍を見せる。2017/2018シーズンからフランス国立リヨン歌劇場首席指揮者を務めており、その幅広いレパートリーは高く評価されている。またトスカーナ交響楽団及びアルスター管弦楽団首席指揮者の任にもある。
バイエルン州立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ロイヤル・オペラ・ハウス、チューリッヒ歌劇場、パリ・オペラ座等主要歌劇場に数多く客演。2017年にはメトロポリタン歌劇場にデビューし、再招聘も決まっている。2019年4月ロラン・ペリー演出『ファルスタッフ』(東京二期会、テアトロ・レアル、ベルギー王立モネ劇場、フランス国立ボルドー歌劇場の共同制作)でテアトロ・レアルにデビュー。
BBC交響楽団やバーミンガム市交響楽団等との録音も好評で、20世紀イタリアの作曲家による作品収録のためのソニークラシカルとのプロジェクトも進行中である。
2013年インターナショナル・オペラ・アワード最優秀新人賞。
2014年東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』で日本デビューし、同『トスカ』や東京都交響楽団定期演奏会等多くの公演を指揮。
木下美穂子 Mihoko Kinoshita ソプラノ
武蔵野音楽大学卒業、同大学院及び二期会オペラスタジオ修了。第16回出光音楽賞、第16回新日鉄音楽賞、リチーア・アルバネーゼ プッチーニ国際声楽コンクール第1位等数々の栄誉に輝く。『イル・トロヴァトーレ』『椿姫』等、完璧なヴェルディ・ヴォイスで絶賛を博し、マゼール指揮トスカニーニ・フィル日本公演では世界的巨匠からも賛辞が寄せられた。近年は東京二期会『トスカ』題名役、『ローエングリン』エルザ、『フィデリオ』レオノーレ、グランドオペラ共同制作『アイーダ』題名役等を演じる他、バンクーバー・オペラ、ピサ・ヴェルディ劇場にも出演。二期会会員
中島郁子 Ikuko Nakajima メゾソプラノ
東京藝術大学卒業(安宅賞及び松田トシ賞)、同大学院修了。キジアーナ音楽院修了。文化庁海外派遣研修員として渡伊。近年、東京二期会では『ナブッコ』フェネーナ、『イル・トロヴァトーレ』アズチェーナ、『蝶々夫人』スズキ、『修道女アンジェリカ』公爵夫人、『ジャンニ・スキッキ』ツィータを演じる他、新国立劇場『カルメン』メルセデス、日生劇場『セビリャの理髪師』ロジーナ、びわ湖ホール「ニーベルングの指環」等多くのオペラで活躍。NHKニューイヤーオペラコンサートにも出演。2021年7月東京二期会『ファルスタッフ』クイックリーも予定される。二期会会員
城 宏憲 Hironori Jo テノール
東京藝術大学卒業(アカンサス音楽賞、同声会賞)。新国立劇場オペラ研修所修了。第84回日本音楽コンクール声楽部門第1位及び岩谷賞(聴衆賞)、第8回静岡国際オペラコンクール三浦環特別賞、岐阜県芸術文化奨励賞。文化庁新進芸術家海外研修制度にて渡伊。サイトウ・キネン・フェスティバル松本20周年記念コンサートでソリストデビューの後、東京二期会『イル・トロヴァトーレ』『トスカ』『ノルマ』『エロディアード』『椿姫』、グランドオペラ共同制作『アイーダ』『カルメン』等プリモ・テノールで出演。二期会会員
妻屋秀和 Hidekazu Tsumaya バス
東京藝術大学首席卒業、同大学院修了。ミラノに留学後、ライプツィヒ歌劇場及びワイマール・ドイツ国民劇場専属歌手を務める。一方、ベルリン・ドイツ・オペラや、ライン・ドイツ・オペラ等ドイツを中心として、欧州各地の劇場で活躍。国内でも、新国立劇場、東京二期会等で数多くの役を演じ、これまでに900を超えるオペラに出演。宗教曲等のソリストとしても活躍するほか、マスタークラスなど教育活動にも従事している。第24回ジローオペラ賞、第3回ロシヤ歌曲賞受賞。2020年9月東京二期会『フィデリオ』にロッコで出演。21年1月『サムソンとデリラ』老ヘブライ人、9月『魔笛』ザラストロで出演予定。二期会会員