株式会社キョードーメディアスのプレスリリース
発起人:左から湯川れい子、三枝成彰、コシノジュンコ、林真理子
3月11日、「第8回『全音楽界による音楽会』3.11 チャリティコンサート」が東京・サントリーホールで開催された。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の現状を見たコシノジュンコ、三枝成彰、林真理子、湯川れい子ら、様々な音楽ジャンルを代表し、音楽に深く関わるメンバーが発起人となり、同年4月20日にチャリティコンサートを開催したのが始まりとなった。
コンサートの入場料は無料だが、入場時に一人につき1万円以上の義援金を寄付するというシステムで、趣旨に賛同したアーティストがボランティアで出演。オーケストラのメンバーも趣旨に賛同した有志によるもので、会場もサントリーホールの厚意により無料で貸し出されている。かかった費用以外の寄付金は全て「公益社団法人3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構(3.11塾)」および「一般社団法人チームスマイル」を通じて、東日本大震災で被災した子どもたちを支援するための資金に充てられる。
発起人の一人、三枝成彰は「10年前の大震災のこと、今後の復興や支援のことを忘れないようにしっかりと心に留めておかなければならないと思っている。私たちができることは、その大事なことを今回もご厚意により無償でホールを貸してくださるサントリーホールと、出演してくださる多数のアーティストと共に、コンサートを通じて皆さまにお伝えすることだと思っている」と今回の開催に向け、思いを発表。
総合司会を務めたのは露木茂と永井美奈子。震災の犠牲になった方々への黙祷を捧げ、「死者・行方不明者が18,000人を超える甚大な被害をもたらした東日本大震災から今日で丸10年が経ちました。この震災のことが徐々に風化されている中、本日はコロナ禍の中、お客様にはご来場いただき、義援金のご協力をいただきましたことに感謝申し上げます。2021年3月11日 現在、3.11塾では、岩手県71名、宮城県151名、福島県14名、計236名(内37名卒業)の遺児孤児の支援をしています。本日集まったこの義援金は3.11塾を通じて、被災した子どもたちの支援のため、チームスマイルを通じて東北復興のために有効に使用させて頂きます。3.11塾では、国や県などの公共機関ができない学習塾やピアノ教室などの費用を支援しています」と趣旨を説明。
続いて、司会者の呼び込みで3.11塾生の高校生が登壇。「今日で東日本大震災から10年が経ちましたが、正直なことを言えばそんな感じがしません。震災前、私たちは東京に住んでいました。しかし、震災の日、父は祖母の葬儀で陸前高田におり、被災しました。急に父が亡くなり、いろんなことがありましたが、3.11塾のおかげで諦めかけていたピアノのレッスンも続けることができました。高校を卒業したらアメリカの大学に行きたいと思っています。将来は皆さんのように多くの人を支えられる人になりたいです」と10年前のことを振り返り、感謝の気持ちを述べて、今後の夢を観客に伝えると会場は温かい拍手の音に包まれた。
そしていよいよ本編がスタート。今回の出演者は23組。オーケストラの演奏と共に、クミコはスコットランド民謡「広い河の岸辺」、川島ケイジは「Woman〜”Wの悲劇“より」を歌い、バイオリニストの川井郁子は「赤い月」を演奏。中盤は、森山良子はアコースティックギターの弾き語りで代表曲「さとうきび畑」を聴かせ、ピアニストの紅林弥生の演奏で神野美伽が「与作」を、平原綾香がダニエル・パウターのカバー「Save Your Life」を、島津亜矢が「木蘭の涙」を、それぞれが感情を込めて歌った。そして、アコーディオン奏者のcobaは「coba:Campana」を情熱的に独奏。後半は再びオーケストラが登壇し、LE VELVETSが伸びやかで厚みのあるハーモニーで「オー・ソレ・ミオ」を、ジョン・健・ヌッツォが張りのある歌声でG.プッチーニの歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」を歌唱。終盤に登場した氷川きよしは3月30日にリリースする新曲「南風」をいち早く披露。トリを務めた五木ひろしが歌ったのは、2000年の「NHK紅白歌合戦」の大トリでも歌唱した「山河」。クラシックからポップス、演歌まで、ジャンルを越えた”音楽のチカラ“を感じさせてくれた3時間となった。
全出演者の歌唱・演奏が終わった後、発起人のコシノジュンコ、三枝成彰、林真理子、湯川れい子らが再びステージに登壇。今回の義援金の総額は1568万7419円と発表された。三枝成彰が「今日は参加しにくい環境の中で来て頂きまして本当にありがとうございました。来年もやりますのでよろしくお願いします」と来場者に感謝の気持ちを述べ、司会の永井美奈子が「来年も3月11日にこのコンサートを開催する予定です」と、露木茂が「夜も更けてまいりました。来年またお目にかかりましょう。ありがとうございました」と呼びかけて、10年目、8回目のチャリティコンサートの幕が下された。
撮影:SHINOBU IKAZAKI