株式会社文藝春秋のプレスリリース
株式会社文藝春秋(本社:千代田区紀尾井町 社長:中部嘉人)は、9月10日(金)文楽と落語のコラボイベントをオンラインにて開催します。
今回の試みは、『入間詞長者気質(いるまことばちょうじゃかたぎ)』という一つの物語からうまれた、文楽・落語・文芸の新たな融合をお楽しみいただけるイベントです。
まずは文楽。江戸時代の大坂の浮世絵師で戯作者の耳鳥斎(にちょうさい)が作ったと言われる『入間詞長者気質』という話を、豊竹呂太夫師匠(太夫)と鶴澤清介師匠(三味線)の素浄瑠璃でお送りします。こうしたおどけ浄瑠璃の影響は上方落語にも及んだと考えられており、そのうちの一つが落語の『高津の富』という噺です。この噺が東京では『宿屋の富』となり、今回はこの演目を柳家さん喬師匠による落語でお届けします。またこの耳鳥斎が主要人物として登場するのが、直木賞作家・大島真寿美さんの新刊『結 妹背山婦女庭訓 波模様』。今回は文楽と落語の公演に加えて、直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編となるこの作品を書いた大島真寿美さんをゲストにお迎えした対談も実施します。
第1部 柳家さん喬師匠「宿屋の富」
第2部 豊竹呂太夫師匠・鶴澤清介師匠「入間詞長者気質 持余屋の段」
第3部 豊竹呂太夫師匠・大島真寿美さん スペシャル対談
■開催概要
公演名称 :文春文楽&落語
豊竹呂太夫・鶴澤清介「入間詞長者気質 持余屋の段」 柳家さん喬「宿屋の富」 ゲスト:大島真寿美
日時 :9月10日(金)18:30-20:30(仲入り有)
金額:2,200円(税込)
チケット販売:Peatix https://bunshunbunrakurakugo0910.peatix.com/
主催:文藝春秋
問い合わせ:event@es.bunshun.co.jp
配信方法:動画共有サービス「vimeo」にて配信
※9月11日(土)1:00~17日(金)23:59の見逃し配信もございます。
■出演者プロフィール
豊竹呂太夫
豊竹呂太夫
芸歴
昭和42年8月 三代竹本春子太夫に入門、祖父十代豊竹若太夫(人間国宝)の幼名の豊竹英太夫と名のる
昭和43年4月 大阪毎日ホールで初舞台
昭和44年7月 春子太夫の逝去により竹本越路太夫の門下となる
平成29年4月 大阪・国立文楽劇場において、六代豊竹呂太夫を襲名、「菅原伝授手習鑑・寺子屋の段」で披露
受賞歴
平成15年1月 第22回(平成14年度)国立劇場文楽賞文楽優秀賞
平成29年8月 第47回JXTG音楽賞(邦楽部門)
平成30年4月 第37回(平成29年度)国立劇場文楽賞文楽優秀賞
令和元年11月 第54回大阪市市民表彰(文化功労部門)
など
著作
平成29年3月 『文楽・六代豊竹呂太夫』(創元社)※片山 剛氏との共著
鶴澤清介
鶴澤清介
芸歴
昭和48年 二代鶴澤道八に入門
昭和49年1月 鶴澤清介と名のり、朝日座において初舞台
昭和57年 鶴澤清治門下となる
受賞歴
平成14年3月 芸術選奨文部科学大臣新人賞 国性爺合戦 楼門の段
平成27年3月 第34回(平成26年度)国立劇場文楽賞文楽優秀賞
平成28年11月 第51回大阪市市民表彰(文化功労部門)
平成29年2月 平成28年度大阪文化祭賞優秀賞
平成30年3月 平成29年度恩賜賞、日本芸術院賞
令和 2年4月 紫綬褒章
など
柳家さん喬
柳家さん喬
芸歴
昭和42年 五代目柳家小さんに入門 前座名「小稲」
昭和47年 二ツ目昇進 「柳家さん喬」と改名
昭和55年 真打試験合格
昭和56年 真打昇進
平成13年 落語協会理事付役員に就任
平成18年 落語協会常任理事に就任
受賞歴
昭和59年 国立演芸場金賞
昭和61年 文化庁芸術祭賞 若手花形にて
昭和62年 選抜若手演芸大賞真打部門大賞
平成 6年 第11回浅草演芸大賞新人賞
平成25年 第63回(平成24年度)芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)
平成26年 第42回(2014年度) 国際交流基金賞
第31回浅草芸能大賞 奨励賞
平成28年 平成28年度文化庁文化交流使
平成29年 紫綬褒章
大島真寿美
大島真寿美(作家)
1962年愛知県生まれ。92年「春の手品師」(『ふじこさん』講談社文庫所収)で第74回文學界新人賞を受賞。 同年すばる文学賞最終候補『宙の家』(集英社、のち角川文庫)が刊行。2011年刊行の『ピエタ』(ポプラ文庫)で第 9 回本屋大賞第 3 位。14年『あなたの本当の人生は』(文春文庫)で第152 回直木賞候補。19年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第161回直木賞受賞。映画化された『チョコリエッタ』(角川文庫)、NHK連続ドラマとなった『虹色天気雨』『ビターシュガー』(ともに小学館文庫)ほか、『戦友の恋』『モモコとうさぎ』(角川文庫)、『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』(小学館文庫)など著書多数。2021年8月『渦』の続編となる『結 妹背山婦女庭訓 波模様』を上梓。
■『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文春文庫)
「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!
『渦』書影
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大坂の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。第161回直木賞、第7回高校生直木賞、第9回大阪ほんま本大賞受賞作。
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』書誌情報
著者:大島真寿美
2021年8月3日、文春文庫刊
定価: 869円(税込)
ISBN: 978-4-16-791730-2
■『結 妹背山婦女庭訓 波模様』(文藝春秋)
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』から2年。直木賞受賞第一作にして、『渦』の待望の続編がついに刊行。
『結』書影
江戸時代も半ばを過ぎた道頓堀には芝居小屋がひしめき合っていた。
造り酒屋の倅の平三郎が、うっかり道頓堀の芝居小屋に足を踏み入れたのは、二十歳そこそこの頃だった。妹背山婦女庭訓を観たことがきっかけで平三郎は操浄瑠璃の世界にのめりこんでいく。
娼家の跡取り息子でありながら浄瑠璃作者になった徳蔵の情熱や近松半二の娘のおきみからあふれでる才気。才能がありながら浄瑠璃作者としてくすぶっている余七は江戸を目指し、近松柳は大評判の「絵本太閤記」を浄瑠璃にしようと奮闘する……。
近頃は歌舞伎芝居に押され気味ではあるものの、人形浄瑠璃は人を惹きつけて離さない。
「道頓堀には、お人形さんがいてこそ、や」という思いが、そこかしこに満ち満ちていた。
人形浄瑠璃に魅せられ、人形浄瑠璃のために生きた人々の喜怒哀楽と浮き沈み、せわしなくも愛しい人間模様をいきいきと描く群像時代小説。
『結 妹背山婦女庭訓 波模様』書誌情報
著者:大島真寿美
2021年8月4日、文藝春秋刊
定価: 1,870円(税込)
ISBN: 978-4-16-391410-7