香港の映画監督ウォン・カーウァイとアーティスト舘鼻則孝による『花様年華』の公開20周年を記念した香りに纏わるコラボレーション作品

NORITAKA TATEHANA K.K.のプレスリリース

香港の映画監督ウォン・カーウァイとアーティスト舘鼻則孝によるコラボレーション。公開20周年を記念し『花様年華』の香りに纏わる世界観を舘鼻則孝が作品化。作品は、世界的オークションハウスのサザビーズが、10月10日に香港で開催するオークション「Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary」に出品される。オークションは、ウォン・カーウァイが中心となって創立したJet Tone Filmsの30周年を記念して開催される。

©︎JET TONE FILMS LIMITED and NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION©︎JET TONE FILMS LIMITED and NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana
In the Mood for Love

香港の映画監督ウォン・カーウァイとアーティスト舘鼻則孝によるコラボレーション。

ウォン・カーウァイの代表作『花様年華』の香りに纏わる世界観を表現した本作は、舘鼻則孝の作風に惚れ込んだウォン・カーウァイからの依頼によって始まった。

本作、《In the Mood for Love》では、ウォン・カーウァイの発想を元に舘鼻が考案した様々な素材や工芸技法を用いて作品化された。日本の漆芸技法に焦点が当てられた本作は、香りを内包する器物としての機能だけでなく、作品性の高い美術工芸品とも言える。日本産の桜材を支持体として、鮑貝や白蝶貝、純金粉によって表層が加飾されており、仕上げとなる上塗りとして、漆が用いられている。伝統的な朱色と黒色の漆で仕上げられた作品群は、2種類の基調色と素材の組み合わせにより20種類のユニークピースとして仕上げられている。

 

 

 

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本プロジェクトに向けたウォン・カーウァイと舘鼻則孝のコメント

『花様年華』を香りで表現するとしたら、それは何だろうか。

チョー・モーワンがアンコールワットの壁に埋めた「秘密」に纏わる、五感にあふれた香りではないだろうか。朝の新鮮な草、石垣についた湿った土、半袖シャツのしわに染みる汗、それらは記憶に深く刻まれた香りと結びついている。それは、スー・リージェンのチーパオの襟元から漂う魅惑的な香りである。スー・リージェンの香りは私にはわからないが、私の記憶を辿ると、それは妻が17歳のときに纏っていた香りではないだろうか。

『花様年華』の20周年を記念して、私たちは単に過去を振り返るだけでは満足しませんでした。むしろ、一歩進んで映画を鑑賞していただく可能性を広げたいと思っています。この3年間、私たちは香りを求めてアーティストたちと活動してきました。チョー・モーワンが朝のアンコールワットに感じた、草や石垣の香り。そして、チーパオの襟元から漂うスー・リージェンの香りを追体験できるような、立体的な体験をデザインしたいと考えています。

私たちは、この多くの分野にわたるコラボレーションを非常に大切にしています。まず、スー・リージェンの香りを再現するために細部にまで気を配ってくれた調香師のアルベルト・モリヤス氏に感謝します。また、この作品のボディをエレガントに表現してくださった舘鼻則孝氏にも感謝の意を表したいと思います。舘鼻氏は、日本の伝統的な職人技と、漆、螺鈿や純金粉の質感を組み合わせて、草、石垣、チーパオの質感を見事に表現してくださいました。

最後に、このプロジェクトに導きインスピレーションを与え、最初の思い出を作ってくれた妻のエスターに感謝しなければなりません。

— ウォン・カーウァイ

ウォン・カーウァイ監督作品『花様年華』の時代背景を象徴するような衣装や壁紙などの意匠から多くのインスピレーションを受け、撮影監督であるクリストファー・ドイルの描く艶やかな色彩空間まで、多くの要素に魅了された。

その中でも、香りに纏わる本作《In the Mood for Love》のフォルムは、Su Li-Zhenの着る60年代香港のチーパオの高い「衿」から着想を得ている。詰衿を纏い守られた女性の秘密を本作の着想の源に、内に秘められた香りを通して本作の主題でもある「秘密の共有」を目に見えない感覚として暗喩し表現している。

— 舘鼻 則孝

Sotheby’s:Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary

「Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary」デジタルカタログ
URL: https://www.sothebys.com/en/digital-catalogues/happy-together-wkw-x-jet-tone-films-30th-anniversary?locale=en

世界的オークションハウスのサザビーズが10月10日に香港で開催するオークション「Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary」の全貌は、サザビーズウェブサイトのデジタルカタログより確認することができる。

Sotheby’s:Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary

Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana 出品作品紹介
 

 

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Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana
In the Mood for Love – Rouge【Lot 301】

鮑貝を用いた伝統技法の螺鈿細工で仕上げられた本作は、朱漆を基調とした10作品の内の代表作品に位置付けられている。石川県金沢市で職人の手仕事によって10以上の工程を経て仕上げられている本作は、桜材に漆を下塗りすることから始まる。次に、一様に揃った鮑貝を矢柄状に敷き詰め下地を作り、唐花文様を漆によって描き仕上げる。作品タイトルが刻まれるレーベルは、純金粉を漆によって定着させる蒔絵という伝統技法によって表現されている。また、背面のウォン・カーウァイの「王」という漢字のシグネチャーにも同様に蒔絵が用いられている。

 

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Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana
In the Mood for Love – Noir【Lot 302】

黒漆を基調とした10作品の中でも、純金粉を用いた蒔絵という伝統技法によって文様が表現された本作は、代表作品に位置付けられている。漆を用いて定着された純金粉を下地として、黒漆によって文様が描かれている。蒔絵は、日本の漆工の中でも代表的な技法であり、古くは平安時代より様々な手法が考案され、現代まで継承され続けている。

オークションに出品される《Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana / In the Mood for Love》には、『花様年華』の貴重な35ミリフィルムの1シーンが付属
 

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10月10日に香港で開催されるオークション「Happy Together|WKW x Jet Tone Films 30th Anniversary」では、全20作品より代表作品として位置付けられている2作品が出品される。また、本作には、映画『花様年華』の貴重な35ミリフィルムの1シーンが特別に付属する。
※写真は、Jet Tone Archiveよりイメージです

 

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アーティストプロフィール
舘鼻 則孝(たてはな のりたか)

1985年東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、2014)、「Future Beauty」(東京都現代美術館 ほか国際巡回、2012)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、個展「It’s always the others who die」(POLA Museum Annex、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園、2019)等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。また2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催するなど、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。東京都が主宰する「江戸東京きらりプロジェクト」の一環として企画された、東京の伝統産業に焦点を当てたオンライン展覧会「江戸東京リシンク」(和敬塾 旧細川侯爵邸、2021)の展覧会ディレクターを務めた。

Wong Kar Wai x Noritaka Tatehana
In the Mood for Love

特別協力:深谷 哲夫 / 解体新社

©︎2021 JET TONE FILMS LIMITED and NORITAKA TATEHANA K.K.

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