株式会社スペースシャワーネットワークのプレスリリース
株式会社スペースシャワーネットワーク(代表取締役社長:林吉人、本社:東京都港区、以下「 スペースシャワー」)は、有料ライブ配信サービス「LIVEWIRE」にて、小坂忠 / LOVE PSYCHEDELICOによる2マンライブ企画「OTONA SESSIONS 3 at B.Y.G」を10月17日(日)に配信いたします。
LIVEWIREがプロデュースするオトナ向け2マンライブ企画 「OTONA SESSIONS」。第三弾となる今回も1969年にオープンした東京・渋谷にある伝説のロック喫茶「B.Y.G」にて小坂忠 / LOVE PSYCHEDELICOのライブをお届け!
ライブダイジェスト映像公開!
https://youtu.be/J1zY7GJajng
オフィシャルライブレポート
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2021年10月1日、長期間に渡った4度目の緊急事態宣言が明けたその日、東京はあいにくの雨模様だった。いや、正しくは大荒れの天気だった。折から接近してきた台風16号が最接近したその時間、私は渋谷に向かっていた。道玄坂を右に折れて百軒店に入ると、吹きすさぶ風雨に人影はまばらで、飲食店の多くもまだ貝のようにシャッターを閉ざしている。街頭のスピーカーからは、なぜかブルース・スプリングスティーンの「ザ・リバー」が流れていて、やけにシュルレアリスティックな光景を作り出している。
スペースシャワーが主催する「OTONA SESSIONS 3 at B.Y.G 小坂忠 / LOVE PSYCHEDELICO」は、渋谷百軒店の老舗ロック喫茶/ライブハウス「B.Y.G」で、この日10月1日に収録された。B.Y.Gは、1969年のオープン以来長年東京のロック喫茶文化を牽引した存在であり、はっぴいえんどやはちみつぱい等1970年代にかけて活動した錚々たる音楽家たちが活動拠点とした場所だ。まさに、日本のロック史を語る際に絶対に外すことのできない「聖地」である。しかし、その歴史的重要性にも関わらず、店内の雰囲気はいつ訪れても実に柔らかで、今も老若男女様々な飲食客が憩うオアシスとなっている。地下一階のライブ・スペースは、かつて伝説的な音楽家がこぞって立ったとは思えないほどにこじんまりとしたもので、いかにも親密な雰囲気が充満している。
これまで、「OTONA SESSIONS」では、鈴木茂やBEGIN等、このB.Y.Gとゆかりの深いアーティストを迎えたコンサートを催してきた。第3弾となる今回は、70年代当時B.Y.Gへの出演経験もあるヴォーカリスト小坂忠と、2000年のデビュー以来、ヴィンテージなロック・サウンドをオリジナルな表現に昇華し続けてきたLOVE PSYCHEDELICOが出演した。しかも、林立夫(Dr.)、佐橋佳幸(Gt.)、Dr.kyOn(Key.)、tatsu(Ba.)という日本トップ・クラスの手練が集ったスペシャルバンド「OTONA SESSIONS BAND」が両者のバッキングを務めるという豪華仕様だ。
はじめに登場したのはLOVE PSYCHEDELICOだ。オープナーの「Birdie」は、彼女たちの得意とするシンプルなロックンロールだが、スタジオ版からより一層ホンキ―・トンク風味を前面に押し出した演奏で、林立夫のドラムスも朴訥とした温かみのあるリズムを運び込む(このあたり、先日逝去したローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツへのトリビュートにも思えてくる)。
アコースティック・ギターを抱えながら伸びやかに歌うKUMIは、その可憐なドレス姿からもあのエミルー・ハリスを彷彿させる。そう、この日のLOVE PSYCHEDELICOのステージのキーワードは「カントリー」だったように思う。マンドリンとペダル・スティール・ギターを交えて披露された「Beautiful days」も、滋味深いカントリー調の演奏が魅力だ。続く「Swingin’」におけるNAOKIのボトルネックさばきも、実にアーシー。「It’s Ok, I’m Alright」におけるシンプルなグルーヴ感も、百戦錬磨のOTONA SESSIONS BANDならではのものだろう。
個人的なハイライトが、「裸の王様」だ。キャリアに輝く名曲として人気の高い曲(2002年作)だが、オリジナルの雄大な世界をさらに有機的に深化させた歌唱/演奏を聴かせる。アコースティック・ギターとピアノが主導する「アンビエント的」とすらいえる音像の中に、オルタナ風のハーモニーを忍ばせるこの曲の美しさは、例えばテイラー・スウィフトの初期作品とも響き合うものに思える。
一転、ビートルズ〜ザ・バーズ風の弾けるポップさに彩られた「Waltz」を挟んで披露されたのが、デビュー曲にして代表曲でもある「LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~」だ。NAOKIの弾くキャッチーなギター・リフとKUMIのシャープなヴォーカルが先導し、そこに佐橋のスライド・ギターやリズム隊の粘り気ある演奏が絡みつくと、幾度となく聴いたはずのこの曲がまた違った表情を見せてくれる。
しばらくの休憩の後、いよいよ小坂忠が登場する。深いワインレッドのサングラスをかけ、スタイリッシュなテイラーのギターを抱えるその立ち姿だけで、最高にカッコいい。
小坂のステージは、ゆったりとしたメロウ・フローター「早起きの青い街」からスタート。70年代初頭に小坂が率いたバンド、フォー・ジョー・ハーフ以来の盟友・林立夫によるマレット使いの抑制的なドラミングにまず感動してしまう。
続いては、2000年のアルバム『People』から、スマートきわまりないファンク・ナンバー「Hot or Cold」。「熱いか冷たいか」という特徴的なコーラスが小坂のソウルフルな歌声でリフレインされると、じんわり鳥肌が立ってくる。バッキングとの息もこれ以上無いほどにぴったりだ。「大人になってもハートは熱くいたいよね」というまっすぐなMCも、実にサマになってしまう。
「向きを変えて」は、小坂のゴスペル・シンガーとしての魅力がほとばしる熱い曲。泥臭いなアレンジもばっちりキマっている。こうした曲で改めてあわらになるのがOTONA SESSIONS BANDの面々の咀嚼力/演奏力で、セクションや、リトル・フィート、マッスル・ショールズ・リズム・セクションなど、錚々たる系譜の上に置いても決して引けを取ることのない際立ったプレイを聴かせる。疑いなく、世界レベルの演奏だ。
名曲「ほうろう」と「機関車」における歌唱/演奏のコクもただごとでない。オリジナル版におけるティン・パン・アレーのプレイのテイストを引き継ぎつつも、より渋み/苦味を増したパフォーマンスで、この日のハイライトのひとつとなった。気の合う仲間たちが集ったゆえのリラックスしたMCも楽しい。アルバム『ほうろう』(1975年)発売後に林らと共に全国ツアーを行った際のエピソードなど、何気ないやりとりから貴重な証言も次々に飛び出す。ラストの「I Believe in You」では、ダニー・ハサウェイの「ザ・ゲットー」を思わせるソロ回しとメンバー紹介も行われ、演奏のボルテージも最高潮に達していく。
再びLOVE PSYCHEDELICOの二人を迎えてのアンコールも必見だ。小坂の娘とKUMIの意外な繋がりが明らかになるMCで和んだ後は、これもまた絶対の名曲、「しらけちまうぜ」が共に演奏される。沢山のギターがわいわいと会話するように入り交じる分厚い音像が楽しい。KUMIの華やかなコーラスもキャッチーな曲調と絶妙にマッチする。
終演後、B.Y.Gを出ると、すっかり雨は上がっていた。空気もにわかにカラッと爽やかに感じられる。いまだ強い風が吹き抜ける道玄坂を歩きながら、街に集う人々の姿を眺めていると、少しの不安を抱えながらも、かすかな晴れ間がやってくるのを待望している自分に気がついた。きっと、こういう日に観たライブはこの先決して忘れられないものになるだろう。そんな確信も抱くのだった。
この日のライブの模様は、スペースシャワーがプロデュースするLIVEWIREにて10月17日(日)20時より配信される。見逃し配信は10月20日(水)まで、視聴チケットは同日18時までLIVEWIRE WEBサイトで販売中。是非お見逃しなく。
Text by 柴崎祐二
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OTONA SESSIONS 3 at B.Y.G セットリスト
(配信楽曲は未定です)
LOVE PSYCHEDELICO
01. Birdie
02. Beautiful days
03. Swingin’
04. It’s Ok, I’m Alright
05. 裸の王様
06. You’ll Find Out
07. LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~
小坂忠
01. 早起きの青い街
02. Hot or Cold
03. 向きを変えて
04. ほうろう
05. 機関車
06. I Believe in You
07. What a Wonderful World
アンコールセッション
01. しらけちまうぜ
02. Blowin’ in the Wind
<配信詳細>
OTONA SESSIONS 3 at B.Y.G
小坂忠 / LOVE PSYCHEDELICO
10月17日(日) 開場19:30 / 開演20:00
見逃し配信期間 10月20日(水)23:59まで
チケット販売期間 10月20日(水)18:00まで
チケット購入はこちらから
https://livewire.jp/p/otonas211017