日本音楽著作権協会(JASRAC)は第8回JASRAC音楽文化賞を発表しました

一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)のプレスリリース

日本音楽著作権協会(本部:東京都渋谷区、理事長:浅石 道夫、以下「JASRAC」)は、11月18日、第8回JASRAC音楽文化賞を発表しました。受賞者は次のとおりです。

<第8回JASRAC音楽文化賞 受賞者>

  • 有田 正広 様(古楽フルート奏者)
  • 臼井 真 様 (小学校音楽専科教員、大学准教授)
  • 田中 三一 様(マスタリング・エンジニア)
  • 小鐵 徹 様 (マスタリング・エンジニア/カッティング・エンジニア)

JASRAC音楽文化賞は、売り上げや利用実績などの数字には表れない地道な活動を行っている個人・団体・作品等に光を当て、音楽文化の発展に寄与した功績を称え顕彰することにより、今後の活動への励みとしていただくことを願い、2014年11月に創設しました。受賞者には表彰盾と副賞(30万円)が贈られます。
顕彰候補は全国各地の報道機関等から寄せられ、有識者で構成する選考委員会で選考が行われました。
JASRACは今後も、音楽風土を支え育む活動等に注目し、顕彰することを通じて、音楽文化の発展に寄与する取り組みを進めてまいります。

<第8回JASRAC音楽文化賞受賞者について>

有田 正広 様(古楽フルート奏者)

有田 正広 様(古楽フルート奏者)©Rika Takei有田 正広 様(古楽フルート奏者)©Rika Takei

顕彰理由
ルネサンス期から現代までの400年間に変遷を遂げた木管のフルート「フラウト・トラヴェルソ」と現代の金管のフルートの双方を駆使し、楽譜の考証と合わせて当時の音色、歴史的な奏法を現代に蘇らせている。日本初の本格的なオリジナル楽器のオーケストラ「東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ」、さらにレパートリーをロマン派まで拡大した「クラシカル・プレイヤーズ東京」の創設者・指揮者としても活躍。注目されて久しい古楽演奏を黎明期から半世紀にわたり支えてきた。

プロフィル
1972年、桐朋学園大学を首席で卒業。同年、第40回日本音楽コンクール第1位を獲得。翌年、ベルギーのブリュッセル王立音楽院に留学。1974年からはコレギウム・アウレウム合奏団のメンバーとして活動。翌年、ブリュッセル王立音楽院をプルミエ・プリで卒業し、ブルージュ国際音楽コンクールのフラウト・トラヴェルソ(古楽フルート)部門第1位を獲得。1977年、オランダのデン・ハーグ王立音楽院に進み、半年で最高栄誉賞つきソリスト・ディプロマを取得。1989年、東京バッハ・モーツァルト・オーケストラを結成。2009年、クラシカル・プレイヤーズ東京を結成。1985年、文化庁芸術祭賞芸術作品賞、1989年、第21回サントリー音楽賞、2017年、第30回ミュージック・ペンクラブ音楽賞クラシック部門特別賞をそれぞれ獲得。現在、桐朋学園大学特任教授。

受賞者コメント
子どものころから、過去の偉大な音楽家や名曲が生まれる瞬間、その背景、また各時代に演奏されていた楽器や当時の演奏方法などに思いを馳せてきました。古楽の演奏と研究の道を選び、そうした事を徐々に解き明かしても未知の世界は広がるばかりで、今も音楽の奥義を訪ねる日々が続いています。有り難い事に、こんな僕を盛り立て支えて下さる方々のお陰で、研究の成果を演奏で披露したり、教育の現場で若い方々に伝えたりすることが出来ています。そして今回の様に、この栄誉ある賞までも頂けることは大変に嬉しく、今後の励みに繋がります。大変にありがとうございます。

©Rika Takei©Rika Takei

臼井 真 様 (小学校音楽専科教員、大学准教授)

臼井 真 様 (小学校音楽専科教員、大学准教授)臼井 真 様 (小学校音楽専科教員、大学准教授)

顕彰理由
子どもたちが楽しみながら歌えるようにと、当初からオリジナル曲を用いる個性的な授業を展開してきた。「音楽を通して、やさしさや人の心の痛みがわかる子、目に見えないものの美しさがわかる子、さまざまなことに感動して涙を流せるような子になってほしい」と、生徒の成長を願い、生徒との交流に心を砕く姿勢が、未曽有の痛ましい災害を機に、世界12カ国語で歌い継がれる復興と鎮魂、希望の歌へと結実した。言葉や文化の壁を超えて多くの人々の心を癒し励ます音楽の力を内外に示した。

プロフィル
1960年、神戸市生まれ。1983年から神戸市内の小学校で音楽専科教員を務める傍ら、小学生のために合唱曲を作詞、作曲。2021年3月、定年退職を迎えるまでに創作したオリジナル曲は400曲を超える。なかでも1995年、自宅が全壊した阪神・淡路大震災を機に作詞・作曲した「しあわせ運べるように」は多くの人々の心を捉え、神戸の復興を願うシンボル曲となった。「地震にも負けない 強い心をもって」と歌われるこの作品は、コンサート、本や楽譜、CD・DVD、報道などを通じて新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、イラン・バム地震など内外の被災地に広がり、現在12カ国語に翻訳され歌い継がれている。2020年には、全国の小学校の音楽教科書に掲載された。2011年、文部科学大臣優秀教職員表彰、2021年、兵庫県功労者表彰文化功労などを受賞。現在は神戸親和女子大学准教授。

受賞者コメント
思いがけない受賞、うれしい限りです。オーケストラの常識への幾多の疑問がオーケストラ創設の動機です。アンサンブルの原点に帰り、演奏者と聴衆が共に幸せになる演奏を目指し、さらなる精進を重ねます。

教え子と「しあわせ運べるように」を初めて演奏した日教え子と「しあわせ運べるように」を初めて演奏した日

田中 三一 様(マスタリング・エンジニア)
小鐵 徹 様 (マスタリング・エンジニア/カッティング・エンジニア)

田中 三一 様(マスタリング・エンジニア)©Takashi Yashima田中 三一 様(マスタリング・エンジニア)©Takashi Yashima

小鐵 徹 様 (マスタリング・エンジニア/カッティング・エンジニア)小鐵 徹 様 (マスタリング・エンジニア/カッティング・エンジニア)

顕彰理由
CDやレコードを量産、配信するにあたって、さまざまな環境で録音、ミキシングされた音源の音量、音質、音圧、バランス、曲間などを最終段階で調整し原盤に固定する「マスタリング」作業に、国内におけるパイオニアとして尽力してきた。アーティストの意を汲む一方でリスナーの視点も大切に取り組んできた両氏の音作りは多方面で称賛され、音楽産業におけるマスタリング・エンジニアの重要性、またそのクリエイティビティに衆目を集めた功績は大きい。現在も名匠として内外からマスタリングの指名を受けている。

田中 三一 様 プロフィル
1942年、兵庫県淡路島生まれ。1969年CBS/SONY(現ソニー・ミュージックエンタテインメント/SMEJ)入社。初めてレコーディングを務めた本田路津子「秋でもないのに」のヒット以降、フォーリーブス、吉田拓郎、山口百恵、渡辺真知子等を手がけ、1982年のCD発売を機にマスタリング・エンジニアに。佐野元春、REBECCA、UNICORN、DREAMS COME TRUE、X JAPAN、電気グルーヴ、スピッツ、JUDY AND MARY、ゴスペラーズ、藤あや子、古典四重奏団など、ポップス、クラブミュージック、演歌、クラシック、沖縄民謡など幅広い分野を手がける。2018年、第25回日本プロ音楽録音賞優秀賞を受賞。SMEJを定年退職後、バーニー・グランドマン・マスタリング、studio ATLIOを経て、現在はstudio Chatriを運営。

小鐵 徹 様 プロフィル
1943年、岡山県新見市生まれ。1973年日本ビクター(現JVCケンウッド・クリエイティブメディア)のマスタリング部門に配属。以降、マスタリング・エンジニア、また国内で数人しかいないカッティング・エンジニアの一人としてアナログレコードやCDの制作に従事。これまで井上陽水、細野晴臣、坂本龍一、八神純子、山下達郎、岩崎宏美、サザンオールスターズ、THE BLUE HEARTS、Original Love、LUNA SEA、斉藤和義、Dragon Ash、MISIA、くるり、秦基博など数多くのアーティストを担当するほか、海外JAZZの名盤の再発など、CD、レコードを合わせて1万1千作品以上のマスタリングを手掛けている。 2018年、一般社団法人日本オーディオ協会 第23回「音の匠」を受賞。

田中 三一 様 受賞者コメント
マスタリングは、CD、配信など、音楽を商品化するための音楽制作の最後の工程です。生演奏のレコーディングとは異なる目立たない技術にもかかわらず評価をいただき、驚きと感謝を感じた次第です。最近は音源をPC上でミックスできるため、100以上もの音を個々にコントロールできます。それゆえこのミックスという作業をマスタリングと同時進行させる手法を研究しています。今後も作業効率や生産性にも目を配り、作品の創造範囲をより広げる可能性に挑んでいきます。

小鐵 徹 様 受賞者コメント
私はレコードもCDも、アーティストにとって大事な子供だと思っております。アーティストがこの楽曲をどのように聞かせたいと思っているのか、アーティストの一言から10のことを探り出そうと集中して、アーティストが満足するものをと思っております。ですからマスタリングの度に今度こそ満足なものを作るぞと気合を入れてスタートするのですが難しいですね。チャップリンの名言を模して『最高傑作は次作』と、これまで延々とやっておりましたが、この度の思いがけない受賞により、なお一層の気合を入れ直すことができました。誠にありがとうございました。

<JASRAC音楽文化賞選考委員(報道社名五十音順)>
古知 朋子 氏(朝日新聞東京本社 働き方改革実行委員会 事務局長)
田澤 穂高 氏(共同通信社 編集局文化部 副部長)
名越 章浩 氏(日本放送協会 解説委員室 解説主幹)
吉田 俊宏 氏(日本経済新聞社 総合解説センター 編集委員)
西田 浩 氏(読売新聞東京本社 編集局文化部 編集委員)

<推薦協力>
一般社団法人 日本新聞協会

■一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)について
JASRACは作詞家、作曲家、音楽出版社等の権利者から音楽の著作権の管理委託を受け、音楽を利用する方々に利用を許諾し、その対価としてお支払いいただいた著作物使用料を著作権者に分配しています。1939年に国内初の著作権管理団体として設立され、80年以上にわたり、著作権管理のプロフェッショナルとして音楽文化の発展に向けた努力を続けています。

団体名  :一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)
代表者  :理事長 浅石 道夫
本部所在地:東京都渋谷区上原3-6-12
設立   :1939年11月18日
URL   :https://www.jasrac.or.jp
事業内容 :音楽の著作物の著作権に関する管理事業、音楽著作物に関する外国著作権管理団体等との連絡及び著作権の相互保護、私的録音録画補償金に関する事業、著作権思想の普及事業、音楽著作権に関する調査研究、音楽文化の振興に資する事業

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