大谷能生×荘子it×伏見瞬!トークイベント「Loveと絶望の果てに届く音楽批評」開催決定!【『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』刊行記念】

株式会社イースト・プレスのプレスリリース

【詳細・お申込みはこちらから】
https://genron-cafe.jp/event/20220121/

※以下、公式HPより

【イベント概要】

「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第3期」で東浩紀審査員特別賞を受賞した伏見瞬さんが、2021年12月17日に初の単著『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』(イースト・プレス)を刊行されました!

ゲンロンカフェでは本書刊行を記念して、著者の伏見さんのほか、ゲストに音楽/批評の大谷能生さんとDos Monosの荘子itさんをお招きしたトークイベントを開催いたします。

【登壇者の伏見瞬さんより】

今回のイベントの趣旨は、音楽批評の過去と今のあらゆる側面を、みなさんと共有することに尽きています。

私は、2021年12月に『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』という本を上梓しました。根強い人気と評価を得ているにもかかわらず、総体的な作家論のなかったスピッツというバンドに、はじめて単行本一冊を通して組み合った音楽批評の本です。

拙著を著すにあたり、私はいくつかの目標を自らに課しました。たとえば、作品の複雑さを損ねずに文章を進めること。それは作家の創意や矜持を甘くみないことを意味します。同時に、作家の情熱や工夫とは別に、音楽とは人々にとって一体何なのかという疑問を忘れないこと。「音楽」と人が言うときに前提となっている制度や基準を不問に付すと、スケールの小さな話になってしまいます。そして、音楽批評は楽しく、必要で、音楽そのものと同じくらいスリルと色気があると伝えること。ほかの人の批評はどうか知らんが、自分の文章はそう感じさせなくてはいけない。そうしたいくつかの目標を満たすために、過去の音楽批評で蓄積されてきたあらゆる技術や手法をどんどん借用しました。自分の書いた文章が音楽批評の歴史に連なるものであることを、読み返すと強く感じます。

2021年11月に、自著を書き上げる前に是非とも読みたかった一冊の本が出版されました。『ニッポンの音楽批評150年100冊』。大谷能生さんと栗原裕一郎さんの共著で、明治以降積み重なってきたニッポンの音楽批評の歴史、「音楽」が一体どのように、どのような側面から語られてきたかを通覧した力業です。150年の歴史を30年ごとに分けて詳細に追った本書が執筆中に手元にあれば、もっと深く過去から学べたのに・・・。そんな詮無いことを思わず考えてしまいますが、せっかくゲンロンカフェで大谷さんとお話しできる機会をいただけたのだから、『スピッツ論』と『ニッポンの音楽批評150年100冊』をぶつけて、あらためて音楽批評の現在を考えてみようと思います。

大谷さんは、自身が音楽作家/サキソフォン奏者/ラッパー/役者として活躍しながら、ジャズやヒップホップ、あるいは戦前の日本カルチャー、はたまた音楽の教科書などを読み解く作業を通して、細部まで血の通った知識を人々に分け与えてきました。誰もが見落としている場所から文化を眺めるその感性が、今回の場を豊かに活気づけてくれます。

もう一人、お相手をしていただくのは荘子itさん。ご存知の通り、Dos Monosのラッパー/ビートメイカーとして鋭い批評精神を発揮するこの人物は、若いながらも深い思考を言葉に乗せることができます。音楽の作り手としても、一人の批評家としても、音楽批評の過去と現在に鋭い視座を投がかけてくれるでしょう。

音楽に限定されない幅広い知識と鋭い反射神経を持つ登壇者たちですので、話は多岐にわたることでしょう。たとえば、

・音楽批評150年と日本の批評全般150年を重ねると何がみえるか
・日本の音楽批評と欧米の音楽批評はどのようにズレ、どのように重なっているか
・批評と実作は過去どのような関係にあり、現在どのような関係にあるのか

などなど、今まであまり語られてこなかった話ができる気がします。

もちろん、開催場所がかのゲンロンカフェですから、話がどこに転がっていくかはわからないし、上に書いたこととは関係ないあさっての方向へ突進していく可能性も大いに有り得ます。唯一確かなことは、観客のみなさんにとって楽しい時間になるということだけです。

私は、優れた音楽批評によって、たくさんの楽しみを得てきたし、生きてく上で大事なことも学んできました。その喜びの感覚を、みなさんと共有したいというのが、私の一番の願いです。

是非とも、ご参加ください。

【登壇者プロフィール】

大谷能生(おおたに・よしお)
1972年生まれ。音楽(サックス・エレクトロニクス・作編曲・トラックメイキング)/批評(ジャズ史・20世紀音楽史・音楽理論)。菊地成孔との共著『憂鬱と官能を教えた学校』や、単著『貧しい音楽』『散文世界の散漫な散策:二〇世紀の批評を読む』『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』など著作多数。音楽家としてはsim、mas、JazzDommunisters、呑むズ、蓮沼執太フィルなど多くのグループやセッションに参加。ソロ・アルバム『「河岸忘日抄」より』、『舞台のための音楽2』をHEADZから、『Jazz Abstractions』をBlackSmokerからリリース。映画『乱暴と待機』の音楽および「相対性理論と大谷能生」名義で主題歌を担当。オフィスマウンテン、チェルフィッチュ、東京デスロック、中野茂樹+フランケンズ、岩渕貞太、鈴木ユキオ、大橋可也&ダンサーズ、室伏鴻、イデビアン・クルーなど、これまで50本以上の舞台作品に参加している。最新作は、音楽ではソロ・アルバム『Jazz Modernism』(Blacksmoker)、著作は『ニッポンの音楽批評150年100冊』(栗原裕一郎との共著)、オフィスマウンテン公演『体操させ、られ。してやられ』出演など。

荘子it(そうしっと)
Track Maker/Rapper。
1993年生まれ。
2019年に1st Album『Dos City』で米LAのDeathbomb ArcからデビューしたDos Monosを率い、全曲のトラックとラップを担当。
古今東西の音楽、哲学やサブカルチャーまで奔放なサンプリングテクニックで現代のビートミュージックへ昇華したスタイルが特徴。
2020年春にアメリカツアーを予定していたが、コロナの影響で中止。国内で制作に励み、台湾のIT大臣オードリー・タンとのコラボ曲等、シングルをいくつか発表した後、7月24日に、アリゾナのHip HopクルーInjury Reserveも参加した2nd Album 『Dos Siki』をリリースした。翌2021年7月にはそのリメイクアルバムとなる『Dos Siki 2nd season』をリリースし、同作にはblack midi、崎山蒼志、SMTK、Qiezi Mabo、JAZZ DOMMUNISTERSなどが参加した。
2021年9/14には、『ハイパー・ハードボイルド・グルメリポート』の上出遼平と共同でテレビ東京深夜の実験的番組『蓋』を手掛け、同作と連動したアルバム『Larderello』をリリースした。
12/3には、「HITOSHI MATSUMOTO Presents DOCUMENTAL Season10」のOP曲として制作したシングル『王墓』をリリースした。

伏見瞬(ふしみ・しゅん)
東京生まれ。批評家/ライター。音楽をはじめ、表現文化全般に関する執筆を行いながら、旅行誌を擬態する批評誌『LOCUST』の編集長を2018年より務める。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期 東浩紀審査員特別賞。2021年12月に初の単著『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』を刊行。

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。