<事後レポート>国際映画祭で受賞した映画「くじらびと」監督が大和大学で特別授業 映画制作の舞台裏公開とともに若者へ熱いメッセージ

学校法人西大和学園のプレスリリース

大和大学(所在地:大阪府吹田市、学長:田野瀬 良太郎)は、2021年11月5日から始まったグアム国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した映画「くじらびと」の監督・石川梵氏をお招きし、大学の特別授業「自然との共生インドネシアの伝統捕鯨をとらえたドキュメンタリー作品『くじらびと』の現場からの報告 (一般財団法人 日本鯨類研究所協賛)」を2022年1月5日(水)に開催いたしました。同作品は、日本映画撮影監督協会が開催している「第30回JSC賞」を受賞しており、講義開催当日は、大和大学で石川氏が学生に向けて特別授業を行ったあと、オンラインで同協会の授賞式に登壇し表彰状を授与、本学の学生からは花束を贈呈しました。

<グアム国際映画祭について>
西太平洋地域で唯一、2011年から毎年開催される米国の映画祭。主に米国、アジア、西太平洋諸国から多くの映画が出品され、国際的な評価も高い。

<日本映画撮影監督協会 JSC賞について>
劇場用映画以外の映像作品で撮影技術の作品への貢献度を評価している。

超大型ドキュメンタリー映画「くじらびと」に共感を呼んだワケ
石川梵氏が30年に渡り取材を続けてきた超大型ドキュメンタリー映画「くじらびと」は2021年9月に公開されて以降、国内外で評価が高く、グアム国際映画祭では『最優秀ドキュメンタリー賞』を受賞、撮影技術の作品への貢献度を評価する日本映画撮影監督協会でも『第30回JSC賞』を受賞し、国内最大級の映画批評サイトでも高評価を獲得するなど、ソーシャルメディアでの強い支持を受けて上映延長をする劇場が後を経ちませんでした。

日本から5000km離れたインドネシア東部の島・ラマネラ村を舞台とする同作品は、巨大なマッコウクジラを相手に1本のモリで漁に挑む人々を追ったドキュメンタリーであり、賛否を呼ぶ捕鯨問題としてではなく、大自然と共生しながら、海洋資源を持続的可能な範囲で消費し、先祖が受け継いできた伝統や信仰を守ろうとする村人の暮らし方が共感を呼んでいます。

個人でもドキュメンタリー映画が撮れる時代が到来

自主制作映画では異例の評価を得ている同作品は、なぜ制作することができたのでしょうか。石川梵氏は大和大学の学生へ向けて、4つの理由を語りました。1つ目は、30年にわたる現地取材を経て、村人達との信頼関係ができたこと。2つ目は、最新のドローンやゴープロなどを活用したこと、3つ目は資金調達にクラウドファンディングを利用したことによって、スポンサーの意向に左右されることなく、納得いくまで撮影期間を用意できたこと。4つ目は決定的瞬間の撮影を諦めなかったこと。石川梵氏は「クラウドファンディングや機器の進歩が1番のポイントだった。ある意味、新しい時代の象徴なのではと思っている」と自身の苦労よりも、これからは個人でドキュメンタリー映画が撮れる時代にあることを強調して語りました。

そして、学生達へのメッセージとして「現実が一番面白い。僕は、ドキュメンタリーは現実との関わりだと思う。いろんなところに旅をして実際に目で見て感じて欲しい。インターネットによって様々な知識が得られるようになったが、実際に体験することは全く違う。そういう現実との関わり方をして欲しいなと思います」と語りかけました。

第30回JSC賞を受賞!大和大学で表彰状を授与

大和大学で特別授業を行った当日は、東京都内で日本映画協会監督協会が2021年の優れた映画監督を表彰する式典を実施。石川氏は第30回JSC賞の受賞がすでに発表されており、大和大学が臨時式典会場となって、協会幹部から石川氏に記念の盾などが授与されました。

石川氏は「光栄な賞をいただきまして本当にありがとうございます。僕はもともと写真家でしたが、いつか映画を撮ってみたいと思っていました。技術の進歩によって、これまで個人で撮れなかったものが撮れるようになった。くじらびとは2作目になるが、3年間クジラが出なかった時もあった。2019年までクジラが出なくて3つの撮影クルーはビザが切れて帰らざるを得ませんでしたが、僕だけ1週間だけ帰るのを伸ばして最終日前日にやっとクジラが出ました。僕しかいない中で水中・上空・船上の様子を同時で撮影するという、とても難易度が高い撮影でした」と撮影で苦労したエピソードを語り、「かつての日本をタイムマシンで見るような、そんな映像を子孫の人たちに残したい。いかにこの映画を言葉ではなくて映像で表現することに拘りました。映像だけで表現することに成功したのではないかと思っている。本当に関係各所の皆様には感謝しています」と特に拘ったポイントを語り、感謝を述べました。

特別授業のサポートを務めた同大学社会学部 佐々木正明教授は、JSC賞を受賞した石川氏に祝辞を述べながら「なぜ石川さんが賞をとれたのか、それは執念です。石川さんは決定的な瞬間を撮るために決して諦めず、1日10時間以上を船上で費やすこともあり、それを何年も繰り返しました。これは、何かを成し遂げる時の縮図ではないかなと思います。決して諦めないで、必ず日がさす時がくる、みなさんが人生に置いてチャンスを掴む瞬間もそうなのではないかなと思います」と学生へ熱いメッセージを送りました。

 

  • 監督プロフィール

石川 梵 (いしかわ ぼん) 氏
写真家として30年間に渡り、世界7大陸で戦場から生存捕鯨まで大地と祈りをテーマに撮影。その経験を生かし、2015年からドキュメンタリー映画監督、撮影監督として世界をフィールドに映画制作活動を行う。

<作品歴>
ネパール大地震をテーマにしたドキュメンタリー映画「世界でいちばん美しい村」(2017)

<監督、撮影>
インドネシアの生存捕鯨を描いた「くじらびと」(2021) 監督、撮影。(グアム国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、観客賞受賞、CFK国際映画祭ベストドローン映画賞他受賞多数)
テレビでは、共同演出、海上撮影で参加した関西テレビ「巨鯨に挑む」は97年のATPドキュメンタリー賞を受賞。
写真家としては、写真集「海人」で日本写真家協会新人賞、講談社出版文化賞。「The Days After 東日本大震災の記憶」で日本写真協会作家賞。 他にも「伊勢神宮、遷宮とその秘儀」など著書多数。

 

  • 映画「くじらびと」とは 

2021年9月3日 劇場公開
配給/アンプラグド 制作/Bonfilm
監督・撮影/石川梵  第2撮影/山本直洋 編集/熱海鋼一  音響/帆刈幸雄youtube予告URL:https://youtu.be/2D0SU16id2Q

インドネシア・ラマレラ村で、伝統の捕鯨を400年間続けながら暮らす人々を捉えたドキュメンタリー。インドネシアの小さな島にある人口1500人のラマレラ村。住民たちは互いの和を何よりも大切にし、自然の恵みに感謝の祈りを捧げ、言い伝えを守りながら生きている。

その中で、「ラマファ」と呼ばれるクジラの銛打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑む。2018年、ラマファのひとりであるベンジャミンが捕鯨中に命を落とした。人々が深い悲しみに暮れる中、舟造りの名人である父イグナシウスは家族の結束の象徴として、伝統の舟を作り直すことを決意。

1年後、彼らの舟はまだ見ぬクジラを目指して大海へと漕ぎ出す。ライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた写真家・映像作家の石川梵監督が、2017年から19年までに撮影した映像を基に制作。自然とともに生きるラマレラ村の人々の日常を、繊細かつ臨場感あふれる映像で描き出す。優れた撮影技術とともに、テーマと作品の狙いに貢献していることが評価された。

 

  • 大和大学について

大和大学は、2014年春に開学した新しい大学です。これまでにないスピードで変化と発展を遂げる現代社会において、必要とされるのは「失敗を恐れず、挑戦する」姿勢を持った人材です。大きな志を以て自分の掲げる理想のために邁進する人材を育てることをめざし本学を設立しました。

■所在地:大阪府吹田市片山町2-5-1
■HP:https://www.yamato-u.ac.jp/

 

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