【国立映画アーカイブ】上映企画「1990年代日本映画――躍動する個の時代」開催のお知らせ

文化庁のプレスリリース

国立映画アーカイブでは、2月1日(火)より企画上映「1990年代日本映画――躍動する個の時代」を開催いたします。昨年の企画上映「1980年代日本映画――試行と新生」に続き、時代を代表するヒット作や新しい才能による重要作などを中心に、計66本(57プログラム)によって、1990年代の日本映画を回顧する企画です。当館のみならず、国内外を通して前例のない試みとなります。皆様のご来場をお待ちしています。
 

  • 本企画の見どころ

日本映画史に残るヒット作品、社会現象になった話題作
当時の日本映画の歴代配給収入記録を塗り替えた『もののけ姫』(宮崎駿)をはじめ、90年代の実写日本映画最大のヒットとなりシリーズ化もされた『踊る大捜査線 THE MOVIE』(本広克行)、ブームを巻き起こし後にハリウッドでもリメイクされた『Shall we ダンス?』(周防正行)や『リング』(中田秀夫)、単館系26週ロングランとなり映画賞を席巻した話題作『月はどっちに出ている』(崔洋一)などを上映します。

第一線で活躍する監督たちの初期作に注目
1990年代には様々な分野から監督デビューが相次ぎ、その多くが現在も活躍し続けています。是枝裕和『ワンダフルライフ』、岩井俊二『Love Letter』、橋口亮輔『二十才の微熱』、松岡錠司『きらきらひかる』、佐藤嗣麻子『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』、園子温『部屋 THE ROOM』、熊切和嘉『鬼畜大宴会』、三池崇史『新宿黒社会 チャイナマフィア戦争』、廣木隆一『800 TWO LAP RUNNERS』平山秀幸『ザ・中学教師』、青山真治『Helpless』、矢口史靖『ひみつの花園』など、日本映画を牽引するトップランナーたちの若々しい初期作品に注目ください。

女性監督の躍進
1990年代には女性の監督が増え始めました。松浦雅子『人でなしの恋』、佐藤嗣麻子『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』、風間志織『冬の河童』、松井久子『ユキエ』、浜野佐知『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』といった長篇作品、また、河瀨直美による中篇や実験映画で活躍した小口詩子和田淳子の短篇作品も上映します。

映画に見る女性像の変遷
「ジェンダー」という言葉が定着し、性別役割に対する意識が変化した1990年代には、女性のライフスタイルについても従来とは異なる観点で描かれるようになりました。主体的なヒロイン像を描いた『ひみつの花園』(矢口史靖)、働く女性のシスターフッドを題材とした『OL忠臣蔵』(原隆仁)、時代に即した家庭像を反映した『毎日が夏休み』(金子修介)など、ユニークな試みにご注目ください。

 多様化するセクシュアリティ
1990年代は、同性愛者に対する差別が違憲とされたり、ゲイやレズビアンの人々がメディアで積極的に取り上げられるなど、LGBTに対する意識が前景化した時代でもありました。映画もまた、この主題を意欲的に取り上げました。本上映会では、セクシュアリティの混沌を題材とした実験映画『ばら科たんぽぽ』(小口詩子)や、女性同性愛描写が含まれる『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(佐藤嗣麻子)、日常ドラマにおいて男性同性愛者を描いた『二十才の微熱』(橋口亮輔)『800 TWO LAP RUNNERS』(廣木隆一)『きらきらひかる』(松岡錠司)などを上映します。

時代を魅了した俳優たち
《活躍した話題作を上映》 
役所広司『Shall we ダンス?』『シャブ極道』『CURE』 /豊川悦司『きらきらひかる』『Love Letter』『居酒屋ゆうれい』 /永瀬正敏『死んでもいい』『我が人生最悪の時』/織田裕二『踊る大捜査線 THE MOVIE』 /哀川翔『ネオ チンピラ 鉄砲玉ぴゅ~』/片岡礼子『二十才の微熱』『鬼火』

《俳優キャリアの原点!若き日の作品を上映》
西島秀俊『居酒屋ゆうれい』/浅野忠信『Helpless』/井浦新(ARATA)『ワンダフルライフ』/西田尚美『ひみつの花園』/渡辺真起子『M/OTHER』/板谷由夏『アベックモンマリ』

アニメーション映画の作家性の深まり
1990年代は、劇場用アニメーションが幅広いファン層を獲得して作家性が深まり、インパクトの大きな作品が送り出されました。多大な影響を及ぼした作品として、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(押井守)、『耳をすませば』(近藤喜文)、『もののけ姫』(宮崎駿)、『PERFECT BLUE』(今敏)を35mmフィルムでご覧いただけます。 

海外映画祭など国際的に評価された作品
1990年代には、海外映画祭で日本映画が注目を集め、国際的な評価が高まりました。ヴェネツィア国際映画祭で受賞した北野武『HANA-BI』、カンヌ国際映画祭で評価された諏訪敦彦『M/OTHER』、ベルリン国際映画祭などで受賞した篠崎誠『おかえり』、ロカルノ国際映画祭で注目された塩田明彦『月光の囁き』、サン・セバスチャン国際映画祭やナント三大陸映画祭などで受賞した是枝裕和『ワンダフルライフ』などを上映します。
 

  • 上映作品(66作品)

ネオ チンピラ 鉄砲玉ぴゅ~』(1990年、監督:高橋伴明)/『櫻の園』(1990年、監督:中原俊)/『ワールド・アパートメント・ホラー』(1991年、監督:大友克洋)/『無能の人』(1991年、監督:竹中直人)/『おでかけ日記』(1988年、監督:小口詩子)/『ばら科たんぽぽ』(1990年、監督:小口詩子)/『眠る花』(1991年、監督:小口詩子)/『閉所嗜好症』(1993年、監督:和田淳子)/『桃色ベビーオイル』(1995年、監督:和田淳子)/『ザ・中学教師』(1992年、監督:平山秀幸)/『阿賀に生きる』(1992年、監督:佐藤真)/『死んでもいい』(1992年、監督:石井隆)/『きらきらひかる』(1992年、監督:松岡錠司)/『オールナイトロング』(1992年、監督:松村克弥)/『Don’t Let It Bring You Down』(1993年、監督:佐野和宏)/『End of The World』(1995年、監督:瀬々敬久)/『僕らはみんな生きている』(1993年、監督:滝田洋二郎)/『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993年、監督:押井守)/『二十才の微熱』(1993年、監督:橋口亮輔)/『部屋 THE ROOM』(1993年、監督:園子温)/『J・MOVIE・WARS 月はどっちに出ている』(1993年、監督:崔洋一)/『月はどっちに出ている』(1993年、監督:崔洋一)/『白い月』(1993年、監督:河瀬直美)/『風の記憶 渋谷にて 1995.12.26』(1995年、監督:河瀬直美)/『トカレフ』(1994年、監督:阪本順治)/『我が人生最悪の時』(1994年、監督:林海象)/『夏の庭 The Friends』(1994年、監督:相米慎二)/『あなたがすきです、だいすきです』(1994年、監督:大木裕之)/『エクスタシーの涙 恥淫』(1995年、監督:大木裕之)/『LOVE-ZERO=NO LIMIT』(1994年、監督:幡寿一(=佐藤寿保))/『迷い猫』(1998年、監督:サトウトシキ)/『毎日が夏休み』(1994年、監督:金子修介)/『800 TWO LAP RUNNERS』(1994年、監督:廣木隆一)/『居酒屋ゆうれい』(1994年、監督:渡邊孝好)/『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年、監督:金子修介)/『Love Letter』(1995年、監督:岩井俊二)/『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(1995年、監督:佐藤嗣麻子)/『耳をすませば』(1995年、監督:近藤喜文)/『新宿黒社会 チャイナマフィア戦争』(1995年、監督:三池崇史)/『人でなしの恋』(1995年、監督:松浦雅子)/『冬の河童』(1995年、監督:風間志織)/『Shall we ダンス?』(1996年、監督:周防正行)/『おかえり』(1996年、監督:篠崎誠)/『シャブ極道』(1996年、監督:細野辰興)/『Helpless』(1996年、監督:青山真治)/『ひみつの花園』(1997年、監督:矢口史靖)/『鬼火』(1997年、監督:望月六郎)/『東京夜曲』(1997年、監督:市川準)/『もののけ姫』(1997年、監督:宮崎駿)/『OL忠臣蔵』(1997年、監督:原隆仁)/『CURE』(1997年、監督:黒沢清)/『HANA-BI』(1997年、監督:北野武)/『リング』(1998年、監督:中田秀夫)/『ユキエ』(1998年、監督:松井久子)/『PERFECT BLUE』(1998年、監督:今敏)/『鬼畜大宴会』(1998年、監督:熊切和嘉)/『「A」』(1998年、監督:森達也)/『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年、監督:本広克行)/『アベックモンマリ』(1999年、監督:大谷健太郎)/『ワンダフルライフ』(1999年、監督:是枝裕和)/『洗濯機は俺にまかせろ』(1999年、監督:篠原哲雄)/『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』(1998年、監督:浜野佐知)/『月光の囁き』(1999年、監督:塩田明彦)/『M/OTHER』(1999年、監督:諏訪敦彦)/『アイ・ラヴ・ユー』(1999年、監督:大澤豊、米内山明宏)/『日曜日は終わらない』(1999年、監督:高橋陽一郎)
 

  • 企画詳細

企画名:1990年代日本映画――躍動する個の時代
(英題)Flourishing Independent Filmmakers: Japanese Films in the 1990s
会期:〈第1期〉2022年2月1日(火)―3月6日(日)〈第2期〉2022年4月5日(火)―5月1日(日)
会期中の休館日:月曜日
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/japanese1990s202201/
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

【前売指定席券】
第1期は1月25日(火)以降、第2期は3月29日(火)以降、毎週火曜日10:00amにチケットぴあにて翌週(火-日)上映回の前売指定席券(全席指定席)を発売します(発売日変更等の場合はHPでお知らせします)。
[Pコード:551-909]
▷一般:520円/高校・大学生・65歳以上:310円/小・中学生:100円/障害者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ:無料
*前売指定席券のみ販売いたします。
*会場でのチケットの販売はございません。
*障害者(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズの方も、前売指定席券をお求めください。

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