【夜の部のご紹介】ABCラジオ上方落語をきく会(3月6日(日)開催)

朝日放送ラジオ株式会社のプレスリリース

ABCラジオは、3月6日(日)に、創立70周年記念「上方落語をきく会」を開催します。

「上方落語をきく会」は、1965年(昭和30年)12月に第一回の公開録音を行って以来、現在まで続く上方落語で最も長い歴史を誇るイベントです。これまでに「1080分落語会」や」「しごきの会」など、ファンの間で後世の語り草になる数々の高座を生みだしてきました。

今回は、通算120回目、さらにはABCラジオの創立70周年記念と銘打って、JR大阪駅そばのグランフロント大阪・北館にある「ナレッジシアター」から昼夜の二公演を行います。

12時半開演の昼の部にご出演の皆さんは、笑福亭松喬さん、桂南天さん、笑福亭鉄瓶さんに、笑福亭羽光さん、桂小鯛さん、笑福亭智丸さん。
このほど令和3年度の文化庁芸術祭・大衆芸能部門で見事、大賞に輝いた松喬さんと、南天さん、鉄瓶さんの「上方落語をきく会」ではお馴染みのメンバーが登場。

そして、昨年、東京の落語芸術協会で真打に昇進したばかりで落語ファンの皆さんの間では「成金」メンバーとしてもお馴染みだった羽光さん、さらには、昨年秋の上方落語若手噺家グランプリで見事優勝を果たした小鯛さん、仁智一門の注目株・智丸さんが登場します。
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勝負と言うか、頑張らなあかん年代やと思います。

 今回、当日の総合司会であり、普段、社会人落語家として高座にも上がる桂紗綾アナウンサーが、夜の部のトリで出演する桂吉弥さんにお話しを伺いました。

〇ええもんを残したい

桂紗綾(以下、紗綾) 創立70周年記念「上方落語をきく会」、今回の大トリは桂吉弥さんです。吉弥さん、大丈夫ですか?

吉弥(以下、吉弥) そうなんですよ。(コロナの)コビット19いうのにかかりまして。今、紗綾さんとしゃべっているのが、復帰後第1回目。スタートというか、リスタートというか、すごいタイミングで。2月25日にしゃべっているんですが、僕、今日が誕生日なんです。

(紗綾) おめでとうございます!

(吉弥) 10日間の隔離期間が2月24日までで、明けが誕生日ってね。はかったように!

(紗綾) おいくつになられました?

(吉弥) 51歳になりました。

(紗綾) 51? 見えませんねー。お若いですね、でも若いけど、どっしり、しっかりしてはるイメージ!

(吉弥) 体重が増えたからね。ハハハ!

 

桂紗綾(左)、桂吉弥(右)桂紗綾(左)、桂吉弥(右)

(紗綾) いや、そういう意味ではない(笑)!

(吉弥) ほんとにたいへんでしたね。みなさんもお気をつけいただきたいと思います。リスタートが51歳の誕生日の日で、しかも「上方落語をきく会」のお知らせで。今度、大トリ? 今、初めて聞きましたけど。

(紗綾) え、ほんとですか!? 昼の部、夜の部がありまして。夜の部の最後が吉弥さん。

(吉弥) いやー、かなんわー。一緒に出る二葉とか、華紋とか今を時めく彼ら、彼女らにトリを取らしてもいいんじゃないの?

(紗綾) それは、ABCラジオが期待をもって10年後、20年後にトリ、中トリを取ってくださっているであろう、今を時めく若手のみなさんに、前半部分に出ていただくというコンセプトなんでございます。

(吉弥) 夜の部はね、桂りょうばくん、桂二葉さん、桂華紋くん。いやぁ、もう頑張ってるみなさんですけど、桂文三さんが中トリで、中入り後は月亭方正さんと吉弥で。

(紗綾) 吉弥さんは今回で通算10回目だそうです。記念すべきですね!

(吉弥) そんなに出していただいているんですか?

(紗綾) 私はたぶん、この「上方落語をきく会」に携わるようになってから毎回、吉弥さんと「上方落語をきく会」でお会いしています。やっぱり常に出てはるんやなというイメージです。ABCラジオといえば吉弥さん、吉弥さんと言えばABCラジオみたいな。ほかには行かせへんで!みたいな。囲い込みますよ!みたいな感じで(笑)。

(吉弥) ほんまありがたいです。やっぱりね、そうやって落語を流してくれはるとかね。私、今回、隔離期間でずっと家に籠ってたじゃないですか? ほな、やっぱり家でいろいろ見るわけですよ。マッド・デイモン主演の「ジェイソン・ボーン」の「ボーン」シリーズを全部見たしね。

(紗綾) 時間があるから?

(吉弥) 「エヴァンゲリオン」も全部見ましたし。ハハハ!

(紗綾) そんなに時間ありました?

(吉弥) めちゃくちゃ時間あるやんか!

(紗綾) 落語の稽古とかしなくて?

(吉弥) そして、「エヴァンゲリオン」の後に落語のを見だしたら、「あー、いろんなもん残ってんなー」とかね。

(紗綾) これまでの師匠連の映像とか?

(吉弥) そうそう。映像とか、そういうのはやっぱり残していただかないと。放送していただいたりとか。これ、めちゃくちゃ大事やなと思いましたわ。

(紗綾) 1回1回、その場限りの、そこにいらっしゃるお客さんのためにやっているー。

(吉弥) そういう芸なんですけどね。でも、やっぱり残っているのを聞くと、こういうのが残っているのはありがたいなと思うしね。だから、そういう意味でいうと、ええのっていうか、その時のお客さんと作り上げたええもんを残していただかないとあかんなとちょっと思いましてね。だって、やっぱりええもん残したいじゃないですか?

(紗綾) そりゃそうですよ。そのために撮りたいっていうのもありますしね!

 普段の高座も勝負していかないかん

 (吉弥) 今回、僕がコビット19に感染した同じ日に、NHKの朝ドラの「ちりとてちん」で一緒にやった俳優の青木崇高も感染したんですよ。ラインが来てね。まったく一緒やなって。そんで、NMBの10人くらいの方も感染したって。それがスポーツ紙で出たんですけど、その写真がウエブで上がってて、青木崇高とか、NMBの子らはごっつ、いい写真が出たわけですよ。

(紗綾) そりゃそうですよ。スポーツ新聞も持ってる写真を出しますからね。

(吉弥) 私の写真がね、ほんま、ぼーっとしたね、これ、どこの写真やねんっていう。

(紗綾) そうか、そういうのもちゃんと押さえておいてほしいわけですよね?

(吉弥) そう思たんです。だから、落語もそうやけど、そういうスポーツ紙のみなさんが、「吉弥の写真ないか」と言うた時に、ええ写真置いとかな。

(紗綾) 大事ですねー。わかるわー。

(吉弥) ほんまね、下から撮ってね、二重顎でね、ぼやーっとした写真やねん。もう嫌やったわー。コロナになるより、その写真が出るのが嫌やってん(笑)。

(紗綾) 悪意はないと思いますよ。それしかなかっただけであって。今から送りましょ! スポーツ新聞にそれぞれ。これ使ってくださいって(笑)!

(吉弥) だからこれから撮られる写真のクオリティも自分で上げていかなあかん。いつ撮られてもいい感じで撮られないと、と。そういうことなんやなと思った。だから、女優さんとかタレントさんがちょっとした取材とかインタビューでもメイクの人が来たり、照明の人がちゃんとついてたりとか、衣装さんが、とかそういうことなんやなと思いました。

(紗綾) 写真撮るときは大事ですよ。

(吉弥) 大事ですね。そういう意味で、残るもんとか、放送していただくようなもんは、普段の高座もそうやねんけど、1回1回クオリティというか、いいもんをというか、勝負していかないかんなと思った10日間でございました。

 
師匠・吉朝の年齢を超えて

 (紗綾) 今回、大トリですので、吉弥さんが、僕を見てくれって言うネタをたっぷりとかけることが可能だと思うんです。これまでいろんなネタをやっていただいています。2005年が最初だったんです。

(吉弥) 94年入門ですから、10年目ちょっとくらいですね。

(紗綾) その時が「ふぐ鍋」。「東の旅・発端」とかも演ってくださっています。「煮売り屋」まで。

(吉弥) へぇー。ちなみに、「ふぐ鍋」をやった時は、トリはどなたが?

(紗綾) 第1部で、けっこうたくさん出てらっしゃるんです。12人で、トリが笑福亭松喬さんです。先代?

(吉弥) あ、先代の松喬師匠!

(紗綾) 「質屋蔵」。

(吉弥) いいなぁ!

(紗綾) 吉弥さんはこれまでに「書割盗人」、ご自身で作った「ホース演芸場」もされてますね。

(吉弥) 今回ね、そろそろ自宅療養期間も終わるという時に、風呂場で一番最初に「東の旅・発端」できるかなってやってみましたもんね。一番最初に覚えたネタね。28年くらい前に。

(紗綾) やっぱり、一からですね。そこは! どうでした?

(吉弥) なかなか出てけぇへんわね…。細かいところがね。順番とかね。言葉がいっぱいあるのでね。でも、やっちゃいましたね。

(紗綾) やっちゃいましたか! 今回は大きいネタというか、ご自身の中で満を持してっていうものを?

(吉弥) でも、自分で用意してたとしても、先に出る人がやるネタで、例えば子供の噺が出たら、子供の噺できへんし。そういうのもあるからね。

(紗綾) ありますよね。たいへん!

(吉弥) いや、たいへんなことないですけど(笑)。

(紗綾) でも、今や責任感を伴う、トリをつとめることも多くなってきたんじゃないですか、吉弥さんは?

(吉弥) これ、どうなんですかね? 順番やと思いますけどね。

(紗綾) 順番? 吉弥さんは入門28年になりますか?

(吉弥) そうですね。僕、同期は林家菊丸くんとか、桂かい枝くん、桂春蝶くん、桂三若さんやら桂米紫さんやら。

(紗綾) たくさんいらっしゃいます。みなさんが今や上方落語を背負ってる感じもいたしますが。

(吉弥) いや、でも、まだまだ元気ですよ。上の人らも!

(紗綾) そうですよね。お元気。でもこれから責任感ある立場でしょ?

(吉弥) まぁ、やらなあかんのかなっていうことですよね。51歳になったんでね。うちの師匠、吉朝さんって2005年に亡くなったんですけど、50歳で亡くなったんですよ。

(紗綾) 年齢で師匠を超えたということですね?

(吉弥) この間、春蝶くんとしゃべってたら、春蝶くんの親父さんも、

(紗綾) 二代目の師匠?

(吉弥) はい。それくらいで。50歳くらいで亡くなってはる。

(紗綾) 51歳ですね。

(吉弥) 結構、多いんですよね。

(紗綾) そんな寂しいこと言わんといてください。

(吉弥) いえいえい、俺は頑張るけど、体に気ぃ付けて。好きやった人たちの残っている音源なんかも50代のが多いので、勝負っていうか、頑張らなあかん年代やと思いますしね。

 師匠のⅮNAを引き継ぐ意識

(紗綾) 自分が若い頃に聞いてた人たちとだいたい同じくらいの年齢になってくるってどういう気分ですか?

(吉弥) いや、もう怖いです。

(紗綾) 怖い?

(吉弥) 怖いというか、言うたら何ですけど、みなさんすごく美しいし、おもしろいし。ほんで、やっぱりそういうもんは、ええもんが残ってるって言うたらあれやけど、ええもんをしてはるから。それに、その時代で終わってるから、聞いてる人にも見てる人にも(頭の中で)どんどん、どんどんいいものになっていくんですよ。落語ってみんなの、それぞれの頭の中にあるもんやからね。

(紗綾) その方が亡くなる時に一緒に持って死んでいくっていうような気もするんですね。その人の落語、吉朝師匠の「吉朝落語」っていうものを持って、あの世に旅立たれるっていう感じがするんです。でも、それをイズムみたいなⅮNAみたいなものを引き継ぐっていう意識みたいなものはあったりするんですか?

(吉弥) だって教えてもらったり、自分が好きでその時、必死になって追いかけてたり、この人みたいになりたいとか、横で一番聞いてた人がうちの吉朝さんですからね。私で言うとね。そりゃ、やっぱり意識しますよね?

(紗綾) その年齢と一緒になってきたって。亡くなる間際の。

(吉弥) どうしても、そこにたどり着くというか、そこをなんとなくやけど、できたらいいなと思ってやってますからね。

(紗綾) 実感としてはいかがですか? 今?

(吉弥) え? できてるかっていうことですか? いやぁー、できてないと思うわー。でも、今、聞いてる人には、ほんとにその瞬間、生でできるのは私なのでね。

(紗綾) ほんとにそうですよね? 亡くなった先人に打ち勝つ?

(吉弥) のは、そこしかできないので。それで何とか、そういう思いをって。あれ、小佐田先生の本を読んでたんかな。例えば、うちの師匠が最期に「弱法師」っていう噺をやった時に、「弱法師」は先代の桂米團治師匠が遺した速記を使ってやったんだけど、この噺の中でどういうことがやりたいかって言ったら、小佐田先生に「この噺でお客さんに梅を感じてほしい。梅の香りを立たしたい」って。

(紗綾) 相談をされて?

(吉弥) 「そういう話をした」って書いてはったんでね。そういうのがヒントですね。そんなことを考えてはったんやって。

(紗綾) 五感に訴えかけるような? そういう落語をきっとされて、ラジオを通じても伝わっていくもんでしょうしね?

(吉弥) 落語で、音だけでね。しゃべりだけで梅の香りが。あー、梅はどんな香りやったかなー(笑)

(紗綾) それ、ちょっと…(笑) あれ? 大丈夫? 今ちょうど時期ですので(笑) 思い出していただいて!

 香ってもらえるような落語を
 
(吉弥) かい枝くんがいまだに言いますけど、サンケイホールの独演会で、うちの師匠が「愛宕山」をしはった時に、舞台に出る前に一瞬、後ろの寄席囲いの襖がすーっと開いたら、後ろに春景色がぱーっと見えて。いわゆるお座敷の中庭っていうか。「愛宕山」の雰囲気っていうよりは愛宕山に行く、その春の、梅が遅咲きやみたいな景色で。うちの師匠、梅が好きやったんかな(笑)?

(紗綾) そうかもしれませんね(笑)。

(吉弥) その風景がさーっと出て、で、出囃子が鳴ってる間に襖がすーっと閉じて、うちの師匠が出てきて「愛宕山」をやったと。

(紗綾) 粋な!!

(吉弥) だからその風景は、それこそ30秒くらいしか見てないです。お客さんは。あんな景色の前で吉朝さん演るんかなと思ったら、襖がすーっと閉まって、うちの師匠が出てきて演ったっていう。

(紗綾) 考えて、ね。

(吉弥) 俺も横におったはずやのに、全然覚えてへんねん(笑)。

(紗綾) あれ? ハハハ(笑)  師匠の会やから、いろいろ緊張してることもあったんでしょうね! きっとね。

(吉弥) でもそういうのんも、お客さんに感じてほしい。お客さんに思ってほしいと思って落語してたんやなと思って。うちの師匠もね。

(紗綾) 今回の「上方らくごを聞く会」、大トリの吉弥さんもきっと、リスナーのみなさん、そして会場のみなさんにはそれを感じていただけるような落語を!

(吉弥) あ、そうですね。じゃ、今回はそれを目標に。何かを香ってもらえるような!

(紗綾) お、いいですね。楽しみにしております。

(吉弥) お酒の匂いかもわかれへんし。

(紗綾) そうかもしれませんけれども。こっちも酔っぱらっちゃうような感じの落語を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

(吉弥) よろしくお願いいたします。

 
(2022年2月25日 ABCスタジオ)
構成=日高美恵 写真=粟津美乃理
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桂吉弥(かつら・きちや)

1971年2月25日生まれ。大阪府豊中市出身。94年に桂吉朝に入門。平成26年文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、平成25年文化庁芸術祭優秀賞、花形演芸大賞ほか受賞多数。

 〇イベント情報
創立70周年記念「ABCラジオ上方落語をきく会」
2022年3月6日(日)ナレッジシアター(グランフロント大阪内)にて
【昼の部出演者】12時30分開演、15時30分終演予定
笑福亭松喬、桂南天、笑福亭鉄瓶、笑福亭羽光、桂小鯛、笑福亭智丸
【夜の部出演者】17時30分開演、21時終演予定
桂文三、桂吉弥、月亭方正、桂華紋、桂二葉、桂りょうば
総合司会:伊藤史隆アナウンサー、桂紗綾アナウンサー

〇公式HP:https://www.abc1008.com/rakugo_kikukai/

【チケット購入はコチラから!】
◆チケットぴあ http://t.pia.jp/
◆チケットぴあ Pコード:510-482
※3月13日(日)までオンライン視聴が可能

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