株式会社 日経BPのプレスリリース
音楽、テレビ、映画、文学の各分野がクロスオーバーを始め、新しい才能が芽生えた1978～1983年。この「黄金の6年間」になぜエンタメ界が進化し、優れたクリエイターや話題作が次々と生まれ、今につながるスタンダードになり得たのか。『ザ・ベストテン』で幕を開け、松任谷由実、村上春樹、『銀河鉄道999』、『3年B組金八先生』、松原みき、久保田早紀、竹内まりや、YMO、松田聖子、宮崎美子、中島みゆき、『機動戦士ガンダム』、大滝詠一、萩本欽一、サザンオールスターズ、中森明菜、タモリ、『ふぞろいの林檎たち』、原田知世が次々とヒットした6年間の舞台裏に迫ります。1980年代の音楽情報発信サイト「Re:minder-リマインダー」（https://reminder.top/）の人気連載の待望の書籍化となります。
「黄金の６年間」とは ～「はじめに」より～
黄金の６年間――それは思想なき、感性の６年間だった。
言葉より、音楽が求められた。文学より、広告に光が当たった。権威より、市場が優先された。
１９７８年、プロデューサーの裁量ではなく、市場のニーズ（ランキング）で出演者を決める『ザ・ベストテン』（ＴＢＳ系）が始まった。久米宏曰く、それは音楽番組というより、時代を映すニュース番組だった。その年にデビューしたＹＭＯは、もはや言葉を必要としていなかった。
１９７９年、日本映画で初めてアニメ作品が配給収入で１位になった。その『銀河鉄道９９９』を筆頭に、テレビでは国民的アニメ『ドラえもん』と『機動戦士ガンダム』が始まり、映画では『ルパン三世 カリオストロの城』が封切られた。ある人は、「アニメ奇跡の年」と呼んだ。
１９８０年、36歳のトップが「楽しくなければテレビじゃない」と大ナタを振るい、フジテレビが生まれ変わった。一方、その年の暮れにジョン・レノンが射殺された。それは、思想の時代――70年代の終わりを印象付けた。
１９８１年、大滝詠一の『A LONG VACATION』が時代を席巻した。そのメロディーはとことんポップ、松本隆のワードセンスは都会的で、永井博のアートワークは西海岸の風のようだった。若者たちはカセットテープにダビングし、ウォークマンに入れて持ち歩いた。
１９８２年、アイドル松田聖子が髪を切り、ユーミンの作った曲を歌った。ＣＭのないＮＨＫは、広告界のスター糸井重里を新番組の司会に起用した。角川映画の『蒲田行進曲』は松竹の配給ながら、東映の京都撮影所で撮影された。あらゆる分野でクロスオーバーが進んでいた。
そして、１９８３年――千葉の浦安に夢と魔法の王国「東京ディズニーランド」が開園した。もはや“東京”の概念は行政の境界線を越え、巨大なエンタテインメントの楽園の登場は「黄金の６年間」のフィナーレを飾るにふさわしかった。
＜目次より＞
1978●風の歌を聴け、村上春樹が小説を書いてみようと思い立った時
1979●『真夜中のドア』、世界中から共感されるシティーポップブームの核心
1980●ＹＭＯとは高橋幸宏のことである。
1981●アニメ新世紀宣言！ 歴史を変えた『機動戦士ガンダム』の登場
1982●松田聖子はＢがいい、珠玉のクオリティーはＢ面『制服』Ｂメロにあり
1983●原田知世『時をかける少女』クオリティー高すぎのアイドル映画
＜著者プロフィール＞
指南役
メディアプランナー。代表・草場滋。1995年「ソニー・アート・アーティスト・オーディション」入賞。1998年「フジテレビ・バラエティプランナー大賞」グランプリ。2001年より20年間、月刊誌「日経エンタテインメント！」（日経ＢＰ）にて『テレビ証券』を連載。2016年よりウェブサイト・チェリーにて『指南役のＴＶコンシェルジュ』を連載。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。代表作にテレビ番組『逃走中』（フジテレビ）の企画原案、ドラマ『東京００７』（フジテレビ）の脚本、映画『バブルへＧＯ！』（馬場康夫監督）の原作協力など。著書に『タイムウォーカー～時間旅行代理店』（ダイヤモンド社）、『キミがこの本を買ったワケ』（扶桑社）、『空気のトリセツ』（ポプラ社）、『「考え方」の考え方』『テレビは余命７年』（大和書房）、『幻の1940年計画』（アスペクト）、『「朝ドラ」一人勝ちの法則』（光文社新書）など。
http://www.cynanyc.com/
＜本書について＞
■書名：黄金の６年間 ～素晴らしきエンタメ青春時代～
■著者：指南役
■発行日：2022年３月23日（水）
■定価：1980円（10％税込み）
■発行：日経ＢＰ
■発売：日経ＢＰマーケティング
■仕様：四六判・並製・288ページ
■ISBN：978-4-296-11226-5
