株式会社小学館のプレスリリース
ジャーナリスト・江森敬治氏が異例のインタビュー録『秋篠宮』を 5月11日に発売します。「皇嗣」という立場から、令和皇室を支える秋篠宮の肉声が、定例会見以外で紹介されるのは極めてめずらしいことです。
筆者と秋篠宮との初対面は、さかのぼること1991年2月、秋篠宮が紀子妃と結婚した翌年のこと。
《私は新聞社の京都支局に勤務していた。新婚の秋篠宮夫妻が京都にやって来るというので、私たち夫婦は宿泊先の老舗旅館を訪れ、秋篠宮夫妻と会った。…… 以来、秋篠宮と私との個人的な付き合いは、三十一年を超えた。》(本書より)
長年の交流がありながら、あらためて、本書の執筆を思い立ったのは理由があります。近年の秋篠宮をめぐる報道に関して、《戦後の皇室史を振り返っても、ここまで国民の関心を集めたのは特異といっていい》という状況があったからです。
国民に直接、退位を訴えかけた前天皇によるビデオメッセージが2016年8月8日、その後、代替わりに向けた準備が慌ただしく進められる。そして、秋篠宮も父親として重要な節目を迎えていました。2017年5月16日、長女の眞子内親王(当時)の婚約内定がNHKに報道されるや、週刊誌やワイドショーなどを巻き込み、国民の一大関心事となったからです。
2019年5月、元号が令和に改められた半年後にはコロナ禍という暗雲が日本を覆い、皇室行事の多くが中止を余儀なくされます。こうした状況下、筆者は秋篠宮邸に、この5年間で37回通いました。
《私は、本書のための取材を開始した一七年六月から脱稿する二二年一月末までの間に、秋篠宮邸および御仮寓所に合計三十七回、足を運んだ。》
世間に流されている情報や姿と、実際のそれがかけ離れていることも。とくにそのギャップは、長女の結婚問題に際して顕著だったそうです。
《長女小室眞子の結婚問題についても、国民の多くは「皇室スキャンダル」として受け止めているだろう。その間、幾度となく面会した私は、皇族である前に一人の人間、あるいは一人の父親として、葛藤する姿をそこに見ている。》
皇族の肉声が、直接的に報じられることは稀なことで、その影響力の大きさも考慮し、筆者は対外的な発信を長らく控えてきたそうです。
しかし、筆者がこのたび出版を決意したのは、過熱する報道が収束しかけてはいるものの、秋篠宮やその家族をめぐって誤解されたイメージが定着しているという意識があるからだそうです。「激動の日々」の内実を筆者がジャーナリストとして発表することは、皇室や皇族に関して国民が理解するうえで公益性があるとも考えられました。
本書で扱うテーマ、つまりは秋篠宮の言及は、長女の結婚や父の退位、宮内庁の課題についてなど多岐におよびます。注目すべきは、それらの出来事がリアルタイムで進行している最中に、筆者が秋篠宮邸に通っていたことです。
相手男性をめぐる報道から、長女の結婚に対して厳しい指摘が目立ちはじめた時期に、筆者は秋篠宮から「二人はそれでも結婚しますよ」という言葉を聞く。天皇の退位を機に皇室制度そのものが議論されていたことには、「ある一定の年齢を超えた時期に、余生を大事にすることは、それが天皇であっても同じ人間として人間的に生きる権利という観点からも大切なことではないかと思いました」と、本音を話しています。
いっぽう、「地方に母が出かけるというので、ものすごく泣いたという思い出は鮮明に残っていますね」と、上皇后のことをはじめ、秋篠宮自身の幼少期の思い出なども収録しています。
弟として、父として、皇嗣として、何に悩み、何を考え、何を語っていたのか。「人間・秋篠宮」の姿を知ることは、「国民とともにある皇室」とは何かを読者に問いかけるに違いありません。
『秋篠宮』
著:江森敬治 定価1,650円(税込) 四六判上製240頁
5月11日発売 小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388862