“ アカペラハーモニーでチームもハモる ” 「協働の場づくりに向けたハーモニー共同行為の効果検証」

株式会社hamo-laboのプレスリリース

株式会社hamo-laboは愛媛大学社会共創学部・羽鳥剛史 准教授らとの共同研究により、協働の場づくりにおける「ハーモニー」の役割に着目、ハーモニー共同行為が協働を促進する効果とその条件について検討しました。実験検証により、周りに違う音がある中で “ ハモる ” 行為がグループ内の心理的安全性を高め、利他的傾向もより高くなる傾向が見られる結果が得られました。本研究は土木学会論文集 D3(土木 計画学),Vol.78, No.6, pp. II_460-II_469, 2022. に掲載されました。
論文(電子ジャーナルプラットフォーム J-STAGE)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejipm/78/6/78_II_460/_article/-char/ja

【本研究の概要】 https://hamo-labo.co.jp/research/

・実験参加者

本実験は、愛媛大学生を対象にして、2019年11月20日~12月2日の期間、全6回(各回18名ずつ合計104名、男性60.6%、女性39.4%)実施した。この実験は、音楽に関する専門的知識や経験を問わないため、学内で広く参加を呼びかけた。

 

  •  実験条件

 

パートごとに集まって歌う「パート別歌唱(合唱形態)」と複数パートが混ざって歌う「混合歌唱(アカペラ形態)」とを比較。

実験条件

 

 

  •  実験結果

A.相手の印象について

パート別歌唱(合唱形態)は同グループの人に対する印象が上がる。
 

相手の印象について

B.歌唱後の感想

「難しさ」では混合歌唱(アカペラ形態)が有意に高い。
 

歌唱後の感想

C.社会的価値性向

混合歌唱(アカペラ形態)により利他的思考者が増加する傾向にある。
 

社会的価値性向

D.ヘリウムリングゲームの失敗回数について

失敗は自己申告制。心理的安全が作用すれば、自己申告(失敗を認め伝える)回数が増える可能性がある。
 

ヘリウムリングゲーム

  • 考察

1.混合歌唱の利他的思考者増加について

・パート別歌唱(合唱形態)は、周囲に同じ音が存在し、聞こえてくる音に合わせるだけで良い。(自らの音の調整のみ)
・一方、混合歌唱(アカペラ形態)は、周囲に別パートの音が混在するため、異なる音(他者)を意識せざるを得ない状況で、他者との調整を行う。

→異なる音が混在するアカペラ形態の性質が、他者への意識を促し、利他的思考者を増加させることに寄与した可能性が示唆される。

2.歌唱形態と失敗の関連について

・パート別歌唱(合唱形態)は「ハモっている」「気持ち良い」と感じ、同グループの人の印象が上がるという結果から、周囲と同じ音を出そうという同調傾向を強める副次的効果にもつながり得る。(逸脱を認めない)
・一方、混合歌唱(アカペラ形態)は「難しい」と感じ、利他的思考者が増加するという結果から、音を合わせるだけでなく、他者との音の違いや「うまく調整できないこと」を認める意識になる。(失敗に寛容になる)

→異なる音が混在するアカペラ形態の性質が、失敗に寛容になる雰囲気をつくることに寄与した可能性が示唆される。

共同研究者:羽鳥 剛史(愛媛大学社会共創学部)、志田 尚人(オノコボデザイン合同会社)、片岡 由香(愛媛大学社会共創学部)、大西 正光(京都大学防災研究所)、杉田 篤史(株式会社hamo-labo)

【杉田 篤史(株式会社hamo-labo 代表取締役・アカペラグループINSPi リーダー)コメント】 
 

杉田篤史(hamo-labo)

「ハモると仲良くなる」アカペラを続けてきてずっと感じていたその感覚が、この度の研究を通して実証されました。お互いに異なるパートを歌唱し合うことの効果は、お互いの意見や立場の相違を価値として認め合い、そこから対話が促される可能性を示唆するものと捉えられます。本研究が着目する、ハーモニーの視点からコミュニケーションを再認識する「ハモニケーション」の試みは、人々の間の “ 違い ” に価値を見出し、現代社会のあらゆる場面で起こる『対立・分断』を『調和』へと昇華させていく1つの契機になり得るものと期待しています。

【羽鳥剛史(愛媛大学社会共創学部 准教授)コメント】

羽鳥剛史(愛媛大学)

杉田さんの主催するハモニケーションワークショップでは、参加者全員が一緒に歌うことを心から楽しんでいる様子が印象的です。そこでは、音程を外してもよい、歌が苦手でもよいという寛容な雰囲気があります。それでいてみんなが “ ハモる ” ことに真剣に取り組んでいます。ワークショップの場は、アカペラという表現を通して一人一人がかけがえのない存在として受け入れられる、言わば “ 小さな世界 ” のように見えます。ハモニケーションには、現代社会の中でお互いを認め合える小世界を生み出す力があるようです。それは、現代人に押し寄せる巨大なうねりの中ではほんのささやかな試みであるかもしれません。しかし、その試みが、孤独に悩む人々が本来の自分を取り戻し、不和を抱える組織がその活力を取り戻す確かな一歩になり得ます。大げさな言い方になりますが、ハモニケーションは、私たちが集団の中で「孤独」と「迎合」に陥るのを防ぐための現代社会の “ 処方箋 ” と言ってもよいと、私は思っています。

【hamo-labo(ハモラボ)とは】

 

 

 

hamo-laboは「本音が響き合い豊かに調和する社会」を目指して、2017年に設立、後に法人化しました。現在は音楽ハーモニー体験からコミュニケーションや人と人の調和関係を考える「ハモニケーション®︎ワークショップ」や、歌づくり経験のない人に向けて自己探求・自己開示・他者と共有による相互理解を目的とした「つくろう!わたしのうたワークショップ」などを企業・自治体・学校に提供。また地域の歌づくりを通して文化振興にも関わり、特に平成30年7月豪雨で被災した愛媛県西予市野村町での地域の方々との歌づくりは3年間で3曲の歌が生まれ、追悼式でも地域の子どもらによる合唱で歌われるなど、深く継続して関係しています。

株式会社hamo-labo

〈会社情報〉
社名:株式会社hamo-labo
設立:2019年
所在:東京都大田区山王2−3−3 野口ビル5階
URL:https://hamo-labo.co.jp/

【お問い合わせ】 
株式会社hamo-labo info@hamo-labo.co.jp

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