落合陽一 演出!古楽器×メディアアート×パフォーマンスアートによる『HUMAN / CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル』

アーリーミュージックエンタープライズ株式会社のプレスリリース

11月3(祝、木)~4日(金)、神奈川県立音楽堂にて開催!
国際的に活躍する異分野のアーティストたちのコラボレーションによって
近未来のヒューマニティとアートを予見させる芸術的試み
開催日:2022年11月3日(祝・木)、4日(金)会場:神奈川県立音楽堂
一般発売:2022年6月10日(金)開始

 

メディアアーティストの落合陽一が、ポストコロナ時代に拡張された人間の「身体性」をテーマに、近未来の新たな「ヒューマニティ」のかたちを、古楽器×メディアアート×パフォーマンスアートによる異分野のアーティストたちとのコラボレーションによって描き出す。

2022年11月3日(祝・木)、4日(金)、神奈川県立音楽堂にて、メディアアーティストの落合陽一、古楽器奏者の小川加恵、パフォーマンスアーティストのステラークによる『HUMAN /CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル』が、英国在住の日本を代表する作曲家 藤倉大とタッグを組み、世界初演となる「古楽器、メディアアート、パフォーマンスアートのための作品」を発表&ライブパフォーマンスを披露する。

Covid19によりあらゆる社会環境においてオンライン化が進む現在、人間の「身体性」や「共感覚性」の意義が問われている。これまでもポストコロナ時代における人間の身体性や、アートの祝祭性について問い直す芸術的取り組みを続けてきた落合陽一が、本公演では「近未来の新たなヒューマニティの具現化」、「人間の身体性、共感覚性の再考」をテーマとして、これからを生きる人間の在り方や、「ヒューマニティ」はどのように変化・変容を遂げていくのかーそれらの問いを人々に投げかけ、思考を促す芸術的試みを行う。

■公演の特徴

 

本公演で使用される古楽器は、18世紀〜19世紀に製作されたオリジナルの楽器もしくはその複製楽器で、「チェンバロ」及び「フォルテピアノ」と呼ばれる鍵盤楽器だ。バッハやモーツァルト、ベートーヴェン、ショパンらが使用した同タイプの鍵盤楽器が数々登場し、当時の人類の智慧、知的好奇心を物化させたレガシーとしての存在意義を放つ。
「チェンバロや、フォルテピアノを感情表現のための人間拡張器具」と捉える古楽器奏者の小川加恵は、東京藝術大学、オランダ、デン・ハーグ王立音楽院に学び、数々の国際古楽コンクールで入賞、欧州の古楽音楽祭や国内のコンサートホール、メディアにも多数出演するなど、近年の活躍が目覚ましい。今回演奏する18世紀〜19世紀に書かれた作品の多くは、人間の喜怒哀楽の感情に焦点が充てられた作品で、時代を経ても変わらない人間の普遍性を、情緒豊かに表現する。

 

© Peter Chen© Peter Chen

「人間の身体は廃れている」をステートメントとして活動するオーストラリア人のパフォーマンスアーティスト、ステラークは、1970年代からおよそ20年にわたり日本でもアーティスト活動を展開。1985年に開かれた「科学万博つくば’85」ではソニーが出展したジャンボトロンを使用してパフォーマンスをするなど、人間の身体拡張表現において、後世のパフォーマンスアーティスト、メディアアーティストらに多大な影響を与えたレジェンド的存在だ。日々進化を遂げる彼の身体パフォーマンスは、その身体性を通じて時間と空間を調和させ、人間の造られた人間観を打ち崩しながら、我々に常に新しい視座を提示してくれる。

 

 

PV撮影時の様子PV撮影時の様子

これまで様々な分野のコラボレーション作品を手がけ、斬新なインスピレーションを与え続けてきた藤倉が、新しい時代の着想をもって古楽器に息吹を吹き込む。そして時代を経ても変わらない人間の普遍性とテクノロジーによって変化・変容する人間の特殊性が混在し、調和する世界ー落合のデジタルアートがそれらを紡ぎ合わせ、近未来におけるヒューマニティの新たな可能性を提示する。

■ステートメント | 落合陽一
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デジタルと共鳴する古楽器が質量への憧憬を惹起する
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フォルテピアノ奏者の小川加恵に誘われてこのアンサンブルは始まった.小川から伝えられたのは自分のいくつかの平面作品のモチーフだった.以前ライカで行った個展「情念との反芻」の際にオールドレンズで滲むように撮影したいくつかのイメージ.それを自分はデジタル解像度で取りこぼしたものを拾い集める試みと述べたが,デジタルの自然に近づくこの世界にとって人間性の営みとは何かという問いを表現の中に自分は常に込め続けている.
人とコード,計算機と人間のアンサンブル,新しい自然と新しい人の新しいアンサンブルとは何か考え続けている.JCRリックライダーが人間とコンピュータの共生をテーマに論文「Man-Computer Symbiosis」を書いたのは1960年のことだった.その後も人とコンピュータの共生は続き,インターネットの発達以後,コンピュータは人の社会性を維持するための環境要因として現代の人類に必要不可欠なものになっている.計算機は遍在し,同時に人の身体もデジタルに変換され,今この世界に遍在しうる.
遍在する身体性,そして計算機と自然を考えているうちにパフォーマンスそれ自体に興味を持った.自分は自分の身体的運動にあまり自信を見出せない.幼少の頃から繰り返しのリズム反復が苦手でその上,音階を当てたりするソルフェージュが苦手なことを自覚している.しかしながら,近年の計算機技術の発展はそれの欠点を補う程度に技術的発展を遂げている.高速フーリエ変換のビジュアライザーはリアルタイムに波形を染め上げて楽曲のリアルタイム変化を教えてくれるし,楽曲のキーを当てたりビートやテンポと同期させることは計算機技術の最も得意とするところかもしれない.
デジタルデータに変換し得ないものはないのかもしれない.より物質的な感覚,例えば触覚とか味覚とか嗅覚にしても時間の洗礼を受ければ,やがては変換されていくのだろう.聴覚や視覚は言わずもがな,デジタル技術の恩恵を受けて,その解像度やダイナミックレンジ,表現力は日進月歩の進歩を遂げている.その時代において,解像度が取りこぼしたものやダイナミックレンジから逸脱したものとはなんだろうか.自分はそれを物質・質量同士のインタラクションになぞらえて「質量への憧憬」と呼んでいる.もともと光線空間における材質表現の研究をしていたからか,物質それ自体の入出力に関する表現について興味があり,光の反射にも音の反響にも物質特有の変換器が存在するような感覚でこの世界を眺めている.物質と物質の出会いは複雑で,近似計算の域を出ることは難しい.ナムジュンパイクのようにバイオリンを叩き割る芸術家もいれば,ジミ・ヘンドリックスのようにエレキギターに火をつける芸術家もいるのである.シミュレーションを使い分けるのは難しいし,アーティストの行動は解像度やダイナミックレンジの枠を飛び越えて多彩な表現をなしえる.そんな質量への憧憬をもたらす何かが音楽家の周囲には常に気配・可能性として漂っている.
小川・ステラーク・藤倉(それぞれ敬称略)とのコラボレーションはメディア芸術家で計算機科学者の自分に常に新しい視座を自分に与えてくれる.小川は古典楽器のインターフェースとしての多様さや音響装置としての味わい深さ,まさに質量の憧憬の権化たるフォルテピアノの構造や息吹を感じさせる演奏で空間に異彩の存在感を示す.ステラークはその身体性を通じて時間と空間を調和させ,人間の造られた人間観を打ち崩しながら,我々の社会性に常に新しい直達を与えてくれる.藤倉は古楽器に新しいインスピレーションを与えるようなスコアを書き上げ,そのイマジネーションを小川の身体を通じて発揮している.素晴らしい三方の才能とそれを実現するスタッフに囲まれ,自分のなせることとは何かと考え続けている.自分はその中でより音楽的な映像や映像的な音楽,身体的な空間を接合し止揚し取りまとめるのが役割なのだろうと考えている.自分はノミと金槌の代わりにフラッシュとカメラを用いて光を彫刻し,音の代わりに光が出る楽器を用いて,彫刻的身体性を操作しているのだと考えるとアンサンブル楽器の一つを担当しているとも考えることができるかもしれない.その点で四人で生み出すカルテットは,−−いやステージの上ではそれよりも少人数もしくは一人である−−だからこそ没入や豊かな共感覚を惹起するものになるのではないかと思う.
古楽器と身体とメディアアート,デジタルの解像度やダイナミックレンジからこぼれ落ちたものとは何かを探り続ける試みは,コンピュータサイエンスのバックグラウンドを持つ自分にとってある種のダダイズムとニヒリズムに近いものがある.それでも自分はオールドレンズで写真や映像を撮り続けるし,質量性のある作品を産み続けると思う.表現のどの断片を見ても質量性や身体性を惹起するような,そんな曼荼羅のような表現に帰結することができたならそれは僥倖だ.そんなアンサンブルを目指したい.
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PV撮影時の様子PV撮影時の様子

■公演概要
HUMAN / CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル
Re-membering the Past, Re-imagining the Future
再編成される過去と再投影される未来

出演:落合陽一(メディアアーティスト)、小川加恵(フォルテピアニスト)、Stelarc(パフォーマンスアーティスト)
コラボレーター:藤倉大(作曲家)

日時:2022年11月3日 (祝、木)15:00 開演(14:30開場)、11月4日 (金)17:00 開演(16:30開場)
会場:神奈川県立音楽堂

イベント公式Webサイト: https://human-code-ensemble.com

■公演プログラム
ロワイエ めまい, スキタイ人の行進
モーツァルト 幻想曲 ニ短調 K397
ベートーヴェン 悲愴、月光 より
ショパン ノクターン嬰ハ短調(遺作) 
藤倉大 委嘱作品 (世界初演) 他

■主催
ヒューマン・コード・アンサンブル実行委員会
Webサイト:https://human-code-ensemble.com/
Twitter:https://twitter.com/HCE2022
Instagram:https://www.instagram.com/human_code_ensemble/

■共催
神奈川県立音楽堂 指定管理会社 公益財団法人 神奈川県芸術文化財団
Webサイト:https://www.kanagawa-ongakudo.com

■助成
公益財団法人 朝日新聞文化財団
公益財団法人 花王 芸術・科学財団
公益財団法人 関西・大阪21世紀協会万博記念基金 ほか

■協力
Emohaus inc. ほか

■機材提供・技術協力
株式会社セイビ堂(LED vision)
凸版印刷株式会社
ローランド株式会社 ほか

■チケット料金・発売日
会場チケット 6月10日(金)10:00 販売開始  
・会場チケット:全席指定 7,000円、学生席 3,500円(24歳以下)
・オンライン配信チケット :  3,500円 
販売情報は後日、イベント公式Webサイトほかで発表いたします。

・クラウドファンディング READYFOR
「HUMAN / CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル 
Re-membering the Past, Re-imagining the Future
再編成される過去と再投影される未来 」
詳細情報は後日、イベント公式Webサイトほかで発表いたします。

■チケットお申込:
チケットかながわ 0570-015-415(受付時間:10:00〜18:00)
プレイガイド:ぴあ、イープラス

■チケットお問合せ:
ヒューマン・コード・アンサンブル実行委員会  https://human-code-ensemble.com
※政府のガイドラインを遵守した感染対策を施し、公演を実施いたします。また、ご来場の際はマスク着用等、感染防止へのご協力をお願い申し上げます。
※未就学児の入場はご遠慮ください。車いすをお使いの方は、チケットかながわ(0570-015-415)へお問い合わせください。

 

■出演アーティスト紹介

 

© 蜷川実花© 蜷川実花

落合 陽一(おちあい・よういち)|メディアアーティスト

メディアアーティスト。1987年生まれ、2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授、デジタルハリウッド大学特任教授。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。近年の展示として「おさなごころを、きみに(東京都現代美術館, 2020)」、「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs (北九州, 2021)」、「Ars Electronica Festival(オーストリア,2021)」、「Study:大阪関西国際芸術祭(大阪, 2022)」、「遍在する身体,交錯する時空間(日下部民藝館,2022)」など多数。また「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の演出など、さまざまな分野とのコラボレーションも手かげる。https://yoichiochiai.com
 

 

© Shigeto Imura© Shigeto Imura

小川 加恵(おがわ・かえ)|フォルテピアニスト

東京藝術大学、オランダ、デン・ハーグ王立音楽院修了。第16回ファン•ワセナール国際古楽コンクール(オランダ)第1位受賞。ヨーロッパの主要な古楽音楽祭に出演し、日本国内においても各地の主要コンサートホールによる主催公演に多数出演。その他、テレビ朝日「題名のない音楽会」やNHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」など、メディアへの出演も多い。また2021年にはアーリーミュージックエンタープライズ株式会社を設立し、新たな体験を創出するクラシック音楽事業の企画・プロデュースも手がけている。https://www.kaeogawa.com
 

 

© Peter Chen© Peter Chen

Stelarc(ステラーク)|パフォーマンスアーティスト

オーストラリア出身のパフォーマンスアーティスト。1970年代より19年程日本に居住し活動。バイオテクノロジー、メディカル・イメージング、人工物やロボット工学等を包括し、身体の具現化と媒介、アイデンティティ、ポストヒューマン等の問題を問うような作品を50年以上に渡り制作。代表作は日本のロボット工学者と共同制作した「第三の腕 Third Hand」。また、現在進行形で、インターネットへの接続を可能とする「エクストラな耳 Extra Ear」を自身の腕に埋め込み外科的に構築(2010年プリ・アルスエレクトロニカ、ハイブリッドアート部門のゴールデンニカを受賞)。近年も精力的に新作に取り組んでいる。http://stelarc.org/

■コラボレーター紹介

© Yuko Moriyama_otocoto© Yuko Moriyama_otocoto

藤倉 大 (ふじくら・だい)|作曲家

大阪生まれ。15歳で単身渡英しベンジャミンらに師事。数々の作曲賞を受賞、国際的な委嘱を手掛ける。15年にシャンゼリゼ劇場、ローザンヌ歌劇場、リール歌劇場の共同委嘱によるオペラ《ソラリス》を世界初演。19年に尾高賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。20年にオペラ《アルマゲドンの夢》を新国立劇場で世界初演。数々の音楽誌において、その年のオペラ上演におけるベストに選出された。近年の活動は多岐に渡り、リモート演奏のための作品の発表や、テレビ番組の作曲依頼も多数。録音はソニー・ミュージックジャパンインターナショナルや自身が主宰するMinabel Recordsから、楽譜はリコルディ・ベルリンから出版されている。https://www.daifujikura.com/

 

 

 

 

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