株式会社東京ニュース通信社のプレスリリース
向田邦子賞委員会と株式会社東京ニュース通信社が主催する、優れた脚本作家に贈られる向田邦子賞の第38回選考会が4月7日(火)に東京・渋谷で行われ、金子茂樹(かねこしげき)氏の受賞が決定いたしました。受賞作は、日本テレビにて2019年10月12日~12月14日に放送された『俺の話は長い』です。
金子茂樹氏(C)東京ニュース通信社
授賞理由は、「医療モノ刑事モノが多い中、こうした日常の素材で楽しませてくれたことは、改めて、それがドラマの大切な要素だと感じました。展開(筋立て)に頼るエンターテインメントではなく人間の描写で楽しませ、ニートと不登校を、ごく日常の事として面白く描いていく感性は秀逸。作者の人生観が出ている魅力的な脚本になっていると思います。1時間枠2本立ても新鮮で、エンタメ性、物語性、作家としてのチャレンジ、そうしたことのバランスも良く、光彩を放つ作品に仕上がっています。」というものです。
受賞者には本賞の特製万年筆および副賞300万円が授与されます。
【金子茂樹氏コメント】
脚本家になって15年、いつかホームドラマを書きたいと思っておりました。
その夢が叶い、さらにこのような素晴らしい賞を頂けるなんてボクは幸せ者です。
【選考委員・冨川元文氏/第10回向田邦子賞受賞】
「日常の暮らしを素材に面白く楽しませてくれた。今どきこうした日常を丁寧に描くドラマは少ない。向田邦子さんのエッセイやドラマのセリフと同じ匂いがしました。作家の個性、感性に魅力を感じます」
【選考委員・大石静氏/第15回向田邦子賞受賞】
「テレビに関わるものとして、テレビを中心に活躍している方の受賞で、うれしいなと思っています。金子さんの考える人間のアホらしさみたいなもの、人間を見つめる作家の哲学みたいなものがとてもよく出ているという意味において、今までの作品とはちょっと違う、作家性の高いものだったと思います。でも、そういったことが鼻につかず、とても楽しい、センスの良いセリフのなかに哲学がうかびあがっているところが見事だなと思いました」
【選考委員・岡田惠和氏/第20回向田邦子賞受賞】
「『俺の話は長い』は、単純に読んで、ものすごく面白かったです。同じ脚本家として、ちょっと嫉妬するぐらい面白かった。金子さんは今のテレビの連続ドラマをずっと支えてきて、中心にいる人のエネルギーとか、自信とか、そういったものを感じましたし、小さな世界を面白く見せ切っているのが大したものだなと思いました」
【選考委員・井上由美子氏/第25回向田邦子賞受賞】
「初回のオーソドックスな楽しさから、回を追うごとにヘリクツに作家らしさが出てきて、ドラマの中に現実世界を映していました。サザエさん方式の2話形式に新味もあり、何気ない日常描写の中で、物語の伏線も見事でした。今は深夜でしか新しいことができず、ゴールデン・プライムには1話完結の王道を求められるところがありますが、プライムでのチャレンジに拍手を送りたいです」
<作品情報>
受賞作品:『俺の話は長い』
放送日・放送局:2019年10月12日~12月14日(日本テレビ)
脚本:金子茂樹
演出:中島悟 ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
出演:生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、杉野遥亮、水沢林太郎、浜谷健司(ハマカーン)、本多力、きなり、西村まさ彦、原田美枝子
<金子茂樹氏プロフィール>
1975年7月15日、千葉県出身。2004年『初仕事納め』で第16回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し、脚本家デビュー。主なテレビドラマ脚本に『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)、『VOICE[ヴォイス]~命なき者の声~』(フジテレビ)、『きょうは会社休みます。』(日本テレビ)、『世界一難しい恋』(日本テレビ)、『ボク、運命の人です。』(日本テレビ)、『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ)などがある。
<向田邦子賞とは>
故・向田邦子さんがテレビドラマの脚本家として、数々の作品を世に送り出し活躍してきた功績をたたえ、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に送られる賞として、1982年に制定されました。主催は『TVガイド』を発行する東京ニュース通信社で、選考は歴代受賞者らによる向田邦子委員会が担当しています。前年度に放送されたテレビドラマを対象に、選考委員がノミネート作品を選定。本選を含めて4回の討議を経て受賞作品を決定しています。選考委員は池端俊策氏(※)、冨川元文氏、大石静氏、岡田惠和氏、井上由美子氏(向田邦子賞受賞順)。※今年度はスケジュール都合により、池端氏は選考に加わっておりません。4名による選考となります。