K-1実行委員会のプレスリリース
6月27日(月)都内にて、6月19日(日)東京ドームで行われた「THE MATCH 2022」で那須川天心と対戦した武尊が記者会見を行ないました。
那須川戦から一週間が経ち、改めて公の場に登場した武尊は「前向きな意味で休養させていただこうと思っています」と休養宣言。保持していたK-1スーパー・フェザー級の王座返上を発表しました。
会見での記者からの質問に対する武尊のコメントは以下の通り。
<インタビュー全文掲載①>はこちら:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000030100.html
記者からのQ&A
──ひとまず休養をされて、復帰をされる場合、どのリング、どのジャンルみたいな頭の中で考えているイメージはありますか? あくまでK-1なのか、他のジャンルも視野に入っているのでしょうか?
「この1週間だけじゃなく、昔から考えていることもあったんですけど、僕もいろいろ新しい目標というか、目標がないと試合をする意味もないと思っているし、何か活動するにあたって、何も目標がない状態なら僕はやめたいほうがいいと思っていて。なので悩んだんですけど、1週間経って、僕の心の中で1つ目標が出来て、それはまだ何も形にもなってないし、まだ何も進んでない話なので、ここではまだ言いたくはないんですけど、目標は1つ考えていることがあるので、それに向けても心と体をしっかり治したいなと思っていて。体を治すのにも目標は必要だなと思っていたんで、それを目標にしてここからしっかり治していきたいなと思っています」
──休養期間として考えている期間はありますか? 例えば故郷に帰るとか、もしくは海外のほうで療養するとか?
「期間は決めてないし、トレーニングは変わらず出来るところはやろうと思っていて。なんで、本当にずっと表舞台から姿を消すわけではないと思うし、やれることは練習も仕事もやっていきたいと思っているんですけど、一旦海外のほうに行って、いい意味で自分と向き合える時間を作りたいんで、なるべく言い方はあれかもしれないですけど、人と関わらない生活というか、自分と向き合える時間を作るために1回海外に行って、療養しようかなと思っています」
──試合内容を振り返って、天心選手のジャブだったり、ダウンを獲られたフックだったり、例えば自分の攻撃だとか、契約体重もいつもと違っていたりとか、いろいろな状態があったと思うんですけど、どういう感想をお持ちでしょうか?
「本当に終わったことなんであれなんですけど、僕は本当にあの時の僕の心と体で出来る100%を出していたんで悔いはないし、内容もあんまり振り返ることはやめようかなと思っていて、あれが100%かなと思っています」
──改めて天心選手への想いを聞かせていただけますか?
「本当に天心選手がいたから、苦しかった部分もたくさんあったんですけど、天心選手がいなかったら僕はこの歳まで格闘技をやれてないと思うし、どっかで満足するか燃え尽きるかして、モチベーションを保つことも出来なかったと思うし、約10年負けないで勝ち続けてこれたのも天心選手っていう存在がいたから、モチベーショを落とさずに強さを維持出来たと思うんで、言葉では表せないですけど、同じ時代にこの戦いの世界の中にいてくれて、本当に感謝しかないですね」
──今回の決断にあたり、どなたかに相談して背中を押してもらったみたいなことはありますか? それとも自分1人で決断したんでしょうか?
「怪我も部分に関しては(渡辺)雅和さん(KREST代表)とは話していて、今回だけじゃなくて2~3年前ぐらいからですかね。腰だったりヒザだったり、練習でも使えなくなった時期もあったし、今回の試合前に雅和さんとか一緒に練習している人たちだったり病院の先生だったり、いろんな人と相談して、このままだと生活に支障が出ちゃうような怪我でもあったんで、決心したのは試合の2週間ぐらい前に1回歩けないぐらいの状態になった時があって、右の蹴りが実際に蹴られない状態で最後の2週間ぐらいを過ごして。
その時にちょっと治さないと自分のやりたい戦いも出来なくなるし、あとは体調に関しても生活に支障が出ちゃうような状態になった時に、格闘家としてだけじゃなくて、人としてちゃんとしたっていうか普通の生活が送れなくなるのは良くないなとは思ったし、自分のためだけじゃなくて周りにいる人たちにも迷惑かけちゃうことにもなるし。夜中に病院に運ばれたこともあって、自分だけの話じゃないなと思った時に決心しましたね」
──満員の東京ドームで、オープニングで『エンドルフィンマシン』が流れて、ゴンドラで2人が入ってきて、かつてのK-1の世界を武尊選手と天心選手の2人が作り上げたんだなっていう感慨もあったんですけども、武尊選手はそのへんは感じられたでしょうか?
「僕がちっちゃい頃から大好きな格闘技の舞台っていうのを、なんかその舞台で試合出来ることは凄く嬉しいことだったし、あれは1つの文化だと思っていて、それをまた今の時代にこの格闘技の素晴らしい部分をたくさんの人に見てもらえたっていうのは凄く嬉しかったです」
──天心選手に感謝をしているとおっしゃっていましたけど、機会があれば2人で話をしたいという想いはありますか?
「いや、ないですね、まだ。それは多分お互いに引退してからなんじゃないかなと。天心選手はこれからボクシングで活躍していくと思うし、同じ格闘技界にいる間は仲良くは出来ないかなと思います」
──当日の試合後に天心選手がリング上で武尊選手と話した内容について、今後というか武尊選手の考えも聞いたと。ここでは自分は言わないっておっしゃったんですけど、そこで告げられた考えとその後の変化というのはあったんでしょうか?
「根本的な部分では変わってなくて、変わってはないんですけど、あの時に伝えたことっていうのは天心選手への想いの部分だったんで、そこの部分については変わってはないです」
──ずっと負けずに戦ってきて、試合前にお話を伺った時に、この試合に負けるっていうことは自分の格闘技人生を否定することになるとおっしゃっていたんですが、実際に負けた後、敗北についての考え方は変わりましたか?
「今回の試合で一番学んだ部分はそこの部分で、毎日負けることが怖くて、この10年間、ずっと恐怖と戦ってたなと思っていて、だから格闘技大好きだし、試合も大好きなんで、試合の時は笑って楽しんでるんですけど、それ以外の時間って苦しさと恐怖しかなかったなと思って。それって心から格闘技を楽しめてなかったと思うし、苦しさとか恐怖に支配されてた自分っていうのが、まあそれがあったから強くなれた部分もあるから無駄ではなかったと思うんですけど。
今回こうやって約10年ぶりに負けて、その時に知れたことっていうのは本当に僕の中で凄い大切なものに気づけたんですよ。もちろん負けるのは悔しいし、負けた自分は許せない。だけど自分の歪んでた部分だったり負けに対してのネガティブな気持ちっていうのは、ちょっと変わったかなって思いました。なんで、なんかこれで1つ強くなれたんじゃないかなって。負けるっていう自分の中での価値観がいい意味で変わったんで、恐怖がなくなった分、もっと思いっきり戦えるんじゃないかなと思うし、多分これから僕はもっと強くなれるなって確信しました」
──先程、那須川天心さんへリベンジしたい気持ちがとおっしゃっていたが、天心さんとの戦いは今回の『THE MATCH』で終わったのか? それとも彼はボクシングに行きますが、何かの形で続くのか? そして武尊さんがおっしゃるリベンジしたいっていうのは天心さんへのリベンジなのか、自分自身へのリベンジなのか教えてください。
「この試合やる時にこの試合は1度だけで2回やる必要はないと僕は言ってて、だからこそ意味があると思うし。悔しいから試合の日に家に帰った時にはもうその試合を見ながら対策を考えて、何がダメで何が弱かったのか何なのかっていうのをずっと朝まで考えていました。
天心選手はボクシングに行って、階級もまたこっからもっと変わっていくと思うし、100%僕も気持ちが固まっているわけではないので断言はしたくないですけど、天心選手との戦いだけじゃなくて、直接的な戦いだけじゃない戦いもあると思うんで。そういう意味でも新しい目標をこれから1つ思っていることがあって、そういう意味の戦いは一生続いてくんじゃないかと思っています」
──年齢の話も出たんですが、30歳を越えてこれから休養ということですが、年齢に関して格闘家として大きな部分でもあると思うんですけど、ご不安とかはどういうふうに考えていますか?
「年齢的なというのは、この時代って魔裟斗さんもよく言われるんですけど、30を越えても全然身体能力をカバー出来るし、もっと上げていけるし、そこに部分よりもコンディションのケア。むしろ、コンディションも整えたら、この数年よりもっといいパフォーマンスだったり動きだったりが出来ていくと思ういるし。僕は本当にメンタル、気持ちで戦うファイターなんで、そこの部分が壊れてたら何も出来ないというか。なので、もう全て体も心も繋がってると思ってるし、そういう部分で全部しっかり治したら、年齢とか関係なく何でも出来るんじゃないかなと思っています」
──噂でUFCへの挑戦というのを聞いたんですけど、それに関しても教えていただけますか?
「本当は今は何も答えられないし、1週間経って気持ちも毎日揺れ動いていて、毎日考えていることも変わるし、1つ決心はしたんですけど、まだ明確に何って言うことは考えないようにしているし、心の中で本当に1個目標作ろうと思ったこともあったんで、UFCだけじゃなくてまだ僕にはいろんな可能性があると思っているんで、1回心と身体を最高の状態にして、改めてその時に会見をさせていただこうと思うんで、またその時にはまたみんながワクワクして心躍らせてくれるような格闘技界を、もう1回最高に盛り上がるようなお話が出来たらいいなと思っています」
──武尊選手は非常にファンを大切にするイメージがありますけど、試合当日から今日まで多くの方からのメッセージ等で、それで踏みとどまった部分もあると思うんですが、今、武尊選手から、試合の後も変わらず応援してくれたファンに対して、メッセージみたいなものをいただけたらと思います。
「本当、まさにその通りっていうか、負けた時のみんなからの言葉だったり、SNSに書いてくれたコメントだったり、メッセージだったり、そういう言葉がなかったら僕は本当に何の後悔もなくキッパリ辞めるっていう選択肢をとっていたと思います。
綺麗事とかではなく、そういう人たちの言葉ってこんなに響くもんなんだなっていうのをこの1 週間で本当に実感して。負けたら存在価値もなくなるって僕は思ってちゃってたんで、そんな僕に対してまだまだ試合を見たいってい言ってくれる人たちがいたし、辞めないでほしいっていう言葉を何万人の人に言葉として伝えてもらえて、その言葉のおかげで前向きな意味で体も治す決心がついたっていうか。
なので、本当に言葉をかけてくれた人たちもそうだし、心の中で思ってくれている人たちの気持ちも僕には届いているんで、そういう人たちに感謝したいと思います。わがままですけど、なんか最後に勝つ姿を見せてから終わりたいなって思っています」