危機の時代、気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルが、資本主義と民主主義の象徴の地・ニューヨークで、世界思想の最先端を語り尽くす! 大ヒット作の第2弾が発売‼

株式会社NHK出版のプレスリリース

NHK番組「欲望の時代の哲学」シリーズへの出演が大反響。来日と関連書でブームを巻き起こしたマルクス・ガブリエルが帰ってきた! 前回放送の書籍化は哲学書としては異例の3.5万部の大ヒット。
そして、今度の舞台はニューヨーク。資本主義と民主主義の「実験場にして闘技場」たるアメリカの中心地で、この危機の時代に、天才哲学者は何を語るのか。

4月10日に発売となった『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』では、「SNS社会のワナ」「格差社会のリアル」「AI社会の死角」、そして「日本の未来」── 私たちと切り離せない問題を、ガブエルの思想展開で解きほぐしていく。全篇を通じて読者は彼の「闘志」に触れ、共鳴していくはずだ。ガブリエルは何に怒り、どう闘おうとしているのか? 「象牙の塔」を飛び出し、哲学と現実をつなぐ、若き哲学者の思考の旅から目が離せない!当リリースでは、第1章におけるガブリエルの「問いかけ」を公開します。

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私たちはいま、自由の「限界」について、とても深刻な懸念を抱いていると言えるでしょう。この番組をご覧になる視聴者、あるいは読者のみなさんの中にも、自らの自由がとても危険な状態にさらされていると感じ、不安を持っている方々もいらっしゃるかもしれませんね。

現代に生きる私たちは、大きな力―――資本主義、人工知能、あるいはデジタル分野における驚異的な技術の進歩など―――実にさまざまな角度から、脅威にさらされています。このデジタル社会の中で、人間という存在が消え去って、ごく小さな断片に、つまり簡単に操作し再構成できてしまうスマートフォンのモジュールにでも分解されてしまうかのような恐怖を抱いています。そして、このプロセスの最後には、自由や個性が完全に失われてしまい、自らが単なる消費の対象になってしまうのではないかという無力感に覆われているのです。これは、実は信じられないほど広がっている感覚であり、意識、無意識どちらのレベルかを問わず、多くの人々がこのように感じていることを、私はよく理解しているつもりです。

いま私は、ニューヨークの中心、マンハッタンのビルの高層階で話しています。窓から周りを見渡せば、目に飛び込んでくるビル街は、まるで無限の連なりのようにすら感じられます。現実にはもちろん無限ではないものの、ここには、非常に高いレベルの社会的な複雑性があると言えるでしょう。

社会的な複雑性というこの重要な概念をまず考えてみましょう。この概念こそが、自由について、人々をさまざまな不安へと駆り立て、民主主義の価値の危機、人間そのものの危機、リアリティそのものの危機を煽り立てているものだからです。多くの人々がどこかしら、自分自身が確かに生きているというリアリティから切り離されていると感じていることとも無関係ではないでしょう。そのような考えによれば、いまの私たちは、たとえてみれば、目の網膜を通して世界を眺めている脳のようなもので、そこにはあるフィルターを通したバイアスがつねに存在しているというわけです。

つまり、リアルな姿が、歪んでしか見えないことになっているのです。

さあ、いまの世の中のさまざまな現象を眺めてみましょう。現代の社会の複雑性と向き合ってみるのです。社会的な複雑性とは、その言葉が示す通り、複合的かつ複雑なリアリティを伴いながらも、実は、きわめてシンプルな現象のはずなのです。

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構成

序章 「欲望の奴隷」からの脱出 (丸山俊一)

Ⅰ章  自由意志のパラドックスを解く

──カントから考えた「SNS社会のワナ」

Ⅱ章  闘争の資本主義を越えて

──ヘーゲルから考えた「格差社会のリアル」

Ⅲ章  思考感覚が「引き裂かれた社会」を救う

──新実在論から考えた「AI社会の死角」

Ⅳ章  フェイクの共同体が壊れるとき

──「複雑性の国」日本の可能性 対話者:斎藤幸平

終章 敵か味方かの「世界」を越えて (丸山俊一)
 

■商品情報
商品名:マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ ~自由と闘争のパラドックスを越えて
著者:丸山俊一(NHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブ・プロデューサー)
   NHK「欲望の時代の哲学」制作班
出版社:NHK出版
発売日:2020年04月10日
定価:本体800円+税
判型:新書判
ページ数:224ページ
ISBN:978-4-14-088620-5
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/414088620X/

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