文化庁のプレスリリース
多彩な伝統芸能の上演により、芸能の振興と技芸の伝承に取り組んできた国立劇場。
令和4年9月~令和5年10月まで、「初代国立劇場さよなら公演」と題して、開場以来の集大成――未来へつなぐ記念公演が目白押しです!
江戸時代に町奉行を務めた遠山金四郎(とおやまきんしろう)は、「天保の改革」で庶民の生活を守るために活躍し、絶大な人気を誇ったと言われる実在の人物です。
【公演情報】https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/5141.html
【出演者メッセージ】https://www.ntj.jac.go.jp/kabuki/news/2523.html
- 初芝居の見納めは桜吹雪の名裁き! 14年ぶりの待望の上演
明治26年(1893)に初演された本作は、金四郎を題材にした数ある〈遠山政談物〉の中でも、代表作と言われています。今回は、歌舞伎では半世紀ぶりの上演だった平成20年(2008)12月の当劇場での公演を、さらに面白く練り上げて上演します。
尾上菊五郎が江戸っ子の爽やかさと奉行の貫禄に溢れた遠山金四郎を勤めるのをはじめ、中村時蔵が悪党の夫のために辛酸をなめつつ改心させようと苦労するおもと、尾上松緑が武家崩れの短筒(ピストル)強盗・生田角太夫(いくたかくだゆう)、尾上菊之助が若旦那から悪党に変貌する小三郎(こさぶろう)に扮し、新春の舞台を華やかに彩ります。
その他、魅力に富んだ顔触れで、世話物の通し狂言をお楽しみいただきます。
- 「天保の改革」から芝居町を救った実在の名奉行・遠山金四郎
江戸時代の旗本で、天保期に町奉行に就いた遠山金四郎(景元)(1793~1855)。
当時、幕府は質素倹約・綱紀粛正を推し進め、老中・水野忠邦を中心とする改革強硬派は、娯楽の象徴であった歌舞伎や寄席を廃絶するか、江戸のはずれに移転させようと考えました。しかし、金四郎はこれに強く反対しました。
庶民の娯楽を救うために尽力した金四郎はヒーローとして圧倒的な支持を得て、明治以降、金四郎を描いた芝居や講談が数多く作られました。虚実を織り交ぜつつ、〈遠山政談物〉と呼ばれる作品群が誕生する中、やがていつしか、桜吹雪の刺青(ほりもの)で悪を裁く名奉行というイメージが定着していきました。
今回の公演では、芝居小屋に出入りする金四郎の奉行以前の姿が描かれるとともに、白洲で悪人と対峙して片肌脱ぎで啖呵を切る、名奉行ぶりをご堪能いただけます。さらに、金四郎の尽力により、存亡の危機にあった芝居町が救われ、活気づく芝居小屋の賑やかな様子が描き出されます。
- 歌舞伎ならではの見どころに溢れた傑作『遠山桜天保日記』
本作は、明治26年(1893)11月、東京・明治座が開場した時の二番目狂言として初演されました。数ある〈遠山政談物〉の中でも、再演が重ねられてきた作品です。作者の竹柴其水(たけしばきすい)は、河竹黙阿弥の高弟で、代表作に世話物狂言の人気作品「め組の喧嘩」などが挙げられます。
物語は、旗本の息子ながら庶民と交わり町奉行に出世した金四郎を主人公に、江戸に蠢く悪党たちの妖しい魅力を散りばめて展開します。そのうちの一人・生田角太夫は、明治10年代に東京を震撼させた日本初の“ピストル強盗”清水定吉がモデルと言われています。
- 見どころ
序幕では、長唄の唄方として芝居に出入りする旗本の若様・金四郎が、楽屋内で起きた喧嘩を見事に仲裁し、気風(きっぷ)の良さと器量の大きさを印象付け、後の名奉行の片鱗を見せます。一方、尾花屋の若旦那・小三郎と恋人おわかの悲恋が美しく綴られ、また、短筒強盗・生田角太夫と破戒僧・佐島天学(さじまてんがく)の悪党ぶりが小気味よく表現されます。
心中を図ったものの生き残った小三郎は、小吉と名乗って悪の道に足を踏み入れます。小吉が羅漢に諫められる幻想的な霊夢が描かれた後、角太夫・天学・小吉の三人が出会います。
兄弟の盃を交わした三人は、佐渡金山の御用金強奪に向けて動き出します。おわかの養父・須之崎(すのさき)の政五郎(まさごろう)に悪態の啖呵を切る小吉の色男の悪党ぶりや、按摩に変装した角太夫の妖しい悪の魅力、角太夫に人生を翻弄される女房おもとの悲哀などを織り交ぜつつ、やがて舞台は江戸から新潟へ。華やかな酒宴のさなか繰り広げられる大立廻りなど、起伏に富んだ物語が面白く展開します。
ついに白洲で悪党に対峙した金四郎は、お馴染みの桜吹雪の刺青で溜飲の下がる名裁きを見せ、大詰は新年を迎えた芝居小屋で初春らしい大団円を迎えます。
尾上菊五郎の一座による楽しい趣向満載の初芝居! 初代国立劇場最後の初春歌舞伎公演にふさわしい華やかな舞台に、どうぞご期待ください !!
- 国立劇場について
日本の伝統芸能の保存及び振興を目的として昭和41年(1966)に開場。外観は奈良の正倉院の校倉造りを模している。大劇場・小劇場・演芸場・伝統芸能情報館を備え、多種多様な日本の伝統芸能を鑑賞できる。初心者や外国人を対象とした解説付きの鑑賞教室も開催している。
所在地:東京都千代田区隼町4-1
03-3265-7411(代表)
https://www.ntj.jac.go.jp/
- 「未来へつなぐ国立劇場プロジェクト」
明治以来の国立劇場設構想からおよそ100年。
伝統芸能の保存と振興に取り組むため
昭和41年国立劇場が誕生しました。
そして半世紀。
これは国立劇場が未来へ向けて
新たな飛躍を目指す一大プロジェクトです。
特設サイト
https://www.ntj.jac.go.jp/future/
- \チケット好評販売中/〈初代国立劇場さよなら公演〉令和5年初春歌舞伎公演
『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』
公演日程
令和5年1月3日(火)~27日(金) 12時開演(午後4時終演予定)
※11日(水)・19日(木)は休演
※13日(金)は午後4時30分開演(午後8時30分終演予定)
会 場
国立劇場 大劇場
出 演
尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、中村梅枝、中村萬太郎、市村竹松、尾上右近、市村光、尾上左近、坂東亀三郎、尾上丑之助、寺嶋眞秀、小川大晴、市村橘太郎、片岡亀蔵、河原崎権十郎、市村萬次郎、坂東楽善、市川左團次 ほか
料 金(税込)
1等席 12,000円(学生8,400円)/2等席 8,000円(学生5,600円)/3等席 3,500円(学生2,500円)
※障害者の方は2割引です(他の割引との併用不可)
お申込み
国立劇場チケットセンター
https://ticket.ntj.jac.go.jp
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)[午前10時~午後6時]
公演詳細
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/5141.html