新渡戸の夢映画製作委員会のプレスリリース
埼玉県在住の映画監督らが、新渡戸稲造の教育者としての側面に光を当てたドキュメンタリー映画製作を開始した。世界的ベストセラー「武士道」を執筆し国際連盟事務次長も務めた明治期の真の国際人新渡戸稲造だが、日本人の教育に残した足跡は意外と知られていない。札幌農学校・東大・京大教授を歴任する一方、初代東京女子大学長を務めるなど女子教育も推進した。そして、米国人の眞理子夫人とともに、様々な理由で教育を受ける機会がなかった人々のために私費を投じて作った学校「遠友夜学校」。その精神を継ぐ教育者たちが、札幌で、東京で、ふるさとの盛岡で、連綿と教育の糸を紡ぎ、暖かく強くしなやかな布を織りなし、今とこれからを生きる人々を育んでいる。映画のタイトルは「新渡戸の夢」。札幌の自主夜間中学「札幌遠友塾」を追う内容。人々の幸せを願い世界調和を訴え続けた途上のカナダで客死した新渡戸の没後90年となる来年秋の公開を目指している。製作主体は、新渡戸の夢映画製作委員会。2022年12月23日までクラウドファウンディングを実施中。https://readyfor.jp/projects/nitobe-no-yume
そんな2人の取り組みに賛同した人々が、プロデューサーやアドバイザーとして新渡戸の夢映画製作委員会に参加している。資金繰りが厳しいと知り、クラウドファウンディングおよびイベントを企画運営する渡辺美砂子さん=茨城県在住=、本業は製薬会社会社員だ。宮田昌利さん=北海道在住=は、札幌・釧路を拠点に日本・海外で事業を展開する会社社長。ライブラリアンの綿貫美樹さん=北海道在住=は、資料の著作権等を検証し委員会の信頼性を担保する。さらには、製作委員会の外からも、リターン選定や広報イベントを共催する酒匠の鎌田孝さん=茨城県在住=、新渡戸稲造研究の第一人者で(財)新渡戸基金理事長の藤井茂さん=岩手県在住=は、映画完成までの毎月第3木曜日の夜に開催される「新渡戸の夢と語る会」というオンラインイベントの指南役として参加する。みな、本業の合間を縫って、遠方各地から集まり、監督や並木チーフプロデューサーに伴走する無償ボランティアだ。
「実は、ドキュメンタリー映画鑑賞が苦手なんです。共感感動を強いられているようで、そう感じられない自分が冷たい人間だと指をさされているようで。だからこそ参加しました。苦手な方が、観たい、観てみよう、観てよかったと思うにはどうしたらいいか工夫できるかもしれない。」と苦笑する渡辺美砂子プロデューサー。「新渡戸の夢」は映画館上映だけゴールではない。新渡戸稲造の偉業顕彰だけが目的でもない。「私はこう思った、あなたはどう思った?」「私ならこうしたい、あなたならどうしたい?」そのままの感情を出し合い語り合い、人と人とがつながるきっかけとなりたい。クラウドファウンディングはその試行の一つだ。資金だけではなく応援の言葉が集まり自発的に支援の輪を拡げる。目標金額300万円を1か月余りで達成し、字幕・手話通訳などすべての観てみたい人に届けられる上映試写会を実施するため目標金額を積み増して奮闘中だ。(新渡戸稲造が夢みた教育の魂を未来に届ける映画を、ともに創りたい(わっきー 2022/10/28 公開) – クラウドファンディング READYFOR)
さらに「新渡戸の夢と語る会」と称したイベントを各地で実施中。札幌・東京・盛岡で、モニターがある飲食店を借りて、短い動画を観て同じものを食べながら、自分なりの新渡戸を語る。新渡戸稲造に詳しい研究者や著書もある方から5000円札しか知らない方まで、多様な方が集まりそれぞれの思いを語る。誰も否定せずいいねと拍手する。
オンラインでは、毎月第3木曜日19:30から90分、Zoomによる語る場を実施中だ。毎月1名、カタリストを迎えて30分じっくり私の新渡戸を語り、指南役として新渡戸基金理事長の藤井茂さんが解説を加える。その後はブレイクアウトルーム機能を使い小グループで感想を語り合う。カタリストとは、化学用語の「触媒Catalyst」と「語る人lst」を掛け合わせ、「語りをきっかけに人と人との間の障壁を下げる人」と定義した。北海道から大阪まで、大学名誉教授、医師、歌手、高校の先生、その教え子の高校生まで、実に多様な方が参加する。映画が完成する2023年9月まで毎月続ける予定だ。
このように様々な試行を経て資金と共感と支援者を増やし、いよいよ1月より札幌を皮切りに映画撮影が始まる。新渡戸の教育の魂を受け継いだ学校の授業の様子や関係者へのインタビュー等で教育哲学の実践者たちで構成される予定だ。「学問より実行」新渡戸が伝えたとおりいかなる困難や障害が立ちはだかる状況であっても、学び続け、行動する。その姿は観た人に「なん人たりともにも悪意を抱かず、全ての人に慈愛を持って」をおのずと想起させることだろう。映画完成は2023年9月。上映試写会や自主上映会を行っていく。詳細は委員会事務局まで。クラウドファウンディングも継続実施中である。