文化庁のプレスリリース
多彩な伝統芸能の上演により、芸能の振興と技芸の伝承に取り組んできた国立劇場。
令和4年9月から令和5年10月まで、「初代国立劇場さよなら公演」として、開場以来の集大成――未来へつなぐ記念公演 が目白押しです!
平家が栄華を極める時代に、源氏再興を目指す人々の物語がドラマチックに展開する義太夫狂言の傑作です。本編に先立ち『入門 源氏の旗揚げ』と題し 、物語の見どころをわかりやすくご案内いたします。
【公演情報】https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/53327.html
左より中村種之助、中村又五郎、中村魁春、中村歌昇(国立劇場3月歌舞伎公演 取材会にて)
源氏再興のため奮闘する人々を描く《鬼一法眼三略巻》
本作は、文耕堂(ぶんこうどう)・長谷川千四(はせがわせんし)による合作で、享保16年(1731)9月に大坂・竹本座で人形浄瑠璃として初演されました。平清盛が権勢を誇る世に、源氏再興を目指して力を尽くす人々の姿を描いた作品で、牛若丸(後の源義経)が兵法家・鬼一法眼から、兵法書である「六韜三略」(りくとうさんりゃく)を手に入れようとする三段目(通称「菊畑」)のほか、一條大蔵卿と常盤御前が中心の四段目(「檜垣」「曲舞」「奥殿」)、牛若丸と弁慶が出会う五段目(「五條橋」)が有名です。
今回は、四段目のうち上演頻度が稀な「曲舞」を取り上げて、名場面「奥殿」とともにご覧いただき、五段目「五條橋」で締めくくります。
とりわけ、平家全盛の世を“阿呆” と笑われながら、本心を秘して生き抜こうとする一條大蔵卿の物語は、『一條大蔵譚』として度々上演される名場面で、義太夫狂言の様式的な面白さを存分に堪能できます。
- 『一條大蔵譚 』 激動の時代を生き抜く一條大蔵卿と常盤御前、それぞれの真実とは……
一條大蔵卿は、平安時代末期(源平合戦の時代)に実在した公家、一条長成(ながなり)がモデルです。彼の妻は、かつて平治の乱で平清盛に敗れて非業の最期を遂げた源義朝の妻で、牛若丸の母である常盤御前でした。物語では、平家全盛時代に、阿呆のふりをして権力者の目を欺くという、異色のキャラクターとして描かれています。愛嬌あふれる風情が前半の見どころです。
今回は、上演機会が極めて稀な「曲舞」を上演します。「曲舞」は、初代中村吉右衛門が何度も手掛け、二代目吉右衛門もその上演を望んでいたといわれます。悪人たちの悪だくみを、呆けたように舞いながら翻弄していく大蔵卿の姿をお楽しみいただきます。
続いて、名場面「奥殿」を上演。常盤御前は、史実でも亡き夫の敵である平清盛に義朝の忘れ形見の3人の子の助命を願い出たほどの気丈な女性です。本作品でも、美しく上品な姿の奥に、平家打倒の決意を秘めた芯の強い女性として描かれています。
そしていよいよ一條大蔵卿が本心を明かすクライマックスは、一瞬にして姿を変化させる“ぶっ返り” と、胸に秘めた本心を語る“物語”が見どころです。義太夫狂言ならではの爽快感を是非ともお楽しみください。
一條大蔵卿に、二代目吉右衛門の薫陶を受けた中村又五郎が初役で挑みます。
そして常盤御前は、何度もこの役を演じた中村魁春が勤め、その定評ある演技が舞台に品格をもたらします。
常盤御前の真意を探る、血気盛んな忠義の臣・吉岡鬼次郎を又五郎の長男・中村歌昇が、その妻お京を次男・中村種之助が勤めるほか、充実した配役でお送りいたします。
常盤御前=中村魁春
一條大蔵卿長成=中村又五郎
- 『五條橋』 かの有名な牛若丸と弁慶の五條橋での出会いを描く
五段目に当たる「五條橋」は、かの有名な牛若丸と弁慶の五條橋 での出会いと対決を描いた場面です。人形浄瑠璃から歌舞伎に移されるにあたり、舞踊劇化されました。
舞台は京の五條橋。源氏再興を志す牛若丸は、味方を集めるために夜な夜な通行人の腕を試していました。その噂を聞きつけて現れたのは、怪力無双の荒法師・武蔵坊弁慶です。弁慶は、自慢の大長刀と七つ道具で襲い掛かりますが、 牛若丸はひらりとかわして……
武蔵坊弁慶を中村歌昇が、牛若丸を中村種之助が勤めます。
ご存じ牛若丸と弁慶の逸話を題材にした場面を、若さ溢れる二人が美しく、溌溂と踊ります。
武蔵坊弁慶=中村歌昇
牛若丸=中村種之助
- 『入門 源氏の旗揚げ』で、より深く、より楽しく
歌舞伎になじみの薄い方から、“本物”をたっぷり楽しみたい愛好者の方まで、名作の魅力を解説付きで心ゆくまで味わっていただく「歌舞伎名作入門」。
本編に先駆けて、解説として『入門 源氏の旗揚げ』をご覧いただきます。過去、令和3年3月公演では『入門 歌舞伎の“明智光秀”』を、令和4年3月公演では『入門 “盛綱陣屋“を楽しむ』を上演し、大変な好評をいただいた人気企画です。
歌舞伎俳優により、作品の見どころを詳しくわかりやすくご案内。物語の世界をより深く知ることができ、本編をより楽しくご観劇いただけます。令和3年3月公演でもご案内を勤め、客席を大いに沸かせた片岡亀蔵が、皆様を源平の世界にいざないます。
今回はどんな解説となるか!? お楽しみに!
- 国立劇場について
国立劇場
日本の伝統芸能の保存及び振興を目的として昭和41年(1966)に開場。外観は奈良の正倉院の校倉造りを模している。大劇場・小劇場・演芸場・伝統芸能情報館を備え、多種多様な日本の伝統芸能を鑑賞できる。初心者や外国人を対象とした解説付きの鑑賞教室も開催している。
所在地:東京都千代田区隼町4-1
03-3265-7411(代表)
https://www.ntj.jac.go.jp/
- 「未来へつなぐ国立劇場プロジェクト」
未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 特設サイト
明治以来の国立劇場設立構想からおよそ100年 。
伝統芸能の保存と振興に取り組むため
昭和41年国立劇場が誕生しました 。
そして半世紀 。
これは国立劇場が未来へ向けて
新たな飛躍を目指す一大プロジェクトです。
特設サイト
https://www.ntj.jac.go.jp/future/
- \チケット好評販売中/〈初代国立劇場さよなら公演〉令和5年3月歌舞伎公演
国立劇場3月歌舞伎公演『一條大蔵譚』『五條橋』チラシ
◆歌舞伎名作入門◆
「入門 源氏の旗揚げ」
ご案内 片岡 亀蔵
《鬼一法眼三略巻》
『一條大蔵譚 -曲舞・奥殿-』
一條大蔵卿長成 中村 又五郎
吉岡鬼次郎 中村 歌昇
鬼次郎女房お京 中村 種之助
勘解由妻鳴瀬 中村 梅花
播磨大掾広盛 嵐 橘三郎
八剣勘解由 片岡 亀蔵
常盤御前 中村 魁春
ほか
『五條橋』
武蔵坊弁慶 中村 歌昇
牛若丸 中村 種之助
ほか
- 公演日程
3月3日(金)~27日(月)12時開演
※10日(金)・20日(月)は休演、17日(金)・24日(金)は12時開演/午後5時開演の2回公演 - 会 場
国立劇場 大劇場 - 料 金(税込)
1等席 8,000円(学生5,600円)/2等席 5,000円(学生3,500円)/3等席 3,000円(学生2,100円)
※障害者の方は2割引です(他の割引との併用不可) - お申込み
国立劇場チケットセンター https://ticket.ntj.jac.go.jp
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)[午前10時~午後6時] - 公演詳細
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/53327.html