株式会社WOWOWのプレスリリース
WOWOW主催の「エキサイトマッチ ファン感謝祭2023」が2月24日、ボクシングの聖地・後楽園ホールで開催された。「エキサイトマッチ」は世界のトップボクサーたちの試合を毎週月曜日に2時間枠で放送している番組で、1991年にWOWOWが開局して以来32年間続いている。今回はスペシャルゲストとして前世界バンタム級4団体統一王者の井上尚弥選手(大橋)と元世界3階級制覇王者の長谷川穂積氏が登壇。トークやミット打ちなどでファンと交流した。
■村田の奮闘に感動の小泉氏 那須川推しの浜田氏
MCはエキサイトマッチの実況でお馴染みの髙柳謙一アナウンサーと進行役の増田美香アナウンサーが担当。JBC(日本ボクシングコミッション)冨樫光明リング・アナウンサーが「ボクシング検定2級の“ボク女”」と増田アナを紹介し、「格闘技実況の神」と高柳アナを呼び込んでイベントが始まった。
前半は解説でお馴染みの国際マッチメーカー、ジョー小泉氏と元WBC世界スーパー・ライト級王者の浜田剛史氏が2022年を振り返り、さらに2023年の展望をテーマにトークを展開。小泉氏は、2022年で最も印象深い試合として村田諒太(帝拳)対ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の世界ミドル級王座統一戦を挙げ、「村田選手の戦いぶりに感動した」と話した。浜田氏は4月8日に帝拳ジムからプロデビューする那須川天心について言及。「彼が中学生のときにジムに来てスパーリングするのを見たが、パンチをよける巧さにびっくりした。研究熱心な選手なので楽しみ」と期待を口にした。
長谷川氏は今年の期待カードとしてジャーボンテイ・デービス対ライアン・ガルシア(ともにアメリカ)の一戦を挙げ、「デービスは見ている人を魅了する選手。ガルシアにも勝つと思う」と話した。
■長谷川氏「ここ3年ぐらいで一番気持ちいい」
イベント後半には、井上選手が自身の入場曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」(布袋寅泰)で赤コーナーからリングイン。井上選手は「このBATTLEはノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)との初戦と再戦、ポール・バトラー(イギリス)との4団体王座統一戦など特別なときだけに使うんです」と明かした。このあとアメリカの大手プロモーション会社、トップランク社の2022年最優秀選手&KO賞を受賞した井上選手に記念のクリスタルトロフィーが贈呈された。
続くトークでイベントはクライマックスを迎える。井上選手は2018年5月にバンタム級に転向してから9戦全勝(8KO)の戦績を残したが、「こうパンチを出せば当たるのかという道筋が見えた試合」として、右ストレート一発による鮮烈な70秒KO勝ちを収めたファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)とのWBA王座初防衛戦を挙げた。当時、この試合を山中慎介氏と一緒にリングサイドで解説していた長谷川氏は「あの試合、山中くんはひとことも喋らなかったんですよ。だから僕は『ギャラ泥棒』と言ったんです(笑)」と余談を披露して会場を笑わせた。
ファンにとって忘れられないのは、昨年のエキサイトマッチ「ベストバウト」に選ばれたドネアとの再戦であろう。井上選手は「一度戦っていたので自信はありました」と話し、KOする前に打ち込んだ左フックに話が及ぶと「左ジャブを出したときにドネアが右を出してきたので、そこに左フックを合わせたんです」と技術解説した。
長谷川氏との掛け合いの際には井上選手が「長谷川さんのウィラポン2(2006年3月25日 長谷川が前王者のウィラポン・ナコンルアンプロモーションを9回TKOで下してV2。サウスポーからの左ストレートを囮にして誘い出して右フックでKO)のようにはできない」と先輩のスキルに脱帽。これを聞いた長谷川氏は「ここ3年ぐらいで一番気持ちいい(笑)」とご満悦の様子だった。
■フルトン攻略の突破口が見えてきた
過去の話も興味深いが、多くの人の関心は近未来に向いている。井上選手は1月にバンタム級の4本のベルトを返上し、1.8キロ重いスーパー・バンタム級への転向を表明している。WBCとWBOで1位にランクされ、いつでも挑戦できる状態といえる。すでに5月に日本でWBC、WBO統一王者のスティーブン・フルトン(アメリカ)への挑戦が内定と伝えられる。井上選手は来場者に向けて「やります、決まりました、とは言えないけれど期待していてください」と呼びかけた。
フルトンは21戦全勝(8KO)の戦績を残している技巧派で、井上選手よりも身長で4センチ、リーチでは8センチ上回っている。動画でフルトンの試合をチェックしたという井上選手は「リーチが長くて技術力も高い。自分のボクシングが確立されているので、やりにくい選手。どう攻めるか……でも、なんとなく突破口が見えてきたところ」と話した。その先のこととしてWBA、IBF王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)戦も期待される。井上選手は「フルトンよりも噛み合うと思います。勝っても負けてもKOなんじゃないですか」と珍しく自身の敗北のリスクについても言及した。強い覚悟を持っての転級であることがうかがえる。
体重を上げ下げしながら3階級制覇を成し遂げた長谷川氏は「上のクラスに行くと体の強さが違ってくる。打っても倒れないんです」と分析。「でも、井上くん問題ないと思います」と後輩の4階級制覇に太鼓判を押した。
参加者とのミット打ち後、イベントの最終盤には井上選手と長谷川選手がグローブを着用してマスボクシングを披露。ふたりともときどき笑みを浮かべてはいたが、思いのほか近い距離でフェイントを掛け合うなどピリピリした空気も漂った。緊迫の1分が終了すると場内からは大きな拍手が送られた。「もっとやりたかった!」と井上選手は名残惜しそうだった。
2時間半ほどのイベント終了後、囲み取材に応じた井上選手は「ファンの皆さんと交流できるイベントは大事なことだと思います。もっとやりたいですね」と話した。その表情は穏やかだった。
「エキサイトマッチ ファン感謝祭2023」の模様は、3月6日(月)午後9時00分~WOWOWオンデマンドにて配信開始する。さらに、ファン感謝祭の舞台裏にも迫った「エキサイトマッチファン感謝祭2023 井上尚弥×長谷川穂積 未公開映像」もWOWOWオンデマンドにて公開予定。
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
『エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBC世界S・フェザー級王座決定戦 レイ・バルガスvsオシャキー・フォスター』
メキシコが誇る全勝の2階級制覇王者レイ・バルガスが3階級制覇へ!WBC世界S・フェザー級1位のオシャキー・フォスターを相手に偉業達成なるか。
【放送日】3月6日(月)午後9時00分[WOWOWライブ]
<対戦カード>
WBC世界S・フェザー級王座決定戦/レイ・バルガス vs オシャキー・フォスター
WBC米大陸ウェルター級王座決定戦/マリオ・バリオス vs ジョバニ・サンティアゴ
『エキサイトマッチ~世界プロボクシング
IBF世界S・ライト級王座決定戦 ヘレミアス・ポンセvsスブリエル・マティアス』
30戦全勝を誇るアルゼンチンのヘレミアス・ポンセとKO率95%を誇るプエルトリコのスブリエル・マティアス。群雄割拠のS・ライト級を制するのはどちらだ!
【放送日】3月13日(月)午後9時00分[WOWOWライブ]
<対戦カード>
IBF世界S・ライト級王座決定戦/ヘレミアス・ポンセ vs スブリエル・マティアス
■詳しくは番組オフィシャルサイトへ!
https://www.wowow.co.jp/sports/excite/