大型バーチャルプロダクション撮影に特化したLEDディスプレイ・システム「Ruby2.6F」のレンタルを開始、ドラマ撮影等で稼働

ヒビノ株式会社のプレスリリース

ヒビノ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:日比野晃久)は、大型のバーチャルプロダクション撮影に特化したLEDディスプレイ・システム「Ruby2.6F」のレンタルを開始しました。
Ruby2.6Fは、極めて反射の少ないマットな表面と優れた色再現能力で、高品質なバーチャルプロダクションを実現するROE Visual製ハイエンドLEDディスプレイ・システムです。当社は、世界に先駆けて導入し、現在放送されている大河ドラマ『どうする家康』(NHK)の撮影より運用を開始しました。

角川大映スタジオに幅27メートル、高さ6メートルのRuby2.6Fを設置して行ったインカメラVFX撮影

当社は、今回ラインアップを拡充したRubyシリーズをはじめとする、ヒビノならではの豊富なLEDディスプレイ・システムと運用技術をもとに、外部スタジオで行われる映画やドラマ制作などの多様な撮影ニーズに対応し、最適なバーチャルプロダクションシステムを提供してまいります。また、クリエイターの創造性と映像表現の自由度を高め、環境負荷の低減にも資するバーチャルプロダクション「インカメラVFX」の活用を推進することで、映像制作業界のさまざまな課題解決に貢献してまいります。

●バーチャルプロダクション「インカメラVFX」とは

バーチャルプロダクションとは、LEDディスプレイ・システムを活用した撮影技術です。スタジオに設置したLEDディスプレイにCGの仮想空間や実写のロケーション映像を映し、その前の被写体と合わせて撮ることで、実際にそこで撮ったかのような自然な合成映像をリアルタイムにつくりだします。最新鋭のバーチャルプロダクションである「インカメラVFX」は、位置センサーを付けたカメラの動きに3DCGを連動させ、映像をリアルタイムに変化させることで、リアルな奥行き表現をもつ合成映像を撮影することができます。

●大型映像サービスのパイオニア企業ヒビノによる国内インカメラVFXの実現と背景

当社は、2021年7月、国内業界に先駆けてインカメラVFX撮影に特化したバーチャルプロダクションスタジオ「Hibino VFX Studio」を開設しました。自社スタジオによるサービス提供と、外部スタジオに向けたバーチャルプロダクションシステムの企画、レンタル、設置、オペレーションを行っております。

バーチャルプロダクション事業を推進する当社ヒビノビジュアル Div.は、日本のコンサート・イベントの黎明期から業界をリードする大型映像サービスのパイオニアです。最新鋭の大型映像機器を世界屈指の規模で保有し、大規模コンサートを中心に展示会、企業イベント、スポーツ大会、コンベンション、博覧会など幅広いマーケットに大型映像システムの企画立案、レンタル、オペレーションを行っております。

2020年、新型コロナの影響によってその需要が世界で一時的に停止しました。コロナ禍で生じたマイナスをプラスに転じさせ、新たな価値を生み出すこと。その挑戦が、取締役常務執行役員ヒビノビジュアルグループ担当 芋川淳一が陣頭指揮をとった「インカメラVFX」という最新の撮影技術を日本で実現させる取り組みでした。

北米で確立されたインカメラVFX技術が、世界的に注目されたのは、2019年に配信されたスター・ウォーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』の活用事例です。

インカメラVFXは、LEDディスプレイ、メディアサーバー、レンダリング専用サーバー、カメラトラッキング、カメラなど複数の技術を組み合わせて実現するものであり、必要となる機器も多岐にわたります。当社ではシステムの核となる機器の多くをもとより保有、運用しておりました。豊富な機材と膨大なコンサート・イベント現場で培った技術力、そして、世界の有力な映像機器メーカーとのパートナーシップ体制は、他社にない大きな強みです。企業資産を最大限に活かしながらスピード感をもって事業化を進め、国内で前例のなかったインカメラVFXの世界最高水準のシステムとオペレーションサービスを提供する体制を構築。2021年より提供を開始しました。

インカメラVFXの特徴として、「高い合成品質による自然な映像表現」、「場所や天候、時間の制約を受けず、ロケーション移動も不要」、「エキストラの削減」、「ポストプロダクション編集の負荷軽減」、「大規模なスタジオセットをLEDディスプレイに置き換えることによる廃棄資材の削減(環境負荷の低減)」などが挙げられます。よりリアルな映像をより低負荷に実現するインカメラVFXは、映像制作業界のさまざまな課題を解決する“新しい映像制作ワークフロー”としてCM、ミュージックビデオ、テレビ番組などへ導入を拡げています。

●導入実績例 大河ドラマ『どうする家康』(NHK)

『どうする家康』は、時代劇の映像表現を革新し、戦国時代の景色を変えることを目的にバーチャルプロダクションが取り入れられました。大河ドラマの撮影で大々的にバーチャルプロダクションが活用されるのは、本作が初めてとなります。まだ誰も見たことのない新しい戦国の映像表現を実現するため、国内バーチャルプロダクションの代表企業として当社にお声がけいただき、受注が決定いたしました。

本ドラマの撮影には複数のスタジオが使われており、当社は各拠点に最適なバーチャルプロダクションシステムを企画し、レンタル及びオペレーションを行なっています。

<撮影拠点、当社LEDディスプレイ・システム>

角川大映スタジオ

ROE Visual「Ruby2.6F」(幅27m×高さ6m、10,368 pixel×2,304 pixel)※2022年12月以降

ROE Visual「Ruby2.6F」(幅16.5×高さ6m、6,336 pixel×2,304 pixel)※2022年11月末まで

緑山スタジオ・シティ

ROE Visual「Ruby2.6F」(幅20m×高さ5m、7,680 pixel×1,920 pixel)

NHK放送センター

ROE Visual「Ruby2.6F」(幅20m×高さ6m、7,680 pixel×2,304 pixel)※2023年3月末以降

ROE Visual「BlackOnyX2」(幅20m×高さ6m、7,040 pixel×2,112 pixel)※2023年3月末まで

NHK名古屋放送局

ROE Visual「BlackOnyX2」(幅16.5m×高さ5m、5,808 pixel×2,112 pixel)

角川大映スタジオ(画面サイズ:幅27m×高さ6m)

緑山スタジオ・シティ

緑山スタジオ・シティ

NHK名古屋放送局

従来の大河ドラマでは、オープンセットや野原、森林などを使いロケーション撮影されていたシーンの多くを、『どうする家康』はスタジオで撮影しています。バーチャルプロダクションを活用することで、従来のオープンセットでは難しかった各国の文化の違いや変化を空や城下町の空気感も含めドラマチックに表現することが可能となりました。

撮影時には、カメラを通した映像を馴染みよく仕上げるため、ワンシーン、ワンカットずつ環境に合わせてLEDディスプレイの色を調整し、仮想と現実の境を極限まで消した「一つの世界」を作り上げます。適格な調整を手早く行うことで、バーチャルプロダクションの導入によって新たな調整時間を発生させたり、撮影の流れを止めたりすることなく、高品質で安定した撮影の実現に貢献しております。

インカメラVFXを活用した見どころの一つに、角川大映スタジオに幅27メートル、高さ6メートルのLEDディスプレイ・システムROE Visual「Ruby2.6F」を設置して撮影した大スケールの合戦があります。大規模な3DCG(戦国の世界)とCGで制作された大量のエキストラ(兵)をカメラの動きに連動させてリアルタイムに描画し、スムーズかつ高画質に動かすため、大規模なバーチャルプロダクションシステムを構築し高負荷なリアルタイム処理を高い精度にて安定して実現しました。この大規模な合戦は、4月23日(日)より放送されております。

北米で確立されたインカメラVFXをいち早く日本に持ち込み、知見と実績を積み重ねてきた運用技術は、当社の強みです。

バーチャルプロダクションは、成長期にある新しい技術であるため、今回の撮影期間中にも機材及びソフトウェアのアップデートを重ねております。当社バーチャルプロダクション事業として、システム、撮影期間ともに過去最大規模の案件となる中、アップデートや日々のメンテナンスによって一度のシステムトラブルもなく11ヵ月以上、安定したバーチャルプロダクションを提供してまいりました。また、今後の取り組みとして、新しいカメラトラッキング・システムを組み込んだインカメラVFXの検証を進めており、まだ誰も見たことのない新たな戦国の映像表現が、この先の放送でも登場する予定です。

案件概要

番組名

大河ドラマ「どうする家康」

受注内容

バーチャルプロダクションシステムの企画立案、レンタル及びオペレーション

主な機材

・2.6mmピッチLEDディスプレイ・システムROE Visual「Ruby2.6F」

・2.8mmピッチLEDディスプレイ・システムROE Visual「BlackOnyX2」

・メディアサーバーdisguise「vx4+」

・レンダリング専用サーバーdisguise「rxII」

・カメラトラッキング・システムstYpe「RedSpy 3.0」

スタッフ

<プロジェクト統括>

菊地茂則(当社ヒビノビジュアル Div. XR and Pro-imaging 部長)

<VFXスーパーバイザー>

瀧田稔久、日野恵夢(当社ヒビノビジュアル Div.)

<VP制作>

三浦晴美、松本直恵、松浦梨乃、堀川健(当社ヒビノビジュアル Div.)

  • Hibino VFX Studioについて

当社ヒビノビジュアル Div.が提供するインカメラVFXに特化したバーチャルプロダクションスタジオ。映像制作ワークフローのゲームチェンジャーとなり得るインカメラVFX技術を取り入れ、LEDディスプレイ・システムを活用した“環境に優しい再利用可能な背景”を提供しています。2023年4月現在、二つのバーチャルプロダクション常設スタジオ(Hibino VFX Studio、studio PX SEIJO)でのサービス提供と、外部スタジオに向けたバーチャルプロダクションシステムの企画、レンタル、オペレーションを行っております。https://hibino-vfxstudio.com/

  • ヒビノ株式会社について

1964年の設立以来「音と映像で、世界に感動をクリエイトする」という企業使命の下、音響と映像を中心とした製品・商品・サービスを展開。日本のコンサート・イベントの黎明期から業界をリードする音響・大型映像のパイオニアです。大規模コンサートを中心に企業イベント、スポーツ大会、バーチャルプロダクションまで幅広いマーケットをサポートしています。コロナ禍では、国内業界に先駆けてインカメラVFX技術を確立し、日本のバーチャルプロダクションリーダーとしてインカメラVFXの推進に取り組んでいます。https://www.hibino.co.jp/

以上

【本リリースに関するお問い合わせ】

●お客様からのお問い合わせ(バーチャルプロダクション、インカメラVFXについて)

ヒビノビジュアル Div. Hibino VFX Studio

TEL:03-5419-1611

E-mail:VFXstudio@hibino.co.jp

●報道関係者様からのお問い合わせ

ヒビノGMC 経営企画グループ 広報課

TEL:03-3740-4391(代表)

E-mail:ir@hibino.co.jp

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