ファッションデザイナー中里唯馬が振付家シディ・ラルビ・シェルカウイの新作オペラ衣装をデザイン。ミュンヘンの現代美術館での公演が5月14日最終日を迎えました

株式会社YUIMA NAKAZATOのプレスリリース

パリのオートクチュール・ウィークに参加するファッションブランド、YUIMANAKAZATOのデザイナー中里唯馬は、ローレンス・オリヴィエ賞を含む、数々の受賞歴を誇るベルギー出身の振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ(Sidi Larbi Cherkaoui)が演出する、バイエルン国立劇場(Bayerische Staatsoper)の新作オペラ、『HANJO』(班女)の全キャストの衣装デザインを手がけました。作品はドイツ、ミュンヘンの現代美術館ハウス・デア・クンスト(Haus Der Kunst)にて、現地時間の5月5日にプレミア上演され、公演は14日に最終日を迎えました。

中⾥とシェルカウイによる舞台芸術の共作は今回で⼆回⽬となり、昨年ジュネーブ⼤劇場バレエ団でのシェルカウイの芸術監督デビュー作『Ukiyo-e』においても中⾥は⾐装をデザインしました。今回、中⾥はシェルカウイの解釈を受け、本作の基となった現代能を執筆した三島由紀夫が、その作品に込めた「クィアコード」(同性愛の暗⽰)の側⾯を⾐裳の表現に反映させました。⾦、銀、⿊といった伝統的な⽇本の美にリンクした⾊をシンプルに使いながら、幾層にも覆われた「隠された愛の姿」を視覚化しました。

「シディ(シェルカウイ)と重ねた対話の中から、筋書き上とは別の⼈間関係が潜んでいるという三島由紀夫の謎めいた描写の重要性を認識しました。(これを受けて)私の頭の中に⽴ち現れた⾐装のデザインは、その秘匿性を複数のレイヤー(⾐服の重なり)で表現するというものでした。

1層⽬のシルクオーガンジーは性別や職業などの表の⼈物像を、そしてその下で光輝くゴールドとシルバーの素材は、惹かれ合うもの同⼠の真の関係性をそれぞれ表しています。さらに、舞台上で男性が⼥性の⾐装を、⼥性が男性の⾐装に着替えていきながら、より複雑に⼈物像が表現されていきます。

三島由紀夫によって描かれた『班⼥』という物語を、70年近い年⽉を経た今、シディ(シェルカウイ)の新しい解釈と共に現代に甦らせるという⾏為は、私にとって⾐服のデザインを改めて問い直すような刺激的なプロジェクトでした。」(中⾥唯⾺)

概要

2004年のエクス・アン・プロヴァンス⾳楽祭(theFestivald’AixenProvenc)で初演されたオペラ『HANJO』は、細川俊夫が作曲した⼀幕もので、14世紀の世阿弥の戯曲に着想を得た三島由紀夫(1915年〜1970年)が書いた同名の現代能を基にしています。偏愛の物語であり、主⼈公は恋⼈を待ち続けることで狂気と現実の境界を彷徨います。

新たな演出による今回の上演はドイツ、ミュンヘンの現代美術館ハウス・デア・クンストで開催される芸術祭「JA,MAIFESTIVAL」の⼀環として、同美術館が同じくミュンヘンのバイエルン国⽴劇場と初めてコラボレーションして企画されたものです。バイエルン国⽴劇場のプログラムでありながら、今回の会場は劇場のステージではなく、ハウス・デア・クンストのウエストギャラリー。通常であればアートエキシビションが⾏われる空間に、現代美術家のリクリット・ティラヴァーニャ(RirkritTiravanija)は透明な和室の舞台セットを作り出し、さらに⾞輪がついた舞台は演者たちを乗せたまま、ダンサーたちに押され上演中、縦横無尽にギャラリーの空間を動き回ります。

期間中、公演の前後には⽇本⼈アーティスト上⽥舞による茶道の点前パフォーマンスが同じ舞台上で⾏われ、彼⼥はYUIMANAKAZATOの最新クチュールコレクション「INHERIT」より、今回の為に特別にカスタマイズされたルックを着⽤しました。

HANJO(班女)プレミア公演

Sidi Larbi演出バイエルン国立劇場新作オペラ

https://www.staatsoper.de/en/productions/hanjo

2023年5月5日(金) – 5月14日(日)

ハウス・デア・クンスト Haus Der Kunst

(Prinzregentenstraße 1, 80538 München, Germany)

バイエルン国立劇場: https://www.staatsoper.de/en/

HANJO 制作背景: https://www.staatsoper.de/en/productions/hanjo

指揮:Lothar Koenigs

演出、振付:Sidi Larbi Cherkaoui

演出アシスタント:Theresa Maria Schlichtherle

振付アシスタント:Stephan Laks

舞台芸術:Rirkrit Tiravanjia

舞台芸術アシスタント:Jan Pfeiffer

衣装デザイン:Yuima Nakazato

衣装デザインアシスタント:Takashirou Wilhelm Hata

照明:Michael Bauer, Christian Kass

ドラマトゥルグ:Katja Leclerc

デザイナー・プロフィール|中里唯馬

1985年⽣まれ。2008年、ベルギー・アントワープ王⽴芸術アカデミーを卒業。2015年に「株式会社YUIMA NAKAZATO」を設⽴。2016年7⽉にはパリ・オートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1⼈に選ばれ、コレクションを発表。その後も継続的にパリでコレクションを発表し、テクノロジーとクラフトマンシップを融合させたものづくりを提案している。また⾃らが発起⼈となり、2021年7⽉より、未来を担う次世代のクリエイターのためのFASHIONFRONTIERPROGRAMを創設。オートクチュール・ファッションウィークを通じて最先端のファッションを提案しながら、社会的課題にも取り組む。

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