株式会社キョードーメディアスのプレスリリース
8月13日、石田組のサントリーホール公演が行われた。サントリーホールの舞台に立つことは結成当初からの目標だったと言うが、この日の昼夜2回公演はソールドアウト、そして今週8月17日には別プログラムによる追加公演が予定されている。これが石田組の現在地である。
言うまでもなく、サントリーホールは日本におけるクラシック音楽のメッカ。2000を越える客席、巨大なパイプオルガンを背にフルオーケストラがセッティングできる大きなステージを有し、国際的にもサントリーホールでの来日公演というのは確かなステータスとなる。組長以下13名の弦楽器奏者にチェンバロを加えたセッティングは舞台面積に対してこじんまりと見えるが、限られた演奏家だけが纏う風格をもって彼らはステージに現れた。石田泰尚と石田組にはサントリーホールがよく似合う。
リリースされたばかりのアルバム「石田組2023・夏」に続く公演ということで、収録曲でもあるヴィヴァルディ「四季」が前半に演奏された。本日の公演でヴィオラのトップを務めた須田祥子曰く「日本のコンサートマスターの中で一番美しい音」と評された石田のソロを存分に味わうことができるが、合わせてリーダーとしての彼が13挺の弦楽器をどうプロデュースするかという点も聴きどころのひとつ。弾き手それぞれの表情が見えるかのようなアンサンブルは古楽的なオーセンティックさも感じさせつつ、今世紀における我が国のクラシック界を牽引してきた奏者たちの力量を石田は存分に引き出す。出色だったのは「秋」の3つの楽章。石田の仕掛けが次々と多角的に表出するオリジナリティに満ちた演奏だった。
後半はグリーグの「二つの悲しき旋律」で始まる。今回、この曲でのみ石田はコンサートマスターの位置に立った。短いが、本公演における重要なパートと言える。メンバー紹介を挟み、ここからの3曲はいずれも初披露となった新レパートリー。中でも「レ・ミゼラブル」は発表された当初からどのような内容になるのか興味が尽きなかった一曲。ミュージカル自体は、時代や場面(都市)がどんどん変わっていく構成で、それぞれの場面の主役級のキャラクターが登場し、素晴らしいソロや合唱を披露する。石田組版「レミゼ」でも、石田は主旋律をどんどん組員に振っていく。10分ほどに纏められた弦楽器のファンタジーピースとしては驚くほどのストーリーテリングで、編曲者である松岡あさひのアレンジが光った。続くヴァン・ヘイレン「ドリームス」、クイーン「ボヘミアン・ラプソディ」も弦楽器ならではのグルーヴを響かせつつも現在の石田組のスケールの大きさに合わせたかのような成熟さを聴かせた。そして、キング・クリムゾン「21世紀のスキツォイド・マン」で本編終了。レコード(デビューアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」)の針を落とした瞬間に聴こえてくる、不穏なノイズを完コピするところから始まるのが何度聴いても嬉しい。
アンコールの詳細はここでは書かない。是非会場に足を運んで、聴衆の特権として楽しんでほしい。因みに本日のキーワードは「虫かご」と「裸足」だったことは付記しておきたい。客席総立ちとなったカーテンコール。舞台上段に一列に並ぶメンバーを見ていると思わず先ほど演奏された「民衆の歌」(レ・ミゼラブル)が頭の中でリフレインしてしまった。このプログラムは、今週8月16日の大阪公演ではフェスティバルホールにて上演される。
そして、大阪公演の翌日、石田組はサントリーホールに還ってくる。大宮臨太郎(ヴァイオリン)をはじめ、本日の公演に出演していない組員たちによる全く異なるプログラム。石田組によるエネスコ「八重奏曲」が聴けるのは本当に貴重だ。去年、一昨年と続けてサントリーホールでの公演を聴いてきて、その都度彼らは新しいアプローチを聴かせてくれた。恐らく、来年出会う彼らは今とは全く違う装いで私たちを待っているだろう。両公演に限らず、現在の石田組の演奏を是非聴いてほしい。
(文:小崎紘一)
(写真:清水隆行)
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石田組2023/2024 アルバム発売記念ツアー
今後のスケジュール
2023年
8月16日(水)大阪フェスティバルホール
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/6377
8月17日(木)東京サントリーホール
https://kyodotokyo.com/ishida230817
9月9日(土)神奈川神奈川県立音楽堂
10月1日(日)北海道札幌コンサートホール Kitara
https://www.htb.co.jp/event/ishidagumi/
10月5日(木) 千葉 船橋市民文化ホール
10月7日(土)秋田アトリオン音楽ホール
10月14日(土)北海道網走市民会館
10月29日(日)長野軽井沢大賀ホール
11月23日(木祝)神奈川ミューザ川崎シンフォニーホール
11月26日(日)滋賀びわ湖ホール
12月1日(金)宮城電力ホール
12月3日(日)福岡北九州市立響ホール
12月10日(日)東京かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
12月16日(土)埼玉東松山市民文化センター
2024年
1月27日(土)福島ふくしん夢の音楽堂
3月3日(日)静岡アクトシティ浜松
3月17日(日)石川北國新聞赤羽ホール
3月20日(水・祝) 鹿児島 川商ホール第2ホール
各地のチケット販売情報、メンバー、プログラムは アーティストHP:http://musiciansparty.jp/artist/ishida/ に決まり次第、順次更新いたします。
石田組 アルバム情報
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『石田組 2023・夏』
絶賛発売中!
CD+特典DVD UWCD-10003
¥4,000(税込)
【収録予定曲】
ヴィヴァルディ:四季/ホワットエバー(オアシス)/ありがとう(いきものがかり)
特典DVD
ヴィヴァルディ:四季 より抜粋、他
2022年8月19日ミューザ川崎シンフォニーホールでのLIVE録音
発売・販売:ユニバーサル ミュージック合同会社
演奏:
ヴァイオリン…石田泰尚 塩田脩 村井俊朗 清水泰明 福留史紘 鈴木浩司
ヴィオラ…中村洋乃理 多井千洋 小中澤基道
チェロ…西谷牧人 玉川克 大宮理人
コントラバス…米長幸一
チェンバロ…松岡あさひ
2022年8月19日ミューザ川崎シンフォニーホールでのLIVE録音
https://umj.lnk.to/Ishidagumi
https://www.universal-music.co.jp/ishida-gumi/
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『石田組 2023・春』
絶賛発売中!
CD+特典DVD UWCD-10002
¥4,000(税込)
【収録曲】
キル・ザ・キング(レインボー) /輝ける7つの海(クイーン)/ボーン・トゥ・ラヴ・ユー(クイーン)/ニュー・シネマ・パラダイス(エンニオ・モリコーネ) /バック・トゥ・ザ・フューチャー(アラン・シルヴェストリ)/スマイル(チャップリン)
4つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調、作品3-1 RV549 (ヴィヴァルディ)
(1st 石田泰尚 2nd福留史紘 3rd 塩田脩 4th清水泰明)
ルーマニア民俗舞曲 Sz68(バルトーク) /アンダンテ・フェスティーヴォ(シベリウス) /ファランドール(ビゼー)
【特典DVD収録曲 (約33分)】
★キル・ザ・キング ★ニュー・シネマ・パラダイス ★アンダンテ・フェスティーヴォ
★カーテンコール~ファランドール ★Behind the Scene