株式会社ホリプロのプレスリリース
(文:吉田真由子)
左中央より)インバル・ピント、ナビゲーター小池藍、森山未來
■インバル・ピント Inbal PINTO
イスラエルの演出・振付・美術家。1992 年より自身のカンパニーを立上げ、イスラエル国内だけでなく世界各地で公演を行っている。アメリカン・ダンス・フェスティバルの国際振付プログラムに招聘され、2000年にはニューヨーク・ダンス&パフォーマンス賞を受賞している。ノルウェイのオペラハウスにて演出・美術を手がけた『The Cunning Little Vixen 』はその独創的な演出で話題となった。
ホリプロとのクリエーションは『100万回生きたねこ』(2013年、2015年)、『羅生門』(2017年)、『ねじまき鳥クロニクル』(2020年、2023年)。
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「観客と演者の間にある同意。それが舞台芸術の美しさ」
森山は、インバルが振付・演出を務めたミュージカル『100万回生きたねこ』(2013年)に出演以降、インバルが率いるダンスカンパニーに1年間参加するなど、二人は多くのクリエイションを共にしてきた。今回、演出・振付・美術を担当する舞台『ねじまき鳥クロニクル』の稽古のために来日中のインバルと、森山とのトークセッションが実現した。
2013年上演『100万回生きたねこ』舞台写真(左より:森山未來、満島ひかり/ 撮影:渡部孝弘)
インバルは「母のような人でもあり、大きな愛に溢れた人」であるという森山。インバルへの最初の印象は、「振付家というより総合芸術的に作品を制作する。色々な視点で作品を構築していくところに刺激を受けた」と語ると、インバルも森山を「彼の血管には芸術が流れている」とその稀有な才能を絶賛した。
「舞台に限定せず、様々な媒体での表現を積極的に試みてきた」と語るインバルに対し、森山は「アート作品を見せる真っ白な空間をホワイトキューブと呼ぶのに対し、劇場はブラックボックスと呼ばれている」として、「閉鎖空間に観客と演者が対峙し、虚構を共有することを前提とする」舞台芸術は、インバルのやりたい表現に繋がるのではと問いかけた。
インバルは「観客は全てを再現しなくても、想像力で補ってくれる。観客と演者の間にある同意。それが舞台芸術の素晴らしさで、美しさ」だと頷いた。
「年1で日本に来ているんじゃない?」と森山が話すほど、近年日本でのクリエイションが増えているインバル。日本のクリエイターは「献身的で、芸術と美への理解が深い」と称賛した。さらに「日本にはすでにコミュニティーができていて、例え言葉が通じなくても共通言語を持つ、ものづくりをするファミリー」がいると語った。そして「日本のクリエイターたちのように芸術を大切にすることは、このご時世には特に必要だと感じる」と付け加えた。
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『ねじまき鳥クロニクル』のリクリエイション
11月7日(火)から始まる舞台『ねじまき鳥クロニクル』の稽古は、すでに1週間が経過。「再演でも、新たなデベロップメントがあるのでは?」と問う森山に対し、インバルは「再演とは作品を深めること」だとし、「(初演で)やるべきだったことが明確になってきている」と自信を見せた。
「体を一つの素材として捉えている」というインバルは、舞台『ねじまき鳥クロニクル』の創作についても、原作である村上春樹の同名小説を初めて読んだ時に、自分の体を駆け巡った衝撃をもとに作り始めたと語った。「主人公は、自分を外に置いて、その自分と対話する必要があると感じたので、二人で一役にすると直感的に決めた」とその一例を挙げた。(主人公の岡田トオルは成河と渡辺大知の二人が演じる)
岡田トオルを演じる成河・渡辺大知と笠原メイを演じる門脇麦
「原作者に対して忠誠でありつつも、なぜ私がやるのかという意味、新しい側面を届けたい。才能豊かなアーティストたちが一堂に会し、色んなアートの形が結集した世界を、是非体験してほしい」と熱を込めて語った。
2020年上演『ねじまき鳥クロニクル』舞台写真(撮影:田中亜紀)
2020年上演『ねじまき鳥クロニクル』舞台写真(撮影:田中亜紀)
2020年上演『ねじまき鳥クロニクル』舞台写真(撮影:田中亜紀)
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『ねじまき鳥クロニクル』あらすじ
岡田トオルは妻のクミコとともに平穏な日々を過ごしていたが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもよらない戦いの当事者となっていく――。
物語は、静かな世田谷の住宅街から始まる。主人公のトオルは、姿を消した猫を探しにいった近所の空き家で、女子高生の笠原メイと出会い、トオルを“ねじまき鳥さん”と呼ぶ少女と主人公の間には不思議な絆が生まれる。赤いビニール帽子をかぶった“水の霊媒師”加納マルタが現れ、本田老人と間宮元中尉によって満州外蒙古で起きたノモンハン事件の壮絶な戦争の体験談が語られる。
そしてある日、妻のクミコが忽然と姿を消した。クミコの兄・綿谷(わたや)ノボルから連絡があり、クミコと離婚するよう一方的に告げられる。クミコに戻る意思はないと。だが、クミコ失踪の影には綿谷ノボルが関わっているのではないかという疑念はしだいに確信に変わってゆく。トオルは、得体の知れない大きな流れに巻き込まれていることに気づきはじめる。
何かに導かれるように隣家の枯れた井戸にもぐり、クミコの意識に手をのばそうとする主人公トオル。世田谷の路地から満州モンゴル国境まで、クミコを取り戻す戦いは、いつしか時代や空間を超越して、“悪”と対峙する“ねじまき鳥”たちの戦いとシンクロする。暴力とエロスの予感が世界をつつみこむ……。
はたして、“ねじまき鳥”はねじを巻き、世界のゆがみを正すことができるのか? トオルはクミコを探し出すことができるのか――。笠原メイとふたたび会えるのか。
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公演概要
舞台『ねじまき鳥クロニクル』
<出演者>
■演じる・歌う・踊る
成河/渡辺大知 門脇 麦
大貫勇輔/首藤康之(Wキャスト) 音 くり寿 松岡広大 成田亜佑美 さとうこうじ
吹越 満 銀粉蝶
■特に踊る
加賀谷一肇、川合ロン、東海林靖志、鈴木美奈子、藤村港平、皆川まゆむ、陸、渡辺はるか(五十音順)
■演奏
大友良英、イトケン、江川良子
<スタッフ>
原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー
脚本・作詞:藤田貴大
音楽:大友良英
照明:ヨアン・ティボリ
音響:井上正弘
ヘアメイク:宮内宏明
通訳:鈴木なお、天沼蓉子
美術助手:大島広子
振付助手:皆川まゆむ
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:足立充章
<公演スケジュール>
期間:2023年11月7日(火)~11月26日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス
主催・企画制作:ホリプロ
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
協力: 新潮社/村上春樹事務所
後援:イスラエル大使館
<チケット料金>
・S席:平日10,800円/土日祝11,800円
・サイドシート:共通8,500円
・S席舞台見学付:10,800円
・U-25チケット:6,500円
座席表>>https://bit.ly/3CjbkQs
ダブルキャストスケジュール>>https://bit.ly/3WZHjOY
東京公演イベント一覧>>https://horipro-stage.jp/news/nejimaki_event/
<ツアー公演>
愛知公演期間:2023年12月16日(土)・17日(日)
会場:刈谷市総合文化センター大ホール
主催:メ~テレ/メ~テレ事業/刈谷市・刈谷市教育委員会・刈谷市総合文化センター(KCSN共同事業体)/ホリプロ
お問い合わせ:メ~テレ事業
TEL:052-331-9966(平日10:00~18:00)
大阪公演期間:2023年12月1日(金)~3日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場/ホリプロ
お問い合わせ:梅田芸術劇場
TEL:06-6377-3888 (10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1149/
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