「台湾映画上映&トーク〜台湾映画の”いま”2023」第7回『童話・世界』タイムリーなテーマに強い関心と高い評価!

台北駐日経済文化代表処台湾文化センターのプレスリリース

2000年以降の台湾映画の新しい流れがどのように”いま”に繋がってきたのか、そして”いま”何が起きているのかをお届けする台湾文化センターとアジアンパラダイス共催の台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の”いま”」。
2020年から2022年までコロナ禍によりオンラインで実施してきましたが、ようやく状況が落ち着いて来たことにより、今年は会場+オンラインのハイブリッド形式で開催しました。

10月21日(土)に上映した今年度最後、第7回は、性暴力事件による人間模様を写し出す『童話・世界』。

最近台湾では政界や芸能界、スポーツ界でもセクハラ被害の告発が続き、MeToo運動が広がっています。

文学や映像コンテンツが性被害事件を可視化したことも、#MeTooへとつながったと言われ、本作もそのひとつと言えるでしょう。

本作は、弁護士出身の唐福睿(タン・フールイ)監督がデビュー作として、現在と17年前の性暴力事件を通してさまざまな人間模様を描き出しました。

 

世界で、特に日本でも性被害が社会問題になっているいま、この映画への関心が高いことが、アンケート回答に強く反映されています。

本作は現在と17年前という時間軸が交錯する映画ですが、ほとんどの方が迷子になることなく作品の神髄に触れることができたのは、構成の巧みさと監督の演出力、俳優の演技力によるものでしょう。

(以下、アンケート回答からの抜粋)

「最近よく耳にするようになった<グルーミング>という言葉が何度も浮かんだ。劇中で描かれるのは、わかりやすく暴力を使った性被害ではないが、思わず目を背けたくなるようなシーンが何度もある。少女たちが愛していると言いつつも、その表情が本当に苦しそうで、これは人格を深く傷つける許されない暴力だと何度も怒りを感じた」

「俳優の演技はもとより、脚本の素晴らしさに魅了された」

「重いテーマだったが、考えさせられる良い映画」

「複数の性被害を被告側、原告側から視点を変え、法律的観点から描いておりとても興味深かった。ぐいぐい引き込まれていく、とてもいい映画だった」

「曖昧なラインが法律で複雑になっていく感じで、観終わった後も心の置き場所が無い感覚」「作り手のエネルギーを感じる作品で良かった」

「非常にセンシティブな題材の映画を、重たくなりすぎず、しかもさまざまな視点からまとめ上げた脚本力と演技力に感嘆した。物語の回収をどうするのかと気になっていたのだが、見事なエンディング」

「エンタメ性を排除し訥々と誠実に進む人物描写とストーリー展開、ゆえにリアリティを感じる社会派作品。予備校講師のずるさに腹が立ち、後から李康生が上手かったんだなあと我に返った」

「キャスティングも演技ではなく本人、の様に感じるほどに素晴らしかった」

「重たいテーマの作品だが俳優陣の見事な演技に引き込まれ夢中で見た。素晴らしい作品!」

「今年見た映画で一番見ごたえのある作品」

「被害者役二人の心の機微の表現力、加害者役の見事なまでの洗脳する演技、気づくと劇中に引き込まれていた」

 

また、アタートークの本編解説は作品を理解するのに役立ったようです。金馬奨ノミネートの紹介についてと、日本と台湾の映画祭上映作品の最新情報は、タイムリーだと喜んでいただけました。

(以下、アンケート回答からの抜粋)

 

「作品を深く理解するのに、解説がいつもとても助かる」

「映画の背景や役者のバックグランドなどとても分かりやすい」

「解説と監督からのメッセージは作品理解に助かる」

「監督のコメントも含め、出演者の方々のバックグラウンドの紹介に、より理解が深まった」

「作品の背景や現在の台湾映画事情がわかり、とても面白かった」

「台湾映画の近況がよくわかり、今後の台湾映画にも期待しつつ、これからもいろいろ観たいと思った」

「毎回最新情報がありがたく、いろいろな作品を見てみたいと思う」

「東京国際映画祭への流れとしても今日このイベントがあるのはテンション上がる」

「金馬奨がより楽しみになった」

 

唐福睿(タン・フーレイ)監督のメッセージ

『童話・世界』の脚本家で監督のタン・フーレイです。

この映画を皆さんが気に入ってくれていたらうれしいです。

この作品を作った時多くの伝えたいことがありましたが、重要なのは2つです。

一つは皆さんが被害者や加害者への偏見を持っていなかったか考えてほしい。私はこの偏見に挑戦したいです

特に被害者に偏見があると法的プロセスにおいて被害者を大きく傷つけることがあり、

また真相に近づくのが難しくなります。これは法律的思考です、

そのために常に理性的に、偏見を取り払う必要があります。

そうすることで真相正義により近づくことができます。

もう一つは皆さんに権力と勢力との関係に、常に警戒心を持つ必要があると理解していただきたい。

我々は誰もが張正煦(主人公の弁護士)の立場になり得る可能性があります。

そのために常に権力を批判する態度を持つべきです。

権力関係は曖昧であり具体的な形はありません、しかも権力は通常話術により人をコントロールします。

そしてその甘い言葉に包まれた話術に支配された被害者は、我々がより理解し寄り添う必要がある対象です。

彼らは無形の巨大な価値観により脅迫され縛られ、その苦境から逃げ出すことは非常に難しいのです。

 

 

なお、アフタートーク映像はどなたでも見られるよう公開。

さらに詳しい話が聞ける監督インタビューは、Podcastで配信中です。

◆アフタートーク映像

https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=b443576b81293d1a760eafbc3e2e9b06

◆唐福睿(タン・フーレイ)監督のインタビューPodcast

http://asianparadise.sblo.jp/article/190621893.html

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