株式会社サンライズプロモーション東京のプレスリリース
「鳥ト踊る」は、ノゾエ征爾が主宰する“劇団はえぎわ”の番外企画として始動した“真夜中”によって2009年に上演され、その後2011年にリメイク。謎の扇風機に髪を絡みとられて身動きできなくなった女と、たまたまそこに通りがかってしまった青年が織りなす会話劇です。ワンシチュエーションで起こる少し不気味で滑稽なサスペンス風コメディを、男女二人のみの朗読劇でお届けいたします。
稽古場取材会は、両チームともに稽古初日に実施いたしました。今回は、それぞれのチームごとの取材時の様子をレポートいたします。
■村井良大×優河×ノゾエ征爾
――稽古初日ということで、作品の印象はいかがでしょうか?
村井良大(以下:村井):クスクスと笑えてくるような作品で、読めば読むほど面白いです。ノゾエさんのセリフ回しは、微妙なさじ加減の間やニュアンスの違い、すれ違っている様子がとても自然で、受け取った感覚のままの日本語で表現するので、不自然さがない。現代に生きる人が、このシチュエーションで起きていることをその場で汲み取ったままの情景が浮かんできます。今回はリーディングなので、ある程度、シチュエーションを想像してもらう部分もありますね。
優河:今回、初めて朗読劇に参加させて頂きます。「鳥ト踊る」は、台本に書かれている言葉を発するだけで情景が浮かぶ、わかりやすさがある作品なので、面白いですよね。あと、狂気というか、怖いと面白いのギリギリの狭間で、村井さんが真面目に言うから本当に怖く思えるし、不思議なセリフでも綺麗。そう見えない分、怖さを感じます(笑)。
ノゾエ征爾(以下、ノゾエ):一人一人、想像するものが違うから、見える世界が違うのは面白いですよね。今回ト書きも読むので、言葉だけで捉えた時――、例えば扇風機一つにしても物は出てこないし、髪の長さにしても、想像しているものは違うと思う。そこは朗読劇だからこそ面白いんだろうなと。
村井;そうそう。今回、ト書きを読むというシステムが採用されていまして。ト書きを読むと、お客さんにも情景が伝わりやすくはなるんですけど、ちょっとだけテンポが平らになってしまうというか、冷静になってしまうんですよね。そこをどこまで汲み取るか、テンポ感も含めて、細かく精査しながら進めていくと思います。
ノゾエ:普通ト書きって読まないんですか?
村井:台本によりますが、台詞のなかで説明するときもあるので、ト書きを読むことはないかもしれないです。僕はあまり読んだことはないですね。
ノゾエ:おめでとうございます(笑)。
村井:ありがとうございます(笑)。今回初挑戦させていただいて。
――優河さんが演じられる“女”は、シチュエーション的に自由が利かなくて、怖い部分もあると思うんですが、どんな心情で演じていらっしゃいますか?
優河:ある種の緊張感は多分ずっとありますね。リーディングじゃなかったとしても、私は動けないシチュエーションじゃないですか(笑)。だから、本公演と朗読劇で、あまり変わらないのかなと。生物的に女性としての緊張感がずっとあるのと、助けてくれる人が現れたけど、男性という部分での壁もあって、うまくやらないと助けてくれなさそうな人になっていくし……(笑)。怖いですよね。わちゃわちゃしていても緊張感はありますね。
――ノゾエさんから見て、お二人は演じ手としてどういったところが魅力的ですか?
ノゾエ:今日初めての稽古だったんですけど、二人とも(奇を)てらってない。「人」がちゃんと出てくるのが、とても気持ちがいいなと思いながら、最初から聞いていました。変に装っていないというか、お人柄なんだろうなって。読み始めた瞬間から気持ちが良かったです。
――今の段階では話しづらいところもあると思いますが、この男と女の間に生まれ、感情みたいなものに名前をつけるとしたら……?
村井:書けないかもしれないんですけど、男って醜い生き物なんだなって全体的に思っちゃって(笑)。
ノゾエ:そこを分かった上で、男は葛藤してるっていうかね。僕はその行き詰まった葛藤から何が炙り出てくるかは楽しみであるんですけどね。ただ、最終的にはやっぱり愛なんですけど……。
村井:愛なんですね(笑)。
ノゾエ:愛です、愛です。純愛です。最悪な事態を抜けていった先に純愛があるんだっていう。そういう風に僕自身は書いていて、「へえ、純愛に行き着いたんだ」っていうぐらい、僕は深い愛を感じながら書きました。
村井:本当ですか?じゃあ僕、終着点間違ってます? 純愛だったら純愛にします(笑)。
ノゾエ:それは自由です(笑)。僕がそんな押し付けるようなもんじゃない(笑)。本番でそれぞれ感じられたらいいなと思っています。「どんな感じでした?」って。「愛、全くなかったです」でもいいし(笑)。
村井:わかりました(笑)。
優河:最初に読んだ時は話の結末に驚いたんですけど、何回か読んでみると、確かに「かわいい」に終着しそうだなと思いました。普段生活していて起こりえないことが起こるじゃないですか。それを人間的に受け入れつつ、自分のことを語ったりして、共通で持っている感覚があって、腑に落ちていくんですよね。基本的にどっちも優しいし、愛くるしいなっていうのは、感じたかもしれないです。純愛なのかな?私も純愛派かもしれないです。
村井:僕が一番サイコパスかもしれない……(笑)。
優河:だからいいのかもしれないですね(笑)。
ノゾエ:設定自体は不条理ではありますが、状況としては完全に行き詰った状態に二人がいて、それぞれの言い分や正義、欲求を持っている。それはどうしたって、水と油みたいなものなんだけど、それじゃ先がないですよね。じゃあ、なんだったらこの先、我々は進めるんですか?という状態の時に、僕の中で何かが和解する術として、それはキスだったっていう。それは物理的なキスじゃなくて、精神的なキスで、自分の中では結局そこになるんだな、みたいなのはありますね。
――公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
村井:役者が読んでいて面白いと思えるものは、お客さんに絶対に楽しんでもらえると思うので、リーディング「鳥ト踊る」を観に来ていただいて、たくさん笑っていただきたいですし、ちょっとゾッともしていただきたいです。見応えのある朗読劇にできると思いますので、劇場でお待ちしております。
優河:ジェットコースターのような感情の揺れや、恐怖、笑い、愛くるしさを感じてもらえるように頑張りたいです。難しいことを考えずに観ていただいて、終わったあとに「ああ、なんか楽しかった」って言ってもらえるように、頑張りたいと思います。
ノゾエ:作品自体は何回かやってきているものなので、きっと何か面白いところがあるから、こうやって生き残っている作品なんだと思っています。今回、朗読劇という形ですが、朗読劇というと、かしこまったような雰囲気を想像されるかもしれませんが、間違いなく臨場感溢れる舞台になると思いますので、劇場で触れに来て頂きたいです。
■東啓介×斎藤瑠希×ノゾエ征爾
――東さんは、ノゾエさんのお芝居に出演されるのは久しぶり、斎藤さんは初めてとのことですが、稽古初日いかがですか?
東啓介(以下、東):二人芝居ということもあって、活字に追いやられている感じがして、今は脳みそがいっぱいいっぱいですね(笑)。久しぶりにノゾエさんとご一緒できることを本当に心待ちにしていたので、初日からとても楽しかったです。
斎藤瑠希(以下、斎藤):朗読劇も初めてで、本当に緊張していたんですが、楽しいですね、本読みから実際に立って読むまで、すごく楽しくて。客席側からも観たいと思いました。
――ノゾエさんはいかがでしたか?
ノゾエ征爾(以下、ノゾエ):昨日の村井さんと優河さんと、とてもいい意味で全然違うなっていう。設定がはっきりしているので、そこに縛られちゃうかなっていう危惧もあったんですけれども、実際には何の心配もなかったといいますか。こんなに変わるかっていうぐらい。解釈の違い方や、単語への乗っかり方、体重の使い方が変わっているし、それぞれが良いですね。とても嬉しい日でした。今日も。
――ノゾエさん的に、村井さんと優河さんチームと、東さん斎藤さんチームで、どれぐらい違いを感じていますか?例えばチームにタイトルをつけるとしたら。
ノゾエ:チームで分けるとしたら、何かしら? 村井さんと優河さんが“素朴”だとしたら、今日のお二人は“グルーヴ”かもしれない。素朴はおとなしいという意味じゃなくて、お人柄が滲み出ているっていう意味で。今日のお二人ももちろん人柄は出てますし、そこにグルーヴィーなものが乗っかっている感じですかね。
――情報解禁時のコメントで斎藤さんは台本を読まれている時に不思議な体験をしたっていうお話をされていましたが……。
斎藤:コメントを出してからも何回か台本に目を通していて、癖になるし毎回感じることが違うので……。言葉を選ばずに言えば、“するめ”のように、噛むほど味が出る。そういう感覚が初めてだったので、「とても面白い作品に関わらせていただけるんだ」っていう高揚感はすごかったですね。
東:僕は、いい意味で変だなって(笑)。変なところが気になって入り込んでしまうというか、僕が演じる“男”は、一を百ぐらいに広げてしまうようなボキャブラリーの持ち主なので、のめり込んでいく集中力を見ていると「こういう人、たまにいるよな」って。すごく不思議な体験をさせてもらっていると思います。本公演もある「鳥ト踊る」をリーディングでどう表現するのかも気になりましたし……。案の定ちょっと動きましたけど(笑)。リーディングだからこその言葉の良さみたいなのは、台本にたくさんあるので、日常会話を覗き見しているような、いろんな景色が見える作品だなって思いましたね。
――ノゾエさんがこの台本を書かれたときと、いまで変わっていること、改めて思うことはありますか?
ノゾエ:台本を書いたのは、15年近く前になります。衝動的なところで書いたと思うんですけれども、自分も歳を重ねて、本とキャストの方と言葉を通してじっくり向き合っていくと、根っこにあるテーマや、自分では気づいていなかった本質みたいなものを知ることができました。それは、人と人とのことなんです。
――というと?
ノゾエ:この作品は、本当にどうしようもない、行き詰まった状況のなかで進んでいくんですが、シチュエーションは異なるものの、同じように行き詰るようなことは社会の中にもたくさんあって。そうした中で、それぞれの欲求、正義、言い分、どうしても譲れない、どうしても交われないものがあって、それは持ちつつ、でも例えば、性犯罪や殺人のように絶対にダメなもの排除する。排除しました、この物語の中でも、男が理性でもって。その上でもそれぞれ言い分がある。どうしたって交われないのか…?という、その先に僕が触れたかった本質があったというのは、割と今までは気づいてなかったかもしれないんですよね。言葉にすると、それこそ安易で陳腐な言葉になってしまうけど、いわゆる愛みたいなことになるんです。でも、もっと奥深いところでそれを感じるような社会になってきているのかしら、と。僕が単純に歳をとったからなのかもしれないですが、ずいぶんと違いを感じます。
――現時点で、“男”と“女”というキャラクターをどう捉えていますか?
東:稽古初日時点ではありますが、僕が演じる“男”は誠実で真面目ではあるものの、好奇心がすごく旺盛な人。一つのことからすごい量の物事を考えられるし、突拍子もないことを真面目にするその面白さって、誠実じゃないと面白くない。子供みたいな大人みたいな……そういう人ですね。
斎藤:男との対比もありつつ、平凡でどこにでもいるような女の子だと思っているんですが、いざ読み合わせてみると、それだけじゃない部分がにじみ出てきたり、関係値がひっくり返ったりもするので、そこをどう繋げていくかを稽古で模索しました(笑)。AチームとBチームで、二種類の男と二種類の女が出来上がると思うので、そこはすごく楽しみです。
――舞台を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
ノゾエ:僕が思っていた以上に2チームが全然違って、朗読劇を想定してお越しいただいた方の想像をいい意味で超える、息遣いの生々しさが届くような舞台になると思うので、是非これを味わいに来ていただきたいと思います。
斎藤:4公演という少ない公演数で、二種類味わえるという良さを楽しんでほしいですし、AチームもBチームも観に来ていただきたいです。私が初めて台本を読んだ時に味わった不思議な感覚を体感していただき、二回見たらまた三回目も絶対観たくなるはずです。
東:久しぶりに朗読劇に参加させていただけることも嬉しいですし、ノゾエさんとご一緒させていただくのが5年ぶりということで、成長した姿をノゾエさんにもお見せしたいです。「鳥ト踊る」というシュールで、でも「なんだ今の?ちょっと刺さるかも?」みたいな、そういったものを言葉、耳、目、五感すべてを通じて、皆様に届けられたらいいなと思っています。AチームBチーム、両方もし観られるのであれば、その違いも楽しんでいただき、素敵な時間になったらいいなと思っています。ぜひ楽しみにしてください。
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公演概要
公演名:リーディング『 鳥ト踊る 』
作・演出:ノゾエ征爾
出演:Aバージョン 村井良大・優河/Bバージョン 東啓介・斎藤瑠希
日程:2023年11月27日(月)〜30日(木)
会場:I’M A SHOW(東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館 7F)
チケット料金:全席指定:7,500円(税込)
一般発売: 2023年11月12日(日)10:00
問い合わせ:サンライズプロモーション東京:0570-00-3337(平日12:00~15:00)
公式サイト: https://sunrisetokyo.com/detail/24613/
企画・製作:MY Promotion/スペースポンド
主催:サンライズプロモーション東京