文化庁のプレスリリース
国立映画アーカイブでは、4月9日(火)から約4か月半にわたり、展覧会「日本映画と音楽 1950年代から1960年代の作曲家たち」を開催いたします。日本において映画産業が隆盛を極めた1950年代から1960年代にかけて、映画界はさまざまな芸術分野のエキスパートたちに協力を仰ぎ、作品を続々と送り出していました。その最たるものの一つが音楽です。とりわけ、日本で当時活躍した作曲家たちの多くが映画界と手を結び、その繁栄を力強く支えました。作曲家たちにとっても、映画のために音楽を書き下ろす仕事は自らの創作意欲を実践に移すための貴重な機会でもありました。彼らによって映画のために書かれた諸作品は、演奏会用作品とはまた一味違った魅力に溢れています。
本年(2024年)は、團伊玖磨、眞鍋理一郎、斎藤高順といった日本映画に深く関わった作曲家たちが相次いで生誕100年を迎える年でもあります。それを記念して、撮影所システムのもと各社が映画作品を量産していた1950年代から1960年代に映画界で活躍していた作曲家たちを取り上げ、貴重な自筆譜や製作資料などを通じて彼らの功績を顕彰します。
また、本展覧会と連動して大規模な特集上映企画も開催、さらには当館初の試みとなる上映ホールを会場とした演奏会も催すことで、数多の作曲家たちがフィルムに刻み付けた音の軌跡を多面的に体感いただくことができます。日本映画の黄金時代を視覚面・音響面両方から深く味わうことのできるまたとない機会をお楽しみください。
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見どころ
1. 映画黄金期の日本の作曲家たちに注目した初の大規模展示
当館初となる、日本の作曲家と映画についての展覧会です。「日本映画音楽の開拓者たち」「戦後クラシック音楽の旗手たち」「多様なバックグラウンドを持つ作曲家たち」の3つのセクションで、数多くの作曲家たちによって成し遂げられた多彩な功績について振り返ります。
2. 自筆譜や製作資料などの貴重な資料で迫る製作の実態
作曲家本人の手による自筆譜や、音楽制作のための書き込みがある台本など、普段目にする機会の少ない貴重な資料を通じて、日本映画黄金期の映画製作の一端を音楽面から読み解きます。
3. 充実した音楽展示
2022年度開催の「ポスターでみる映画史 Part 2 恐怖映画の世界」以来、お馴染みとなった音楽展示にもご注目。充実した音楽展示を通じて、日本映画黄金時代を彩った豊饒な響きを真に迫ってお楽しみいただけます。
4. 上映ホールにて演奏会を実施
関連イベントとして、5月25日(土)に当館の上映ホールを会場とした演奏会を実施します。黄金時代の日本映画を彩った音楽で構成された、バラエティに富むプログラムにご期待ください。
5. 大規模な上映企画とも連動
5月25日(土)から7月28日(日)には、同タイトルの大規模な特集上映も開催いたします。展覧会とあわせてご覧いただくことで、日本映画の黄金時代を視覚面・音響面両方から深く味わうことのできるまたとない機会をみなさまにご提供します。
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展覧会の構成
イントロダクション
戦後日本映画の黄金時代 戦後日本音楽の黄金時代
敗戦の混乱から抜け出して 、日本社会が活気に溢れていた 1950 年代から 1960 年代にかけては、映画界もきわめて旺盛な活動を繰り広げていました。作曲家たちが引きも切らない依頼に応えることができたのは、当時の日本の楽壇が多彩かつ豊富な人材を擁していたからに他なりません。 ここでは、展覧会の導入として、当時の日本の映画界と音楽界を取り巻く状況、あるいは日本の映画音楽についての先行研究を概説し、映画の音楽に注目することの音楽史的・映画史的重要性について考えます。
第1章
日本映画音楽の開拓者たち
1930年代半ば、日本映画にも本格的なトーキー時代が到来すると、映画を彩る音楽 の存在がそれまで以上に注目されることとなります。そのような中 、早坂文雄をはじめとする作曲家たちは映画のための音楽に積極的に取り組み、単なる伴奏にとどまらない映像と緊密に結びついた音楽表現を追求するなど、その質的向上に尽力しました。彼らは戦後の映画黄金時代においても変わらず盛んな活動を続け、映画界を盛り立てました。本章では、早坂のほか伊福部昭、斎藤一郎といった日本映画音楽の開拓者たちに注目します。
第2章
戦後クラシック音楽の旗手たち
新しい時代を迎え、作曲家たちは新作を盛んに発表していきます。その一方で、映画界はより多くの音楽家を求め、若い作曲家たちは経済基盤を築くために需要の絶えない映画の仕事にも積極的に携わりました。そこから生み出された作品には、演奏会用作品にも勝るとも劣らない創作意欲が息づいています。本章では、戦後にデビューを果たした新世代の中から、團伊玖磨・芥川也寸志・黛敏郎による「3人の会」を筆頭に、眞鍋理一郎、林光、武満徹といった戦後のクラシック音楽の隆盛と軌を一にしながら映画界と関わりを持った作曲家たちを取り上げます。
第3章
多様なバックグラウンドを持つ作曲家たち
1960年代半ばにさしかかると、ポピュラー音楽の台頭によって映画界でもクラシック音楽出身ではない作曲家の存在が顕著となっていきます。そもそもそれ以前にも、日本の映画界ではクラシック畑ではない作曲家のみならず映画専門に活動する作曲家、そして熟練を要する映画の音楽録音に従事する指揮者など、実に様々な音楽家たちが活躍していました。本章では、そのような多様なバックグラウンドを持って映画に携わった人々に光を当てます。
レコードギャラリー
西洋音楽の実演に触れられる機会が限られていた戦前期より、日本は世界でも有数のレコード文化を育んできました。映画のために録音された音源を収めたオリジナル・サウンドトラック盤の発売は、SP盤レコードからEP盤/LP盤レコード、CDへと媒体が変遷するにつれて活発化していき、現在も盛んに行われています。本展では、映画公開当時に発売されたEP盤/LP盤レコードを中心に展示します。
ポスターギャラリー
40人以上の作曲家について、音楽を担当した映画作品のポスターが一堂に会します。
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関連上映企画
本展覧会と関連した上映企画を開催いたします。
「日本映画と音楽 1950年代から1960年代の作曲家たち」
会期:2024年5月25日(土)— 7月28日(日)
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU(2階)
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トークイベント
ゲストを招いたギャラリートークや当館研究員による展示品解説を開催いたします。
詳細は決まり次第HPにてお知らせします。
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演奏会
本展覧会と連動した演奏会を開催いたします。
2024年 5月 25日(土)
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU( 2階)
指揮:野村英利
演奏:オーケストラ・トリプティーク(コンサートマスター:三宅政弘) 、ドラムス : 重本遼大郎 他
合唱:ヒーロー・コーラス
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開催概要
企画名:日本映画と音楽 1950年代から 1960年代の作曲家たち
(英題 / Japanese Cinema and Music: Composers in the 1950s and 1960s)
主催:国立映画アーカイブ
協力:株式会社スリーシェルズ
会期:2024年4月9日[火]- 8月23日[金]
休室日:月曜日および5月7日[火]- 12日[日]
開室時間:午前11時 -午後 6時30分(入室は午後6時まで)
*4/26、5/31、6/28、7/26の金曜日は開室時間を午後8時まで延長いたします。(入室は午後 7時30分まで)
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
料金
:一般250円(200円)/大学生130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
*料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。
*( )内は20名以上の団体料金です。
*学生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方、キャンパスメンバーズの方は入室の際、証明できるものをご提示ください。
*国立映画アーカイブが主催する上映会の観覧券(オンラインチケット「購入確認メール」またはQRコードのプリントアウト)をご提示いただくと、1回に限り団体料金が適用されます。
*2024年5月18日(土)「国際博物館の日」は、無料でご覧いただけます。
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/japanese-cinema-and-music2024/