ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック~オール・久石譲・プログラム~

公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団のプレスリリース

チラシビジュアル

日本を代表する作曲家 久石譲。映画音楽のジャンルで名を馳せていますが、その作曲の原点は「ミニマル・ミュージック」(一定の短い音のフレーズを反復させるなどして構成する音楽ジャンル)にあり、手がける作品にもその作曲手法が現れ出ています。現在もミニマル・ミュージックを探求・発表し続け、名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」との独占契約など、世界にとどろくその名声はとどまるところを知りません。

来る11月、プログラムをすべて「久石作品」で編んだ「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~」を開催いたします。

前半には、展覧会のために書かれた『フェルメール&エッシャー』(2012)からの楽曲を中心に、精緻で陰影を帯びたアコースティックの世界を体験いただけることでしょう。

後半は、本公演のメインであるアルバム『ヴィオリストを撃て』(2000年)より選び抜かれた楽曲が並びます。当アルバムは彼のキャリアにとっても重要作で、隠れた名作の筆頭格。《Kids Return》《Summer》などの人気作品も披露、前半とは異なった疾走感・躍動感あふれるステージとなることでしょう。

演奏は、多岐にわたり活躍しとりわけ現代音楽のスペシャリストとして名高い中川賢一(ピアニスト)を音楽監督に迎え、この公演のために集結したクラシック・現代音楽の精鋭メンバーがお届けいたします。久石ファンはもちろん、新たな刺激を求める音楽ファンの皆様にぜひご来場いただきたい公演です。ぜひご紹介・ご取材くださいますようお願い申し上げます。

 この「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~」は、時潮を捉えた見事な企画だ! 何故なら昨年2023年3月にクラシック音楽の名門レーベルであるドイツ・グラモフォンと独占契約を発表。ジブリ音楽をシンフォニックに構築し直したアルバムや、交響曲第2番とViola Saga(現状世界トップのヴィオラ奏者アントワン・タメスティが独奏者)を収録したアルバムを全世界へむけてリリースしているのだ。久石譲といえば、数々のスタジオジブリ作品や北野武作品を手掛けた映画音楽の大家というイメージが強いかもしれないが、今まさに久石は映画音楽のみならずクラシック音楽の文脈で書かれた作品も再評価されている段階なのである。

 久石自身も日本国内でこの10年ほど、室内アンサンブル規模の作品を軸にした演奏会シリーズを企画しているが、そこで取り上げられる久石作品は近作・新作が中心。なので映画音楽でもなく、近作で再度取り上げられてもいない久石作品は長年のファン以外からはあまり知られていないのが現状である。そうしたアルバムのひとつが、今回の演奏会でメインに据えられた『ヴィオリストを撃て』(2000)だ。久石自身も当時「自分の代表作ができた」と語っていた重要作で、隠れた名作の筆頭格である。なかには他のアルバムにも収録されたお馴染みの楽曲もあるのだが、このアルバムに収録されたアレンジは久石の音楽を構成する現代音楽(ミニマル)、クラシック(抒情的な映画音楽)、ポピュラー(特にプログレ)の要素が絶妙なバランスで混在しており、ある意味では久石譲という作曲家らしさが最も表れた傑作といえる。

 演奏を担うのは音楽監督を務めるピアニスト・指揮者の中川賢一のもとに集まった精鋭たち。2022年にザ・フェニックスホールで挑んだフィリップ・グラス『浜辺のアインシュタイン』(演奏会形式・抜粋版)は令和4年度 文化庁芸術祭《大賞》受賞するほどの大評判になったチームなので、ミニマル・ミュージックへの理解もとても深い。

 クラシック音楽の歴史を振り返ってみれば、作曲家自身のもとを離れたあとにこそ作品の真価が試される。今回演奏される『ヴィオリストを撃て』や『フェルメール&エッシャー』等から、中川たちはどんな新しい可能性を引き出してくれるのか? 絶対に聴き逃がせないコンサートになりそうだ。

                               小室敬幸(音楽ライター)

公演概要

◎公演名=彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念

     ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~

◎日時=  2024年11月10日(日)15:00開演

◎会場=  彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール

◎出演=  中川賢一(ピアノ/音楽監督)、石上真由子(ヴァイオリン)、森岡聡(ヴァイオリン)、      

      安達真理(ヴィオラ)、鈴木皓矢(チェロ)、長谷川順子(コントラバス)
              大石将紀(サクソフォン)、井上ハルカ(サクソフォン)
              畑中明香(パーカッション)、宮本妥子(パーカッション)

     ※本コンサートに久石譲の出演はございません

◎曲目=  

     第1部
     揺れ動く不安と夢の球体(for two marimbas)
     アルバム『フェルメール&エッシャー』より
     Muse-um(for piano)
     Circus(for piano trio)
     Vertical lateral thinking(for piano trio)
     Sense of the light(for piano quintet)
     Encounter(for piano quintet)

     第2部
       アルバム『ヴィオリストを撃て』より
     794BDH
     Kids Return
     MKWAJU
     LEMORE
     TIRA-RIN
     DA・MA・SHI・絵
     Summer 

◎チケット(全席指定)=一般 6,000円、U-25*3,000円

*U-25・・・公演時、25歳以下の方対象/ご入場時、要身分証明書。 

※2階SL列・SR列は一部ステージが見づらいお席となります。予めご了承ください。 

◎チケット取り扱い=

■SAFチケットセンター

・電話 0570-064-939(10:00~18:00/休館日を除く)

 ※一部IP電話からは、ご利用いただけません。 

・インターネット「SAFオンラインチケット」https://www.saf.or.jp/t/

 

■窓口

・彩の国さいたま芸術劇場(10:00~18:00/休館日を除く)

・埼玉会館(10:00~18:00/休館日を除く) 

■プレイガイド

・イープラス https://eplus.jp

・チケットぴあ https://t.pia.jp

◎お問合せ=  SAFチケットセンター 0570-064-939

◎託児サービス 

0歳6か月以上の未就学児に対して託児のご予約を承ります。
(本公演への未就学児の入場はご遠慮いただいております)

【託児お申し込み先】
株式会社明日香
お電話又は問合せフォームへご連絡ください。
[電話] 0120-165-115(予約受付:土・日・祝を除く10:00~17:00)
[問合せフォーム] https://ws.formzu.net/dist/S8221706/

※お子さま1人につき2,000円の負担金をいただきます(料金を改定いたしました)。
※公演1週間前の17:00までにお申し込みください。
※定員になり次第、締め切らせていただきます。

主催=公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団  

企画・共同制作=あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

チラシ裏面

  • プロフィール 

久石譲 Joe Hisaishi    【本公演には出演いたしません】

国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。

 2004年「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」の音楽監督に就任。17年からは「Joe Hisaishi Symphonic Concert: Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki」世界ツアーで大成功を収める。14年より最先端の“現代の音楽”を紹介する「MUSIC FUTURE」を主宰。19年「FUTURE ORCHESTRA CLASSICS」を開始、同年リリースの「久石譲 ベートーヴェン:交響曲全集」で第57回レコード・アカデミー賞特別部門特別賞を受賞。23年6月には、ドイツ・グラモフォンからリリースされた最初のCD「A Symphonic Celebration」が米国ビルボード2部門で1位を獲得した。新日本フィルハーモニー交響楽団 Music Partner、日本センチュリー交響楽団首席客演指揮者。2024年4月よりロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のComposer-in-Association。25年4月、日本センチュリー交響楽団音楽監督に就任予定。

©Shuhei NEZU

中川 賢一(ピアノ)

 Ken‘ichi NAKAGAWA, piano

桐朋学園大学音楽学部でピアノと指揮を学び、卒業後、アントワープ音楽院ピアノ科首席修了。在学中にフォルテピアノ、チェンバロも習得。1997年オランダのガウデアムス国際現代音楽コンクール第3位。帰国後はソロ、室内楽、指揮で活躍する他、国内外の様々な音楽祭に出演。NHK-FM、NHK-BSに度々出演、新曲初演多数。ダンスや他分野、朗読と音楽のコラボレーションなども展開している。ピアノ演奏とトークのアナリーゼは好評を博す。全国各地でアウトリーチ活動、ワークショップやコンサートを行う一方、地元参加型の舞台作品制作などに指揮者・編曲者として携わる。また、未就学児参加可能の演奏会、幼児向けの音楽会のプロデュースなども数多く行っている。音楽監督を務めたフィリップ・グラス作曲オペラ「浜辺のアインシュタイン」(演奏会形式・抜粋版)では令和4年度第77回文化庁芸術祭大賞受賞。(一財)地域創造公共ホール音楽活性化支援事業、ソニー音楽財団の「こどものためのクラシック」各登録アーティスト。「アンサンブル・ノマド」、5台ピアノ「ピアノ・ツィルクス」、「Trio “N”」各メンバー。お茶の水女子大学、桐朋学園大学非常勤講師。http://nakagawakenichi.jp

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