国立能楽堂 × 公益社団法人 宝生会

国立能楽堂令和6年度下半期の注目企画!宝生流とタッグを組んだ復曲能「空蝉」「雷電」「武文」の3公演と宝生流が保持する名作能面を一挙公開する特別展「宝生宗家展」を開催します。

文化庁のプレスリリース

 まず11月の企画公演では、〈特集・源氏物語〉と題して復曲能「空蝉」を、2月企画公演では、〈月間特集・絵巻物と能〉として復曲能「雷電」を上演します。そして、3月特別企画公演では、昭和62年(1987)に国立能楽堂が復曲初演した能「武文」を、平成元年(1989)の再演以来、実に35年ぶりに台本・演出を再検討した新版として上演します。いずれも稀有な作品を鑑賞できる、またとない機会ですので、どうぞお見逃しなく。

 また、資料展示室では、復曲能の公演期間に合わせて「宝生宗家展」を開催します。本格的な宝生流の展覧会は本邦初となります。これまで門外不出だった名作能面の数々、重要文化財・重要美術品を含む約170面と厳選された能装束・文献が3期に分かれて順次公開されます。こちらも大変貴重な機会です。ぜひこの機会に展示室にも足をお運びください。

「空蝉(うつせみ)」

光源氏と空蝉の恋物語

 「空蝉」は宝生流にのみ伝わっていましたが、大正期に廃曲となりました。平成20年(2008)横浜能楽堂にて復曲上演され、今回が2度目の上演となります。一度は光源氏と結ばれながらも以後は自省し源氏の愛を拒み続けた空蝉の心情が、正統派の鬘物として丁寧に描かれます。今回は〈古典の日記念 特集・源氏物語〉として、同じく『源氏物語』に由来する箏曲とともにお楽しみいただきます。

11月企画公演

令和6年度(第79回)文化庁芸術祭主催公演

◎古典の日記念 特集・源氏物語 

11月23日(土・祝)13時開演

箏組歌 空蝉       萩原松柯

箏曲  住吉       萩原松韻

復曲能 空蝉    大坪喜美雄

「空蝉」大坪喜美雄 撮影:神田佳明 提供:横浜能楽堂

「雷電(らいでん)」

雷と化した菅丞相との戦い

 「雷電」は、菅原道真が雷となって僧と激しい攻防を繰り広げる作品です。宝生流では、祖先である菅原道真に配慮し、加賀藩主・前田家が江戸末期に「雷電」の後場を改作した「来殿」を上演しました。従来の「雷電」は明治期に廃曲とされましたが、平成23年(2011)に宝生能楽堂で復曲試演されました。この度〈月間特集 絵巻物と能〉と題し、菅原道真の一生と逸話・伝説を描いた『北野天神縁起絵巻』にちなみ上演いたします。

2月企画公演

《月間特集 絵巻物と能》

◎特集・菅原道真

2月28日(金)13時開演

舞囃子 老松 紅梅殿 金剛永謹、金剛龍謹(金剛流)

狂言  弓矢太郎   野村万蔵(和泉流)

復曲能 雷電 替装束 宝生和英

「雷電」宝生和英 提供:公益社団法人宝生会 

「武文(たけぶん)」

拐かされた姫を追う忠臣、心に秘めたその想いは

 「武文」は『太平記』に取材した作品で、江戸中期の記録を最後に上演が絶えていましたが、昭和62年(1987)に国立能楽堂で復曲初演されました。策略にはまり連れ去られてしまった一宮御息所を忠臣・武文が決死の覚悟で追い掛ける様を描きます。せりふ劇の色合いが濃く場面転換が多いなど、今日一般的に上演されている能とは一味違う魅力を湛えた作品です。この度、武文が御息所に抱く心情に焦点を当て、より劇的な展開の新演出で上演いたします。どのような舞台が展開されるのか、どうぞお楽しみに。

3月特別企画公演

3月28日(金)13時開演、29日(土)13時開演

「天正狂言本」と古画による

狂言  袴裂  野村又三郎

復曲能 武文       金井雄資、宝生欣哉、野村萬斎

〔新演出〕

「武文」金井章

能装束「茶地蜀江模様翁狩衣」     公益社団法人宝生会所蔵

令和6年度国立能楽堂特別展 「宝生宗家展」

 宝生流は南北朝時代に始まり、江戸時代には特に5代将軍・徳川綱吉や11代将軍・徳川家斉に重用されて隆盛をみせた能のシテ方五流の一つで、今日まで連綿とその芸統を伝えています。宝生会が所蔵する能面・能装束に優品が多く存在することは広く知られていますが、舞台以外で公開することがほとんどなく、大規模な展示公開は史上初のことです。

 宝生宗家では、伝来の能面約170面が江戸時代に「本面」「写し」として整備され、関東大震災で僅かに焼失したものの、大部分を運び出して守り抜き、今日まで保存されてきました。その一部は戦前の重要美術品、戦後の重要文化財として国から指定されています。今回は能面群を3期の展示替により展示します。

 一方で能装束などの能面以外の能道具は関東大震災で焼失したとされてきましたが、現在でも数百領におよぶ能装束が保存され、舞台で使用されています。これらの中から優品のごく一部をご紹介します。

 関東大震災では宝生宗家伝来の古文書も焼失しましたが、幸いにも加賀前田家で幕末に作成した宝生宗家文書の写し(野上記念法政大学能楽研究所・法政大学鴻山文庫所蔵)が現存することが分かり、あわせて今回初公開となります。長い歴史の中で守り伝えられてきた宝生宗家伝来の優品の数々を、この機会に是非ご堪能ください。

重要文化財 能面「盤若(平形)」    公益社団法人宝生会所蔵
重要文化財 能面「喝食」        公益社団法人宝生会所蔵
扇「通小町扇 山虹図中啓」      公益社団法人宝生会所蔵

展示期間:令和6年11月23日(土・祝)~令和7年3月29日(土)

                 午前11時~午後5時

場所:国立能楽堂1階展示資料室【入場無料】

   展示替により3期に分けて展示します。

休室日:月曜日は閉室(祝日の場合は翌日閉室)、年末年始ほか

   11/25、12/2,9,16,23、12/26 ~ 1/6,14,20,27、2/3,10~18,25、3/3,10,17,24

主催= 独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

   令和6年度日本博2.0事業(委託型)

協力=公益社団法人宝生会、野上記念法政大学能楽研究所


◇チケットのご購入について
国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
インターネット購入
https://ticket.ntj.jac.go.jp/

◇国立能楽堂について     

国立能楽堂は、能楽の保存と普及を図ることを目的として昭和58年(1983)9月に開場しました。

初心者でも鑑賞しやすい上演形式と多角的な公演内容により、広く一般に能楽を楽しんでいただく機会を提供しています。

所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1

03-3423-1331(代)

https://www.ntj.jac.go.jp/nou.html

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