11月1日に作曲家・石田多朗による現代雅楽の新作『陵王乱序 | Ranjo』がリリースされます。雅楽と西洋楽器を融合させた壮大な楽曲で、SHOGUN総合アレンジャーを務めた石田氏の初作品です。
株式会社Drifterのプレスリリース
栃木県那須町在住の作曲家、音楽プロデューサーの石田多朗がこのほど、雅楽を代表する舞楽「陵王乱序」を独自解釈で切り取り、原曲にはない「笙」「篳篥」、さらに、西洋楽器や電子音楽を組み合わせた新曲「陵王乱序 | Ranjo」を制作。2024年11月1日にリリースします。
◆新曲「陵王乱序 | Ranjo」 3分24秒
作曲:石田多朗
レーベル:Drifter
配信開始日:2024/11/1(金)
各種配信サービス:https://artists.landr.com/055855754134
現代的音楽に雅楽を取り入れた作曲家・石田多朗が、古典雅楽「陵王乱序」を雅楽楽器にストリングス、シンセサイザー、ピアノを合わせる斬新な楽器編成でアレンジ。雅楽の(自然界の音に近い響きと言われている)ピッチ430Hzに西洋楽器(通常クラシックのピッチは440Hz)を合わせ、重ねたことで幽玄、荘厳かつダイナミック、ドラマティックな曲が誕生しました。
石田が雅楽を取り入れた作曲を始めて約10年。エミー賞2024最多ノミネート、受賞数という功績を挙げたハリウッド・ドラマ「SHOGUN」に総合音楽アレンジャーとして参加した経験を経たからこそ生まれた、【新解釈雅楽】【石田流現代雅楽】第一作目の作品となります。
◆「陵王乱序 | Ranjo ドキュメントムービー」
「『陵王乱序 | Ranjo』制作風景を描くムービーが10月9日に一般公開となります。
▶︎ 限定公開映像はこちらからご覧ください
◆原曲「陵王乱序」とは
古典雅楽「陵王乱序」は、雅楽の中でも外来音楽の唐楽の舞楽(※1)「陵王」(全演奏約40分)の一部です。北斉の国の蘭陵王長恭という人が,その美貌を隠すため仮面をつけて戦いにのぞんだという故事に由来して作られたといわれています。「陵王乱序」は、最も長尺の部分で約11分。舞人(まいにん)が舞台に登るときの舞「出手(でるて)」の部分になります。
鼓・太鼓・鉦鼓(打楽器)の延々と続くビート、全体に漂う雅楽特有のゆったりと揺れるグルーブ、唐突に切り込む龍笛の音がエコーの様に重なり、荘厳かつ、幻想的で幽玄な世界を創っています。
◆新曲「陵王乱序 | Ranjo」― 二つの挑戦 ―
新曲は、大きく二つの挑戦によって誕生しました。
【Challenge1】:雅楽に洋楽器、ストリングスをぶつける
【Challenge2】:ストリングスを雅楽のピッチ430Hzに合わせる
【Challenge1】:原曲「陵王乱序」は、打楽器だけの演奏から入り、舞いが始まり、舞に合わせて複数の龍笛が響きだします。その4拍あとに二つ目の龍笛グループが演奏に参加、さらに4拍遅れて第三の龍笛グループが加わっていくという、所謂、カノン形式です。古典雅楽の中で唯一の「乱序」になります。
石田は、太鼓と笛が追うように重なる響きに戦場へ向かう「進軍」の光景を感じました。そこにストリングスを加えることで「人の感情」を表現できるのではないかと考え、バイオリン、チェロ、ビオラを導入。奏者にも雅楽とぶつかり合うような、闘うような感覚で弾いてもらいました。すると、雅楽の霧、風のような幽玄な響きにストリングスが輪郭を与え、映画音楽のようなドラマティックなサウンドが創出しました。
【Challenge2】:洋楽、現代の音楽のピッチ440Hzです。雅楽は430Hzと大きく異なります。
これまでも雅楽と洋楽、クラシックの協演はありましたが、「洋楽に雅楽が合わせる」が一般的でした。同曲はストリングス奏者に430Hzに合わせてもらいました。すると、洋楽器は、雅楽楽器と近い生き物のような響きを帯び、響きに淡い残想を残していくのです。今までにない感覚を西洋楽器に覚えると思います。
他にも、実は原曲にはない、邦楽器のうちで唯一和音を奏でる楽器「篳篥」「笙」も加えて全体に神々しい光を纏わせ、さらに、ピアノ、シンセサイザーで現代的、無機的なエッセンスもミックス。
原曲の尊い世界価値を保ちながらも、現代だからこそ、石田だからこそ創れた曲となりました。
◆テーマ〝発動、発現〟 ―サウンドトラック、ゲーム音楽としての可能性を開く―
「陵王乱序」の【進軍、進む】というイメージに、石田は「雅楽の新時代の始まり」を重ねました。
雅楽、日本の伝統音楽は、後継者不足、資金難など多くの課題に直面しています。石田は、千年以上の歴史を誇る雅楽をはじめ日本の伝統音楽を未来に残すためには、雅楽を映画やドラマ、ゲームなどの映像のサウンドトラックに使い、自然と現代人の耳に残る、雅楽に興味を持つきっかけを作りたいと常々考えていました。
2023年、雅楽とクラシックの融合をテーマにした「Silence」プロジェクトを始動。雅楽の430Hzに西洋楽器が合わせる実験的作品を創作。そして、2024年、ハリウッド製作の戦国スペクタクル・ドラマ「SHOGUN」でのアッティカス・ロスら米作曲家陣の巨大なスケールを感じさせるエピックと雅楽のコラボレーション。
この二つの大きな経験からピッチ430Hzの力、現代の音楽とのレイヤー的融合で増幅し合い生まれる音の威力に確信を持ち、新作雅楽の創作に臨みました。
何百回と雅楽団体「伶楽舎」演奏の「陵王乱序」を聴き、曲の解釈に数カ月を費やして作曲。しかし、納得いかず、一度白紙に戻してさらに1カ月。収録、アレンジにさらに2カ月以上。膨大な時間と労力、奏者の協力のもと完成した曲は、どこか異界の感じを漂いつつ、人間のドラマを感じるサウンドが完成しました。
「ベクトルを誰にも向けない霧のような、空間に立ち込めるような響きを放つ雅楽に、ストリングスを入れたことでベクトルが人の心に向かった」と石田。
「陵王乱序 | Ranjo」は雅楽のサウンドトラックとしての可能性を拓いた作品となりました。そして、これは第一弾です。今後、さらに新曲、アルバムを制作し、2025年1月12日に那須野が原ハーモニーホール、3月9日に早稲田スコットホールでコンサートも予定しています。
そう、「陵王乱序 | Ranjo」は始まりの曲なのです。
◆石田多朗より
「『陵王乱序 | Ranjo』は、雅楽を未来につなぐ活動の始まりを切る曲です。クラシックと雅楽が演奏することは現代音楽のジャンルではいくつか例はあります。それをサントラといった一般の方が聴く機会を多く作ることを目的に曲を作りたかったのです。これまでに前例のない挑戦だと思います。
この曲を使った映画、ドラマを観たり、ゲームで遊んだりする中でサントラが気になって、いつの間にか龍笛を吹く子どもが出てくる。そんな現象を起こせたらうれしいです。
今作でまた新たな雅楽の不思議な魅力にたくさん得て、ワクワクしています。この興奮、感動をより多くの方の感じていただけるような曲をこれからもつくっていきたいと思います。先ずは、『陵王乱序 | Ranjo』で新しい雅楽の一面を感じていただけたら幸いです」
◆石田多朗【プロフィール】
1979年アメリカ合衆国ボストン生。作曲家、音楽プロデューサー、アートディレクター。上智大学で国文学・漢文学を専攻後、独学で音楽を学び、東京藝術大学音楽学部に入学。作曲、音楽理論、電子音楽を習得し、幅広い音楽的知識を得る。在学中から、作曲家として活躍。映画、CM、ゲーム、プラネタリウムなどへの楽曲提供の他、美術館の音楽監督など多岐にわたるプロジェクトを手掛ける。栃木県那須町在住。
[主なプロジェクト] 東京都庭園美術館、金沢21世紀美術館、上海当代芸術博物館などで展覧会の音楽を制作。NHK主催福島復興プロジェクトのプロジェクションマッピング企画「はるか」(2017)、星野リゾート青森屋「みちのく祭りや」(2021.22)などで音楽監督を務める。米・大ヒットドラマ「SHOGUN」で総合音楽アレンジャーとして活躍(2024)。【雅楽との関り】
2014年 東京藝術大学陳列館「法隆寺金堂壁画展」会場音楽として新作雅楽 “骨歌”を作曲。
2021年 雅楽プロジェクト「どんぶらこ」始動。
2022年 新作雅楽アルバム「けもの」完成。
2023年 雅楽と西洋音楽の融合をテーマにした「Silence」プロジェクト始動。
2024年 ディズニー・プラス制作ドラマ「SHOGUN」で総合音楽アレンジャーとして活躍。
2025年 12月2ndシングルを発表予定
https://www.instagram.com/taro_ishida_/
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株式会社Drifter、CEO 益子悠紀
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