人機一体、LOVOT デザイナー根津孝太氏、マクロスシリーズ監督 河森正治氏との『人型重機』の実用化に向けた共同開発プロジェクトのコンセプトスケッチを公開

人型重機の社会実装に向けてヒューマノイドプロジェクト本格始動

株式会社人機一体のプレスリリース

 先端ロボット工学に関するコア技術の知的財産を多数保有する株式会社人機一体(滋賀県草津市、以下「人機一体」)は、LOVOT、zecOO、零式人機のデザイナー 根津孝太氏 、マクロスシリーズ、アクエリオンシリーズ等のアニメーション監督・デザイナー 河森正治氏による「人型重機(ロボット)」の共同開発プロジェクトの開始を、2024 年 7 月 25 日(木)付プレスリリースにて発表しました。そして、2024 年 8 月 1 日(木)開催の「株式会社人機一体 成果発表会 2024」にて 根津孝太氏 作成の「零一式人機」コンセプトモデル、河森正治氏 作成の「一零式人機」のコンセプトスケッチを初公開しました。

◇関連プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000070266.html

人機一体のオレンジラインについて

 人機一体は、2021 年より根津孝太氏と連携し「人機一体」のトータルデザインプロジェクトを推進し、先端ロボット工学技術を組み込んだ汎用人型重機の社会実装に取り組んでまいりました。

 人機一体は、「人間機械相乗効果器」 = 「人機」というコンセプトの通り、人間が機械を自分の身体の延長のように自在に扱うことで、人間と機械の相乗効果を生み出し、人間だけでもできない、機械だけでもできない作業の実現を目指しています。

 そのための技術としての「力・トルク制御技術」「パワー増幅バイラテラル制御技術」による人間と機械の「双方向の力の伝達」をオレンジラインとして可視化し、関節部の丸などの部分においても単なる装飾ではなく、構造としての意味を付与しています。

人機一体のオレンジライン(根津孝太氏 作成 コンセプト)

 JR 西日本、日本信号と共同開発を行なった「零式人機 ver.1.2」「零式人機 ver.2.0」においても、このオレンジラインの意匠が反映されており、根津孝太氏と、人機一体の機械設計エンジニアである野村方哉(のむらまさや)との共同で設計を行ない、産業機械としての実用性と機能美を兼ね備えたインダストリアルデザインとして各種メディアから注目を浴びました。

零式人機 ver.1.2
零式人機 ver.2.0

零一式人機 コンセプトモデル

零一式人機 コンセプトモデル
人機並進駆動ユニット 搭載部分

 零一式人機(れいいちしきじんき)は、零式人機 で培ったハードウェア技術と、零一式カレイドのハイブリッドオートバランス制御技術を統合して、人機一体が開発する人型重機です。

 コンセプトモデルでは、根津孝太氏によりインダストリアルデザインとしての「実現可能な機械構造」が可視化されており、人機一体の力制御技術を実装する上での基礎設計となります。
 重機に相応しい大出力化と、そのための大型化を目指すための工夫が随所に為されています。特徴的なのは、脚部の電動シリンダです。人機一体が椿本チエイン、タダノと共同研究開発を行なっている「人機並進駆動ユニット」技術を用いて大出力化と繊細な力制御が可能であり、重機としての盤石かつ繊細な「腰のスキル」を実現します。
 また、胸部にはサブアームが搭載されており、2対4本の腕を用いて、複数人分の作業を一機で行なうことが可能となります。

一零式人機 コンセプトスケッチ

一零式人機 コンセプトスケッチ

 一零式人機は、零一式カレイドに高所作業機能を追加して発展させた人型重機です。
 高所作業のため原則として人間サイズを想定していますが、人型重機として大出力なので、歌舞伎の隈取のような「異形感」を与えることによって力の強さを表現し、安易に近づくと危険であることを示しています。
 また、人間が各種のツールを使い分けるように、一零式人機も各種ツールを効率的に使い分けるためにツールチェンジャーとツールマガジンを装備することができます。
 さらに、河森デザインの真骨頂である変形・合体要素をインダストリアルデザインとして昇華させ、複数人分の高所作業を一機で行なうことが可能となります(変形・合体の詳細は未公開)。

野村方哉よりコメント

 人型重機などの設計において、機構・素材・製造方法などを考慮した機能美を追求したデザインを、根津孝太様と進めてきました。特に 3D プリンティング技術の活用により、設計および意匠性の自由度を大きく拡張しました。近年では、ストラタシス社の 3D プリンタ「Fortus 450mc」 等を活用し、FDM(熱溶解積層方式)などの3D プリント方式のメリット・デメリットを考慮した設計のチャレンジを進めており、更なる機能美を目指しています。
これまで得た知見と更なる技術革新を進めることで、零一式人機および一零式人機が様々な苦役の解消に活躍するとともに、未来のエンジニアそして実際に操作する方々が憧れるような人型重機となるようにしていきたいです。

 左:根津孝太氏 中:野村方哉 右:河森正治氏 成果発表会 2024 にて

根津孝太氏よりコメント

 成果発表会にて、みなさまから大きな反響をいただき、人機一体がかかげる「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」というビジョンの達成に向けて、確かな一歩を踏み出せたと感じています。これまで野村方哉氏と一つひとつ丁寧に積み上げてきた「人機一体トータルデザインプロジェクト」は、新たな進化の局面に進みます。そして、河森正治監督をプロジェクトにお迎えし、人機プラットフォームの今後の発展が、さらに加速してゆくことを確信しています。

根津孝太氏 成果発表会 2024 にて

河森正治氏よりコメント

 人型ロボットが社会実装されていく記念すべき成果発表会。新時代の幕開けとも言えるセレモニーにメンバーの一人として参加出来たことは、大変光栄なことでした。

私にとって、初めての作業用インダストリアルデザイン。

今回発表のコンセプトスケッチは、SF 的な世界と、リアルワールドを繋ぐ挑戦的なプロローグになっています。

ぜひ、これから始まる人機一体チームのデカルチャーなプロジェクトにご期待ください!

河森正治氏 成果発表会 2024 にて

野村方哉 プロフィール

株式会社人機一体

知財開発部 機械設計エンジニア

 義肢装具会社において装具や医療機器の企画から製品化まで一貫して従事。臨床的知見と工学的観点に基づいて開発を担当した製品は、1 万件以上の症例に使用され、患者の疼痛軽減や良好な治療成績に貢献している。

 その後、培ったものづくり技術を活かして根本的な苦役の解消に携わりたいと考え、2019年に人機一体に入社。零式人機 ver.2.0 をはじめとした人型重機の機械設計や、3D プリンタと金属のハイブリット構造を用いた設計などに携わり、人機一体の開発をリードする。

人機一体 機械設計エンジニア 野村方哉

根津孝太氏 プロフィール

 クリエイティブコミュニケーター、デザイナー。千葉大学工学部卒業。トヨタ自動車入社、愛・地球博 i-unit コンセプト開発リーダーなどを務める。2005年 znug design 設立。人機一体 零式人機、GROOVE X LOVOT、サーモスケータイマグ、タミヤミニ四駆、電動バイク zecOO、超小型モビリティ rimOnO など、多くの工業製品のコンセプト企画とデザインを手がける。グッドデザイン金賞、日本感性工学会かわいい感性デザイン賞最優秀賞、他多数受賞。千葉大学工学部教授、グッドデザイン賞審査委員。著書『アイデアは敵の中にある』(中央公論新社)、『カーデザインは未来を描く』(PLANETS)。

znug design 根津孝太氏

 自身が手掛けた「零式人機 ver.2.0」をベースとした製品「多機能鉄道重機」が、2024 年 07 月より JR 西日本営業線での高所電気設備のメンテナンス作業において実用開始されている。

◇関連プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000070266.html

河森正治氏 プロフィール

アニメーション監督

メカニックデザイナー

ビジョンクリエーター

2025年 大阪・関西万博 テーマ事業プロデューサー

株式会社 Vector Vision 所属

代表作:『マクロス』シリーズ、『アクエリオン』シリーズ(原作、監督、メインメカ)、『機動戦士ガンダム 0083 スターダストメモリー』(メカスタイリング)、宮沢賢治の半自伝的アニメーション『イーハトーヴ幻想 KENJI の春』(原作、監督)、『攻殻機動隊』、ソニー“AIBO”『ERS-220』、日産デュアリス『パワード・スーツ デュアリス』、『新世紀 GPX サイバーフォーミュラ 』、『アーマードコア』、『デモンエクスマキナ』(メカデザイン)、ソニー・スマートウォッチ wena オリジナルモデル盤面デザインなど。

河森正治氏

株式会社人機一体 会社概要

代表者 :金岡博士(Dr. KANAOKA)
所在地 :滋賀県草津市青地町648番地1
創立  :2007 年 10 月 01 日
創業  :2015 年 10 月 01 日(現商号への変更日)
資本金 :1 億円
事業内容:先端ロボット工学技術に基づく新規事業開発支援のための知的財産活用サービス
URL  :https://www.jinki.jp/

 人機一体は、先端ロボット工学技術を駆使した人間機械相乗効果器、すなわち人機の具現化および産業化により「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」ことを目指す立命館大学発ロボティクススタートアップです。滋賀県内で唯一「J-Startup KANSAI」(※1)に選定されております。

※1「J-Startup KANSAI」とは

 経済産業省の J-Startup プログラムの地域展開として、関西から世界へはばたく有望なスタートアップを選定し、公的機関と民間企業が連携して地域ぐるみで集中支援を実施することで、選定企業の飛躍的な成長をサポートする事業です。

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