東日本電信電話株式会社のプレスリリース
■NTT東日本が運営する文化施設NTTインターコミュニケーション・センター※1(以下、ICC)では、2024年12月14日(土)より、企画展「evala 現われる場 消滅する像」を開催します。
■サウンド・アーティストのevalaが主宰する、音(耳)から世界を見つめるプロジェクト「See by Your Ears」の、本展のための新作を含めた、現時点におけるシリーズ集大成となる展覧会です。
■「See by Your Ears」の原点であり、2013年にICCで制作、発表された《大きな耳をもったキツネ》や、その後国内外で発表されてきた作品、さらにICCで最も大きな展示室を全室使用した大型インスタレーションほか、複数の新作によって、精緻に構築された音響空間のなかで、聴くことと見ることが融け合う新たな知覚体験を提示します。
※1 日本の電話事業100周年記念事業として1991年からのプレ活動を経て、1997年にNTTが設立した科学技術と芸術文化の融合をテーマとする文化施設
《大きな耳をもったキツネ》2013–14年
撮影:木奥恵三
《-a》2021年(参考図版)
撮影:清水はるみ
1.「evala 現われる場 消滅する像」開催概要
英展覧会名:evala: Emerging Site / Disappearing Sight
開催期間:2024年12月14日(土)~2025年3月9日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]ギャラリーA、B
開館時間:午前11時〜午後6時
入場料:一般 1,000円(900円)、大学生 800円(700円)
*( )内は15名様以上の団体料金
*障害者手帳をお持ちの方および付添1名、65歳以上の方と高校生以下、ICC年間パスポートをお持ちの方は無料。
*2024年度ICC年間パスポート:1,500円(ICC受付にて販売中)
*予約方法の詳細は、後日ICCウェブサイトにてお知らせします。
休館日※2:毎週月曜日、年末年始(12/28 [土]–1/3 [金])、ビル保守点検日(2/9 [日])
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (東日本電信電話株式会社)、SbYE合同会社
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
協賛:株式会社ソウワ・ディライト
機材協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン、株式会社静科、株式会社シンタックスジャパン、株式会社アコースティックフィールド、株式会社エス・シー・アライアンス アルテ社、株式会社SHOUT
※2 月曜日が祝日もしくは振替休日の場合、翌日を休館日とします。
休館日以外においても、開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/)などでお知らせします。
2.展覧会概要
いわゆる視覚を中心にした表現領域である「美術(visual arts)」に対し、聴覚を中心にした表現として「サウンド・アート」があります。サウンド・アートでは楽音(楽器で演奏される音)によらない、自然環境音を録音した素材などの、さまざまな音が使用され、「聴くこと」自体を主題とするなどの特徴によって、同じく聴覚による芸術表現である音楽と区別されています。それは、聴くことから広がる知覚世界の提示という側面を持っています。ゆえに、サウンド・アートは、見ることに偏重した美術に対して、もうひとつの見ることを提示する表現でもあると言えるでしょう。
evalaは、2000年代以降、個人としての活動のみならず、多くのコラボレーションを行うなど、幅広い分野で活躍する音楽家でありサウンド・アーティストです。2017年からは、新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を国内外で展開しています。ほぼ音だけで構成されているにも関わらず鑑賞者の視覚的想像力をも喚起する作品群は、既存のフォーマットに依拠しない音響システムを駆使した独自の「空間的作曲」によって、文字通り「耳で視る」ものとして高い評価を得ています。
2013年にevalaと世界的なサウンド・アーティストである鈴木昭男とのコラボレーションとしてICC無響室で制作、発表された《大きな耳をもったキツネ》は、後に「See by Your Ears」となるevalaの活動の方向性を定めた原点と位置づけられる作品となりました。
「evala 現われる場 消滅する像」展は、作家の活動史においても重要な作品を制作するきっかけとなったICCを会場に開催される、「See by Your Ears」シリーズの、本展のための新作を含めた、現時点における集大成となる展覧会です。《大きな耳をもったキツネ》や、そこから発展し多くの国々で発表されてきた作品、さらにICCで最も大きな展示室を全室使用した大型インスタレーションほか、複数の新作によって、精緻に構築された音響空間のなかで、聴くことと見ることが融け合う新たな知覚体験をさまざまな方法で提示します。
企画:畠中実
キュレーター:畠中実、指吸保子
キュレトリアル・チーム:鹿島田知也、赤坂恵美子、宮脇愛良
3.evala (エヴァラ) プロフィール
Photo: Susumu Kunisaki
音楽家、サウンド・アーティスト。
新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」主宰。立体音響システムを駆使し、独自の“空間的作曲”によって先鋭的な作品を国内外で発表。
2020年、完全な暗闇の中で体験する音だけの映画、インビジブル・シネマ『Sea, See, She – まだ見ぬ君へ』を世界初上映し、第24回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。2021年、空間音響アルバム『聴象発景 in Rittor Base ‒ HPL ver』がアルス・エレクトロニカ 2021 デジタル・アート&サウンド・アート部門にてオノラリー・メンションを受賞。
近作に、世界遺産・薬師寺を舞台にした《Alaya Crossing》(2022)、《Inter-Scape 22》(東京都庭園美術館、2022)、《Haze》(十和田市現代美術館、2020)、ソニーの波面合成技術を用いた576ch音響インスタレーション《Acoustic Vessel “Odyssey”》 (SXSW、オースティン、2018)、無響室でのインスタレーション《Our Muse》(国立アジア文化殿堂 [ACC]、光州、2018)、《大きな耳をもったキツネ》(ICC、2013, 2014, 2023/Sonar+D、バルセロナ、2017)など。
また、公共空間、舞台、映画などにおいて、先端テクノロジーを用いた独創的なサウンド・プロデュースを手がけている。大阪芸術大学音楽学科・客員教授。
4. 展示予定作品
· 《大きな耳をもったキツネ》2013–14年
· 《Our Muse》2017年
· 《Score of Presence》2019年
· 《Inter-Scape》2024年(新バージョン)
· 《Sprout》2024年(新バージョン)
· ほか 新作3作(予定)
*作品名は2024年10月29日現在の情報です。
*作品の詳細については【参考】をご参照ください。
5. 関連イベント
展覧会開催期間中に、関連イベントの開催を予定しています。
各イベントの詳細は、後日ICCウェブサイトにてお知らせします。
6. 今後の展示予定
「Digital×北斎【急章】その2」展
開催期間:2024年11月9日(土)~2025年3月30日(日)
会場:ICC ギャラリーE
7. ICCのご案内
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分)
【参考】展示予定作品
新作(1)
ICCで最も大きな展示室であるギャラリーA全体を使用して、大型サウンド・インスタレーション最新作を展示します。
展示室の中央には、いびつな構造物が設置されており、来場者はそこに登り、思い思いの体勢で作品を体験できるようになっています。
新作(2)
《Womb of the Ants》2018年(参考図版)
国立アジア文化殿堂 [ACC](光州、韓国)での展示風景図版提供:国立アジア文化殿堂 [ACC]
3面スクリーンが常設された展示室であるギャラリーB6にて、新作のオーディオ・ビジュアル作品を展示します。
新作(3)
研究開発中の生成技術を用いて、実験的なサウンド・インスタレーションを制作します。
この試みは、これまでアーカイブが不可能であった空間音響作品に対し、作家不在でも作品を永続的に継承・制作しうるあたらしいアーカイブのかたちを探求する実験であり、その最初のスケッチとなります。
《Sprout (スプラウト) 》2024年(新バージョン)
《Sprout》2024年(参考図版)
旧Bunkamura Studioでの展示風景
図版提供:Bunkamura、渋谷ファッションウイーク
小さなスピーカー群による“音の芽吹き”シリーズ。
“発芽”という意味の《Sprout》には、“Sp out”というSpeaker outの略語も隠れています。
本展では、シリーズ前作を大きく発展させ、ひとつずつ形状の異なるオリジナルスピーカーを大量に制作し、「菌」のような生命体が空間を覆う新作を構想しています。
《Inter-Scape (インタースケープ) 》2024年(新バージョン)
《-a》2021年(参考図版)
「2121年 Futures In-Sight」(21_21 DESIGN SIGHT、東京)展示風景
撮影:清水はるみ
音と光によるインスタレーション・シリーズ。
美術館のホワイトキューブで展開してきた本シリーズは、evalaがこれまで世界中で拾い集めた音を使用し空間的に作曲した、最新鋭の立体音響による高密度な音と、可視光では得られない反応を見せるブラックライトの光によって構成されます。
《大きな耳をもったキツネ》2013–14年
《Our Muse (アワー ミューズ) 》2017年
《大きな耳をもったキツネ》2013–14年
撮影:木奥恵三
無響室のための立体音響作品シリーズ。
《大きな耳をもったキツネ》は、evalaの故郷である、京都府北部の京丹後でのフィールド・レコーディング音源をもとに、録音場所の空間の残響と反射を擬似的に作り出し、そこに音響的変化を伴う音の運動を構成して作曲しています。2013年から14年にかけて4作品が制作されました。2017年には新たに《Our Muse》を制作。沖縄の御嶽(うたき)という特殊な反響をもった非日常空間でレコーディングした音源をもとに、まるで時空が変容するような高次元的音体験を構築しています。
《Score of Presence (スコア オブ プレゼンス) 》2019年
《Score of Presence》2019年
撮影:清水はるみ
“音の出る絵画”シリーズ。
空間音響のデータを独自のアルゴリズムによって時空間を縮約/拡張し、視覚化した6つのビジュアルイメージが描かれた絵画は、特殊プリントと平面パネルスピーカー技術の組み合わせによって絵画そのものから音が発せられます。一見、鑑賞角度によって鮮やかに色彩が変化する6枚の絵画が飾られた展示室ですが、そこには見えない音の作品が重なります。