渋谷慶一郎のアンドロイド・オペラ、最新シングル『BORDERLINE』本日より配信開始、AI作詞でアンドロイドが歌う“人間の痛み”を表現する楽曲とは

アルバム『ATAK027 ANDROID OPERA MIRROR』:2/21(金)配信・CD発売予定

アタック・トーキョー株式会社のプレスリリース

(左) Photo by Ryu Ika(右)Photo by ayaka endo

シングル『BORDERLINE』について

2月21日(金)に発売が予定されている渋谷慶一郎のアンドロイド・オペラ初のアルバム『ATAK027 ANDROID OPERA MIRROR』に先駆け、第二弾シングルの『BORDERLINE』が本日1月15日(水)から配信開始。本楽曲はChatGPTが登場するより以前のヴァージョンGPT-2当時にAI作詞の電子音楽として制作されたが、アンドロイドオペラのために編曲が重ねられた。渋谷による繊細なピアノとストリングスが幻想的に響き合う中、アンドロイドは「痛みは私たちの人生の重要な一部」と歌い始め、「かつて愛したあの世界はもうあなたのものじゃない」と締め括る。渋谷が2012年に発表した人間不在・初音ミク主演のヴォーカロイドオペラ「THE END」以降活動の中心に据えている、生と死や人間とテクノロジーといった境界を無効化するようなコンセプトが具現化された作品である。また象徴的なモチーフ奏でるストリングスを始めとするオーケストラは、人間ではなくソフトウェアシミュレーションによって作られており、このアルバムでの唯一の人間による演奏―渋谷の繊細なピアノだけが、世界の終わりに対峙する人間のメタファーとして存在している。

アルバム『ATAK027 ANDROID OPERA MIRROR』について

昨年6月に東京公演を終えたアンドロイド・オペラは、AIを搭載したヒューマノイドロボットが最も人間中心主義的な芸術様式ともいえるオペラと融合し、オーケストラと共に演奏する舞台作品。これまでにオーストラリア、日本、ドイツ、中東、パリなど世界中で上演され、初のアルバムとして2月21日(金)に発表される本作はオーディオワークとしてオーケストラアレンジ、ピアノ、電子音、ヴォーカルに至るまで新たに再構成される。
公演では人間が演奏したオーケストラパートも、今回のアルバムでは終末的な世界を表すコンセプトを研ぎ澄ますかの如く最新のソフトウェアシミュレーションによって作り直され、その上にアンドロイドのシンセティックなヴォーカルが重ねられる。唯一の人間による演奏―渋谷の繊細なピアノは、世界の終わりに対峙する人間のメタファーとして存在する。
アルバムの冒頭を飾る『MIRROR』は、渋谷が描く“物語”を象徴するような楽曲で催眠的なドローン、緊張感のあるリズム、そしてオーケストラの流れの中に詩的でロボット的な発声が重なり、「存在と非存在の境界とは何か?」「過去と未来の境界はどこに存在するのか?」などと問いかる。『Scary Beauty』では、フランスの作家ミシェル・ウェルベックの「ある島の可能性」から引用したテクストが用いられるなど様々な要素が交差する。
アルバム全体を通して記憶に残るアイコニックなテーマ、実験的な電子音楽のモチーフ、そして壮大なネオクラシックのフレーズを織り交ぜながら、哲学、宗教、文学、芸術、技術に関する問いを投げかける。

◆リリース詳細

『ATAK027 ANDROID OPERA MIRROR』(アルバム)
レーベル:ATAK
発売日:2025年2月21日(金) 配信・CD同日リリース予定

Composition, Piano, Electronics: Keiichiro Shibuya
Text: Keiichiro Shibuya (#01) , GPT (#03,05,06,07,08), Excerpts from “The possiblity of the island” written by Michel Houellebecq (#02, #09) and “On Certainty” written by Ludwig Wittgenstein (#04)
Android Vocal Production: Keiichiro Shibuya, Shintaro Imai

Text-to-Note Programming: Takashi Ikegami (#04)
Mix, Piano Recording: François Baurin (Hinterland Lab)
Mastering: Rashad Becker (clunk)
Score Notation Assistant: Hiroto Kikukawa
Artwork: Ryoji Tanaka
Photograph: ayaka endo
Production: Natsumi Matsumoto (ATAK)
Produce: Keiichiro Shibuya (ATAK)

『BORDERLINE』(シングル)
レーベル:ATAK
発売日:2025年1月15日(水) 配信限定

Composition, Piano, Electronics: Keiichiro Shibuya
Text: GPT
Android Vocal Production: Keiichiro Shibuya, Shintaro Imai

Mix, Piano Recording: François Baurin (Hinterland Lab)
Mastering: Rashad Becker (clunk)
Score Notation Assistant: Hiroto Kikukawa
Artwork: Ryoji Tanaka
Photograph: ayaka endo
Production: Natsumi Matsumoto (ATAK)
Produce: Keiichiro Shibuya (ATAK)

Photo by Grégoire Alexandre

◆渋谷慶一郎・プロフィール

音楽家。1973年東京生まれ、東京藝術大学作曲科卒業。2002年に音楽レーベル ATAKを設立。作品は先鋭的な電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽、サウンド・インスタレーションまで多岐にわたり、東京・パリを拠点に活動を行う。

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