~世代を代表する気鋭作曲家との新プロジェクトが始動!~
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団のプレスリリース
彩の国さいたま芸術劇場は注目の現代作曲家・音楽家 坂東祐大と新プロジェクトを始動します。
現代音楽に軸足を置きつつ、テレビドラマや映画など映像作品の劇伴等、ジャンルを横断した活動で注目を集める坂東。それぞれのフィールドで活躍する気鋭の同世代音楽家たちとともに実験を重ね、2025年2月にはワーク・イン・プログレスとして新作シアターピースを披露する予定です。
彼の活動テーマの一つでもある「異化」や「脱構築」による刺激と知覚の可能性を試みる、坂東流のユーモアあふれる取り組みにご期待ください。
《坂東祐大コメント》
ここ数年、自分は音楽を西洋史観・西洋音楽史観で考えすぎているのではないか、と自問を繰り返している。日本の民族音楽研究の先駆者・小泉文夫は、著書の中で、外国で発達した西洋音楽が日本に本当に根付くのかと問いかける。その洞察に触れ、この問いについての関心が一層深まった。
今回の企画では、もし日本に西洋音楽を輸入した方法が今と違っていたら? あるいは日本の伝統楽器が違う形で発展していたら? 廃れてしまった日本発の楽器が別の形で存続していたら? 演奏の美意識が現在と違う形で展開していたら? 作曲という行為が五線譜ではなくタブラチュア譜だったら? など、実際はないはずのことを前提にガラパゴスなメソッドを空想してみたい。それには日本の伝統音楽、西洋音楽を問わず演奏家、音楽学者の知識やアイディアをふんだんに借り、リサーチしたいと思う。
そして、それらのメソッドを用いた音楽を新たに作ってみる。それらはおそらく2025年の日本に住む私自身をとりまく音楽を徹底的に解体 ― 再構築を繰り返した、ある種のキメラ音楽のようなものになるのではないだろうか。そうして様々な文脈やメソッド、形式や身振りを解体―再構築したものから、なお表出する作曲や演奏の美意識、また現代性や地域性とはなんなのだろうか、観察してみたい。(もしかしたら、そんなものは存在しないかもしれない。) ―坂東祐大
■公演概要
〇公演名:坂東祐大 新作 ワーク・イン・プログレス 『キメラ – あるはずのないメソッドの空想』
〇日時=2025年2月22日(土)15:00開演
〇会場=彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
〇出 演=坂東祐大(作曲家/音楽家)、多久潤一朗(フルート)、長谷川将山(尺八)
尾池亜美(ヴァイオリン)、LEO(箏)
〇内 容=
第1部 あるはずのないメソッドのレクチャー
第2部 そのメソッドから創り出されたキメラ音楽(シアターピース)
坂東祐大:「秘曲《象息之調》[2024] 尺八独奏のための」より 他
〇チケット(全席自由)=一般 2,500円、U-25* 1,500円
*U-25・・・公演時、25歳以下の方対象/ご入場時、要身分証明書。
〇一般のお問合せ=SAFチケットセンター 0570-064-939 (彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~18:00)
〇主催=公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
〇助成=文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
■プロフィール
坂東祐大 Yuta Bandoh
作曲家/音楽家。1991年生まれ。多様なスタイルを横断し、異化や脱構築による刺激と知覚の可能性などをテーマに、幅広い創作活動を行う。作品はオーケストラ、室内楽から立体音響を駆使したサウンドデザイン、シアター・パフォーマンスなど多岐に渡る。
東京藝術大学作曲科及び同大学院修了。第25回芥川作曲賞受賞(2015年)。主要作品に「花火-ピアノとオーケストラのための協奏曲」 (サントリー芸術財団委嘱作品)、「TRANCE (京都芸術センター Co-program 2018)」、「声の現場」(テキスト:文月悠光、OPEN SITE 6 TOKAS 推奨プログラム)など。2022年、初の作品集「TRANCE / 花火」を日本コロムビアよりリリース。2016年、Ensemble FOVE を創立。代表として気鋭のメンバーと共にジャンルの枠を拡張する、様々な新しいアートプロジェクトを多方面に展開している。2021年、最新作となる「ドレミのうた」をリリース。また上記のメインワークに加え、ジャンルを横断した活動も多方面に展開する。映像作品の音楽に、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(坂元裕二 脚本)、映画『竜とそばかすの姫』(細田守監督、 音楽:岩崎太整、Ludvig Forssellと共に )、アニメ『怪獣8号』(松本直也 作/集英社)等。作曲を野田暉行、安良岡章夫、野平一郎、 ピアノを中井正子 各氏に師事。令和5年度「咲くやこの花賞」音楽部門受賞。https://www.yutabandoh.com/
多久潤一朗(フルート) Jun-ichiro Taku
無数の特殊奏法や民族楽器の奏法を駆使し自作自演を軸に活動中。東京藝術大学在学時より現代音楽を中心に活動を始め、国内外の作曲家の新作初演を多数手がける。ソリストとしてもこれまでに新日本フィルハーモニー管弦楽団はじめ数々のオーケストラと協奏曲を共演した。超絶技巧フルートトリオ『マグナムトリオ』リーダーとしてはイギリスやカナダ、ロシア、韓国他様々な国の音楽祭にて招待公演を行っている。
スタジオワークも多く、今期は大河ドラマ「光る君へ」、アニメ「葬送のフリーレン」、NintendoSwitch「スーパーマリオ」「ゼルダの伝説」シリーズなどの笛類を担当している。SNSで発信した「ちくわ笛の吹き方シリーズ」で芸達者ぶりが注目されている。
長谷川将山(尺八) Shozan Hasegawa
10歳より尺八を始め、藤原道山に師事。東京藝術大学卒業と同時に同声会賞受賞。同大学大学院修了。東京藝大アートフェス2022でグランプリ 東京藝術大学長賞を受賞。コンサート等の公演活動はもとより、近年では多重録音の技術を駆使した活動も展開し、シリーズ「全員将山」では、既存作品や自身の編曲によるオーケストラ作品のほか、委嘱作品をこれまでに15作品録音するなど、尺八音楽における新たな表現の可能性を切り拓いている。また山内惠介氏のコンサートや、藤井風氏の録音やツアーに参加するなどポップスフィールドでも活動を展開、ジャンルを超えた音楽活動を通じて、尺八音楽を様々な角度から見つめている。現在、都山流尺八楽会所属・師範。都山流将山会、現代邦楽研究会主宰。日本三曲協会、日本尺八演奏家ネットワーク(JSPN)会員。東京藝術大学教育研究助手。法政大学三曲会講師。
尾池亜美(ヴァイオリン) Ami Oike
東京藝術大学附属高校、同大学を卒業後渡欧。ローザンヌ高等音楽院、英国王立北音楽院、グラーツ芸術大学に学ぶ。現在東京を拠点に、オーケストラとの共演や様々な編成の室内楽、作曲家との協働等に力を注ぐ傍ら、東京藝術大学専任講師として後進の指導にあたる。マンチェスター国際ヴァイオリンコンクール優勝、委嘱作品最優秀演奏賞。カール・フレッシュ国際ヴァイオリンコンクール第2位。日本音楽コンクール第1位、岩谷賞(聴衆賞)ほか受賞。江藤俊哉ヴァイオリンコンクール優勝ほか受賞多数。アジア、欧州各地にてリサイタルを開催。録音作品にEnsemble FOVEと共作の「ZINGARO!!!」、バッハとバルトークの無伴奏作品集「A」他。amioike.art
LEO(箏)
1998年生まれ。9歳より箏を始め、カーティス・パターソン、沢井一恵の両氏に師事。16歳でくまもと全国邦楽コンクール史上最年少・最優秀賞・文部科学大臣賞受賞。その後、東京藝術大学に入学。MBS 「情熱大陸」、テレビ朝日「題名のない音楽会」「徹子の部屋」など多くのメディアに出演。セバスティアン・ヴァイグレ、井上道義、鈴木優人、沖澤のどか、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団などと共演。2024年9月には、スロヴァキア及びウィーンにおいてそれぞれ招聘され、好演を果たしている。出光音楽賞、神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞受賞。箏奏者として初めてブルーノート東京でライブを開催。また、SUMMER SONICに異例の出演を果たしたことでも話題を集めた。