文化庁のプレスリリース
新国立劇場(東京都渋谷区)オペラパレスに、“フィレンツェ・ダブルビル”が再登場します。ともに20世紀初頭の秀作オペラのカップリングで、迷宮都市フィレンツェを手掛かりに夢幻の世界へ誘います。『フィレンツェの悲劇』は夫婦と妻の愛人の3人が繰り広げる倒錯的顛末の前衛作。艶やかな声と深い表現力で圧倒的人気を誇るバリトンのスター、トーマス・ヨハネス・マイヤーが登場します。『ジャンニ・スキッキ』は遺産相続をめぐる騒動と若いカップルの恋を描いたプッチーニ極上の喜劇。題名役にはイタリアの名バリトン、ピエトロ・スパニョーリが芸達者ぶりを発揮します。砂田愛梨、村上公太ほか話題のキャストも勢揃い。豊麗な管弦楽を伴う対照的な秀作2作を一挙に楽しめる、贅沢なダブルビルをご堪能ください。
フィレンツェに渦巻く人間ドラマ。洒脱なコントラストの1幕物二本立て
大野和士芸術監督が贈るダブルビルシリーズ第1弾の“フィレンツェ・ダブルビル”。フィレンツェを舞台にした20世紀オペラ2本を一挙に楽しめるダブルビル上演は、大きな話題となりました。
『フィレンツェの悲劇』は、耽美的で豊麗な音楽で知られるツェムリンスキーの代表作。デカダンス文学の旗手オスカー・ワイルドの戯曲を原作に、夫婦と妻の愛人の3人が繰り広げる奇妙な悲劇を描きます。ツェムリンスキーはマーラーに見出されて世紀転換期のウィーンで活躍していた作曲家で、豊潤な前奏曲や終盤の官能的な二重唱では、後期ロマン派ならではの色彩豊かで壮麗な音楽が堪能できます。
『ジャンニ・スキッキ』(1918年メトロポリタン歌劇場初演)は富豪の遺産相続をめぐる強欲な人間たちの騒動と若いカップルの恋をテンポよく描いたプッチーニ晩年の1幕物。『三部作』を締めくくるとびきりの喜劇です。ラウレッタのアリア「O mio babbino caro私のお父さん」は、ソプラノの名曲としてコンサートで歌われることも多く、テレビCMなどでもお馴染みの人気曲です。ともに20世紀初頭を代表する作曲家による、1幕に人間模様が凝縮されたオペラ。小粒でもピリリと辛い秀作が洒脱なカップリングの一夜となって、フィレンツェという奥深い芸術の街を舞台に繰り広げられます。
フィレンツェの闇、裏社会に光を当てる粟國淳演出
幕が開くと、舞台には植物の根に浸食された重厚な建築が登場し、欲望の渦巻く『フィレンツェの悲劇』のグロテスクさを暗示。腹を探り合う男女3人の心理劇が、官能的な音楽と共に繰り広げられます。対する『ジャンニ・スキッキ』では舞台が一転、巨大な書斎机の上で、ミニチュアになった大勢の登場人物たちがちょこまかと私利私欲に邁進する姿を、一種のブラックジョークとして観察することになります。フィレンツェの裏社会を覗き見するようなプロダクションは、贅沢極まる大人のエンターテインメントです。
マイヤー&スパニョーリ、世界随一の名バリトンが登場
『フィレンツェの悲劇』3人のキャストは、ワーグナーやR.シュトラウスをレパートリーに、艶やかな声と深い表現力で圧倒的人気を誇るバリトンのスター、トーマス・ヨハネス・マイヤーと、強靭で輝かしい声を誇り、オペラ夏の祭典『トゥーランドット』のカラフでもその声を印象付けたテノール、デヴィッド・ポメロイ、そして輝かしく強い声と繊細な表現で“ブリュンヒルデ歌い”として躍進中のソプラノ、ナンシー・ヴァイスバッハという贅沢な顔合わせ。
『ジャンニ・スキッキ』タイトルロールにはブッフォを得意とするイタリアの人気バリトン、ピエトロ・スパニョーリが登場します。「私のお父さん」を歌う娘役ラウレッタと恋人リヌッチョの若いカップルには、イタリアを拠点にスター街道を駆け上っている大注目のソプラノ砂田愛梨、国内トップテノールとして活躍する村上公太と、新国立劇場オペラ研修所出身のふたり。共演者にずらりと揃う実力派歌手陣も楽しみです。
指揮は後期ロマン派を特に得意とする、日本有数のオペラ指揮者沼尻竜典が、絶賛された2019年の本作の初演に続き登場します。
『フィレンツェの悲劇』あらすじ
商人シモーネは、妻ビアンカとフィレンツェ公グイードの浮気を疑う。夫の死を願うビアンカ。男2人は決闘することになり、シモーネがグイードを絞め殺す。ビアンカは夫の強さに恍惚となり、シモーネは妻の美しさを讃える。
『ジャンニ・スキッキ』あらすじ
亡くなったばかりの大富豪ブオーゾの寝室。遺産が修道院に寄付されると知り、親類たちは愕然とする。ブオーゾの甥リヌッチョと結婚したい娘ラウレッタに懇願され、ジャンニ・スキッキは遺言状を書き換える計画を立てる。
「フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ」ダイジェスト映像
新国立劇場2024/2025シーズンオペラ 『フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ』
【公演日程】
2025年2月2日(日)14:00/4日(火)14:00/6日(木)18:30/8日(土)14:00 全4公演
【会場】新国立劇場オペラパレス
【スタッフ・出演】指揮:沼尻竜典/演出:粟國 淳/美術:横田あつみ/出演:デヴィッド・ポメロイ、トーマス・ヨハネス・マイヤー、ナンシー・ヴァイスバッハ、ピエトロ・スパニョーリ、砂田愛梨、与田朝子、村上公太、青地英幸、針生美智子、網永悠里、志村文彦、河野鉄平、吉川健一、中島郁子、畠山 茂、清水宏樹、大久保惇史、水野 優/管弦楽:東京交響楽団
【チケット料金】 S:26,400円 ・ A:22,000円 ・ B:15,400円 ・ C:9,900円 ・ D:6,600円・ Z(当日のみ):1,650円
【チケットのお求め】新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
※WEBボックスオフィスで学生(5%)、ジュニア(20%)、高齢者(5%)割引チケットもお取り扱い中。
※新国立劇場当日券は、学生の方は50%割引となります(D席・Z席除く)。ボックスオフィス(窓口・電話)で取扱。
【アクセス】京王新線(都営新宿線乗入)初台駅中央口直結
公演およびチケットの詳細については、新国立劇場ウェブサイトをご覧ください
新国立劇場について
新国立劇場は、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の公演の制作・上演や、芸術家の研修等の事業を行っています。オペラ部門は2018年9月より世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。所在地:東京都渋谷区本町1-1-1