【AIに関する音楽団体協議会】クリエイターやアーティストの権利保護とAIの適切な利活用に関する意見

~ for Creators, for Artists ~

AIに関する音楽団体協議会のプレスリリース

昨今、AI技術が急速に進展し、「Suno AI」や「Sora2」といったサービスの利用が拡大し、これにより多くの権利侵害コンテンツが流通し、極めて深刻な事態を招いています。

音楽に関わるクリエイターやアーティストとともに活動している9団体で構成する「AIに関する音楽団体協議会」は、クリエイターやアーティストの権利保護とAIの適切な利活用の観点から、改めて意見を表明します。

【意見】

  • 生成AIの利活用にあたっては、創造のサイクルとの調和が図られることが不可欠であり、そのためには透明性の確保が欠かせません。具体的には、生成AI開発事業者に学習用データの記録・保存・開示を義務付ける実効的な法的措置が必要です。

  • AIが生成した権利侵害コンテンツに対して、クリエイターやアーティスト自身が削除要請等の負担を強いられることは容認できません。権利侵害コンテンツを生み出したAIを開発・提供する事業者も、一定の法的責任、負担を負うべきです。

  • 作風の類似するAI生成物が大量に生成され、流通することにより、クリエイターやアーティストの活躍の場が狭められたり、不利益が生じることがあってはなりません。

  • 現行の著作権法のもとでは、第30条の4の規定により、営利目的の生成AIを開発するための学習利用に対しても、権利者が反対の意思を反映させることはできません。権利者が学習利用に反対する意思を有している場合、これを反映するための選択の機会を設けることが必要不可欠です。

  • アーティストの肖像や声、楽器の演奏スタイルなどを再現・模倣するディープフェイクコンテンツに対する早急な法的対策を講じるべきです。

  • 生成AIの学習用データに海賊版等の権利侵害複製物を使うことは厳しく禁止し罰則を与えるべきです。

歴史上、音楽文化・コンテンツ産業は、新たな技術を取り入れながら発展してきました。私たちは、クリエイターやアーティストがAI技術を創作活動における有益なツールとして安心して利活用できる環境を望んでいますが、現状を放置してしまうと、クリエイターやアーティストの活躍の場が狭められ、音楽文化・コンテンツ産業の発展を阻害することが強く危惧されます。

私たちは、文化審議会著作権分科会法制度小委員会がとりまとめた「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集に対して、2024年2月10日に意見を提出しましたが、今回改めて意見を表明するものです。「for Creators, for Artists」の理念のもと、ともにクリエイターやアーティストの権利を守りながら創造のサイクルとの調和がとれたAI利活用の枠組みの実現に向けて取り組んでまいります。

以上

「AIに関する音楽団体協議会」参加団体(団体名は五十音順)

 一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会(ACPC)

 一般社団法人 日本音楽作家団体協議会(FCA)

 一般社団法人 日本音楽事業者協会(JAME)

 一般社団法人 日本音楽出版社協会(MPA)

 一般社団法人 日本音楽制作者連盟(FMPJ)

 一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)

 公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会

        実演家著作隣接権センター(CPRA)

 一般社団法人 日本レコード協会(RIAJ)

 株式会社 NexTone(ネクストーン)

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