【映画館でオペラを】ロイヤル・オペラ『トスカ』スター歌手アンナ・ネトレプコが、圧倒的な表現力で観客を熱狂の渦に巻き込む!オペラ部門ディレクターのオリバー・ミアーズが語る『トスカ』

クラシックの美しさと現代の洗練。世界最高峰の舞台を大スクリーンで―「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2025/26」永遠の名作から斬新な新演出まで、豪華ラインナップが勢ぞろい!

東宝東和株式会社のプレスリリース

ロイヤル・オペラ『トスカ』

 ロイヤル・オペラ・ハウスで繰り広げられる、世界最高峰の英国ロイヤル・バレエの舞台を映画館で現地さながらに体感できる「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ」。数あるレパートリーの中から選りすぐりの人気作品を上映し、斬新でドラマティックな演出を大スクリーンと迫力ある音響で楽しむことができる。

 英国ロイヤル・オペラの新シーズン開幕を飾るのは、音楽監督に就任してから初となるヤクブ・フルシャの指揮に加えて、オペラ部門ディレクターのオリバー・ミアーズの新演出で贈る『トスカ』。本作は、近年において劇場が最も力を注いだ話題のプロダクションである。さらに、オペラ・ファンが待ち望んでいたトップ・スター、アンナ・ネトレプコがロイヤル・オペラに帰還!2019年の『運命の力』以来、コロナ禍とウクライナ情勢を背景に、英国の舞台から遠ざかっていた彼女が、ついに復帰を果たした。劇場前ではわずかな抗議活動も見られたが、公演はソールド・アウト。観客が固唾をのんで見守る中、ネトレプコは自身最高のトスカを歌い上げた。

 ミアーズの新演出は、現代に近いローマを舞台にしている。第1幕では、爆撃で半壊した教会で祈る人々の姿を、第2幕では白い大理石と真鍮の大扉が印象的な部屋でスカルピアの暴力的欲望を、第3幕では陰惨な処刑場を描き出す。ネトレプコはスター歌手としての自信と絶好調の歌声で舞台を務め、「歌に生き、愛に生き」では繊細なピアニッシモの美しさで観客を圧倒した。敬虔で女性らしく、かつ力強いトスカ像はまさに圧巻である。カヴァラドッシ役のデ・トマーゾは、明るく張りのある声で好演。スカルピアを演じたフィンリーは見事な演技で引きつけた。スポレッタのボージ、堂守のコルベッリなど脇役の芸達者ぶりも見事である。フルシャの指揮は、歌手をしっかりと支えながら、オーケストラから深みと緊張感に満ちた音楽を引き出し、新音楽監督としての確かな手腕を印象づけ、高く評価された。

プッチーニの代表作として数々の名アリアで知られる『トスカ』は、一見すると甘く華麗な旋律に満ちたオペラだ。しかしその裏では、嫉妬や拷問、裏切り、そして死が連鎖する、きわめて凄惨な人間ドラマが展開される。美しさと残酷さが交差するこの“二面性”こそ、『トスカ』という作品の磁力であり、今回ロイヤル・オペラで新制作として上演された本公演の大きな見どころでもある。

オリバー・ミアーズ Oliver Mears ©2024 Sebastian Nevols

オペラ部門ディレクターのオリバー・ミアーズが『トスカ』について語った。

ーーシネマを通してオペラを初めてご鑑賞される方がたくさんいます。オペラの楽しみ方、魅力を教えてください。

オリバー・ミアーズ(以下ミアーズ):ただ座ってリラックスしていてください。何も準備する必要はありません。ドラマと音楽そのものが語り、あなたがこれまでに味わった中で最も魅了され、酔いしれるような体験になるでしょう!

ーー今回の新演出版『トスカ』は悲劇のヒロインという伝統的な要素より、政治・暴力・権力構造の理不尽と真っ向勝負に挑むキャラクターが印象的でした。対するスカルピアはその国家権力を象徴していました。これは現代の社会情勢なども反映されているのでしょうか?

ミアーズ:トスカには確かに両方の側面がありますが、根本的には“芸術家”であり“恋する女性”で、思いもよらない状況に巻き込まれていきます。彼女はもともと政治的な人物ではありませんが、スカルピアが体現する“悪”と“腐敗”の現実と対峙することで、否応なく政治の領域に踏み込まざるを得なくなるのです。

スカルピアについて言えば、彼は政治や国家権力の階層を利用して自らの性的欲望を満たそうとする“機会主義的なサディスト”です。残念ながら、こうした存在は決して新しいものでも珍しいものでもありません。

ーーオペラを見慣れない観客にとっても現代的で非常にわかりやすい演出でした。トスカ、カヴァラドッシ、スカルピア像をつくるときにイメージした人物はいますか? 映画の登場人物や実在の人物など。

ミアーズ:トスカは典型的な“ディーヴァ(歌姫)”の原型であり、もちろんカラスのような人物から影響を受けますが、現代のアーティストや、私が実際に知っている人々からも影響を受けています──ただし、ここでは名前は挙げません。
カヴァラドッシは芸術家肌のボヘミアンでありながら、特権的な貴族階級の人物で、これはヨーロッパの芸術界──美術、映画、演劇──でよく見られるタイプです。
スカルピアに関しては、『ゴモラ』のような映画に登場するマフィア像から影響を受けました。彼は結局のところシチリアの農民階級の出で、たまたま“その場に居合わせた”だけの人物で、真の“男爵”とは言い難いのです。

ーートスカの物語は1880年代に初演されましたが、現代の観客に響かせるために最も重要だと感じる普遍的テーマは何でしょうか。

ミアーズ:政治や戦争が市井の人々の生活を腐敗させ、破壊してしまうというテーマは、いつの時代でも共感を呼ぶものです。一方で、トスカとカヴァラドッシが互いに抱く愛は、変わらず人々の心を動かし続けます。

ーートスカはなぜ最後に愛するカヴァラドッシではなく、スカルピアに「スカルピアよ、神の御前で!」と叫んだのでしょう?

ミアーズ:彼女は追い詰められながらも、最後まで反抗の意志を失いません。

これは、宿敵に決められた運命に抗い、自らの意志を貫こうとする彼女に残された、ほとんど唯一の方法なのです。

ーー本作の見どころを教えてください。

ミアーズ:私たちは『テ・デウム』の場面をまとめ上げるのがとても楽しかったです。あの場面をこの作品では少し異例な形で扱っていて、この社会が“戦時下にある”ことを示したかったからです。

個人的には、第2幕をあの素晴らしいアーティストたちと作り上げるのが最も楽しかったです。彼らは本能的でありながら、細部にわたって高いレベルで取り組んでくれました。
そして第3幕は、相応しく残酷で不穏なものになっていると願っています。

ーー演出家として、オペラ演出に影響を与えた映画、舞台、美術作品などはありますか?また今回のトスカで特に取り入れたインスピレーションがあれば教えてください。

ミアーズ:先ほど『ゴモラ』に触れましたが、イタリア映画全般──特にパオロ・ソレンティーノの美しく現代的な作品群──は、古典性とモダニティを兼ね備えており、大きな影響を受けています。

ーー今後のオペラのラインアップの見どころを教えてください。(『ジークフリート』『魔笛』『椿姫』)

ミアーズ:『ジークフリート』は、コスキー/パッパーノによる《リング》サイクルの素晴らしい続編となることでしょう。キャストも卓越しており、劇場と音楽づくりも見事です。
また、『魔笛』と『椿姫』は、私たちの最もクラシックで愛されているプロダクションで、初めてオペラを見る方にもぴったりです!

ロイヤル・オペラ『トスカ』
ロイヤル・オペラ『トスカ』

<ロイヤル・オペラ『トスカ』作品情報>

【STORY】

フランス革命期、1800年のローマ。革命思想を持った画家カヴァラドッシが教会で絵を描いているところに、脱獄した政治犯アンジェロッティが逃げ込んでくる。カヴァラドッシは命を賭しても友を助けることを誓う。体制側で、人々に恐怖感を与えて支配力を発揮している警視総監スカルピアは、以前より美貌のオペラ歌手トスカに目をつけており、彼女の恋人カヴァラドッシを処刑しトスカを手に入れようと決意する。恋人の命と引き換えに一夜を共に過ごすことを迫られたトスカは、一旦それを承知するも、最後の瞬間にあるものが目に入りとっさにスカルピアに立ち向かうが…。

《トスカ》

音楽:ジャコモ・プッチーニ

台本:ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカ(ヴィクトリアン・サルドゥの戯曲「ラ・トスカ」より翻案)

指揮:ヤクブ・フルシャ

演出:オリバー・ミアーズ

美術:サイモン・リマ・ホールズワース

衣裳:イローナ・カラス

照明:ファビアナ・ピッチョリ

ムーヴメント&インティマシー・ディレクター:アンナ・モリッシー

ロイヤル・オペラ合唱団(合唱指揮:ウィリアム・スポールディング)

ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団(Tritticoとの契約による首席客演コンサートマスター:ヴァスコ・ヴァッシレフ)

映像監督:ピーター・ジョーンズ

〈キャスト〉

フローリア・トスカ:アンナ・ネトレプコ

マリオ・カヴァラドッシ:フレディ・デ・トマーゾ

スカルピア男爵:ジェラルド・フィンリー

スポレッタ:カルロ・ボージ

チェーザレ・アンジェロッティ:オシアン・ハスキンソン

堂守:アレッサンドロ・コルベッリ

シャルローネ:シペ・クワニ

牧童:エズメイ・フラウド

看守:オッレ・ゼッターストローム

ジェット・パーカー・アーティスト

児童合唱:カーディナル・ヴォーンおよびグレイコート学校

2025年10月1日上演作品

上映時間:3時間13分

<上映劇場>

*札幌シネマフロンティア(北海道)

*フォーラム仙台(宮城)
*TOHOシネマズ 日本橋(東京)

*イオンシネマ シアタス調布(東京)

*TOHOシネマズ 流山おおたかの森(千葉)

*TOHOシネマズ ららぽーと横浜(神奈川)

*ミッドランドスクエア シネマ(愛知)

*イオンシネマ 京都桂川(京都)

*大阪ステーションシティシネマ(大阪)

*TOHOシネマズ 西宮OS(兵庫)

*kino cinéma天神(福岡)

TOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開中!

※トスカの上映期間について

札幌シネマフロンティア、ミッドランドスクエア シネマの上映期間は2025年12/19(金)~ 12/23(火)となります。

<料金:一般¥3,700円 学生¥2,500円(税込)>

※「ジークフリート」は一般¥5,200円 学生¥3,700円(税込)

■公式サイト:https://tohotowa.co.jp/roh/  

■公式X:@rbocinema

■公式Instagram:https://www.instagram.com/rbocinemajp/

■配給:東宝東和

#RBOトスカ #オペラ

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