2025年12月26日公開
文化庁のプレスリリース
このたび、国立映画アーカイブは、2025年12月26日(金)16:00より、当館が所蔵する文化・記録映画など映画作品を配信するWEBサイト「フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―」にて新たに30作品を公開する運びとなりました。
当館の所蔵コレクションを配信する4つ目のWEBサイトとして2023年3月31日に開設し、これまでに日本の文化・記録映画284作品を公開しておりますが、新たな作品が加わることにより、時代の鏡としての文化・記録映画の姿を、より鮮明に体験していただけることでしょう。
約9万本にのぼる当館の所蔵フィルムのうち、劇映画ではない実写作品である文化・記録映画やニュース映画は、日本映画だけで5万本近くに及びます。本サイトでは、これまでは上映の機会や放送・パッケージでの普及が限られてきた、こうした歴史映像群を、全篇視聴可能な状態で公開します。
WEBサイトを通じて、日本の近現代において激動を繰り返してきた社会の諸相と、そこで生きてきた人々の記録を広く共有することを目指しています。
見どころ
今回の公開では、1927年から1944年までの間に撮影・製作されたサイレントによる文化・記録映画を紹介しています。満洲帝国にかかわる歴史的場面、昭和三陸地震と日中戦争のさなかに発生した陸軍倉庫の爆発という災害の記録、それに硬質陶磁器製造をはじめ、新聞製作、製鉄、捕鯨などの各種産業の姿を伝えるフィルムに加え、戦時中の動員労働者向けと考えられる教材映画など、激動の時代の映し出す多様な作品を通じて歴史映像の持つ多彩さと魅力を感じていただけるでしょう。
公開作品の一部
『朝日は輝く[抜萃]』
大阪朝日新聞が創刊50周年を記念して日活に製作を委嘱した長篇劇映画『朝日は輝く』(溝口健二、伊奈精一共同監督)を再構成した抜粋版で、当時の新聞社内の様子や取材から印刷までの新聞製作の過程を見ることができる。
『枚方陸軍倉庫爆破』
日中戦争が泥沼化しつつあった1939年3月1日に枚方市の大阪陸軍兵器支廠禁野倉庫で発生し、近隣の集落も巻き込む大惨事となった爆発・火災事故現場の記録。当時は一般公開されなかったフィルムと考えられる。
『滿洲國皇帝陛下御訪日』
1935年に挙行された満洲国皇帝溥儀による日本訪問の記録。東京駅での昭和天皇との歴史的対面やともに臨んだ観兵式のほか、京都をはじめとする各訪問先での様子も捉えられている。
『硬質陶器』
戦前の日本の代表的な輸出品目のひとつだった硬質陶磁器の生産工程を紹介する教育映画で、資料から名古屋製陶所で撮影された可能性が考えられる。原材料が加工され、職人たちの手によって次第に製品へと形を整えてゆく過程につい目が離せなくなってしまう一作。
『本鄕より駒場への移轉式 皇紀二千五百九十五年九月十四日』
1935年に駒場の東京帝国大学農学部と敷地を交換した本郷の旧制第一高等学校が挙行した移転式の記録で、一高寮生と教員による本郷から駒場までの行進が描かれる。渋谷駅前をはじめとする、行進が通過する街々の光景も見どころ。
『奈良縣田原村』
朝鮮総統府が農村の教化指導のため、「富村良俗」を村是とした挙村一致の活動で優良農村として発展した奈良県田原村を取材した作品。当初不明だった題名は、現在の田原地区在住の方からの情報提供により判明した。
概要
・サイト名:フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―
・URL:https://filmisadocument.jp/ ※公開日までは既存の284作品のみご覧いただけます。
・制作:国立映画アーカイブ、国立情報学研究所
・公開日:2025年12月26日(金)16:00
・新規公開作品:満州帝国の歴史的場面や、事故と災害、各種産業に関する記録や教材映画など、1927-1944年に撮影・製作された日本の文化・記録映画30作品(すべて無声)