杉良太郎 12年ぶりの舞台表現で客を魅了

講演、歌唱、舞台表現の豪華3本立て

株式会社 杉友のプレスリリース

「旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽」の主人公・半次郎を熱演する杉。

歌手・俳優の杉良太郎が11月27日(木)に都内のサントリーホール内ブルーローズで『第一回 杉良太郎に会いたい』を開催した。本イベントは、杉自身初となる講演、歌唱、舞台表現の組み合わせで構成し、3つの顔で観客を魅了した。

 今回のメインである舞台表現では、杉がこれまで演じてきた舞台作品のうち、特に思い入れのある1作『旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽』を選定し、台本を読み上げる「本読み」(※①)の形で作品の一部を披露した。杉の舞台活動は、昭和44年(1969年)に京都・南座で座長を務めて以来、約36年に亘り杉劇団の座頭として活躍。その後は、プロデュース公演などを展開し、今回は平成25年(2013年)に大阪新歌舞伎座で杉が主演、脚本、演出を務めた『樅(もみ)ノ木は残った』(原作・山本周五郎)以来となる、約12年ぶりの舞台表現となった(※②)。

■ 自身初となる「本読み」を披露

(※①)「本読み」とは、簡単な所作を入れながら、台本を一人で読み上げ語っていくもので、当日は、感情が入り、台本はほとんど見ることなく、3場(2幕10場のうち)を熱演した。

 リハーサルでは、ピンマイクを使用していたが、「舞台」の臨場感を表現するために、急遽、地声に変更した。熱演後、鳴りやまない拍手の中、観客に向け「お粗末な芸で、相手役を一緒に読むのはなかなか難しい。年をとって、汚れてしまい、人間の純粋さを失って、今回どれだけ『純』な性格や生き方が大事だと、この歳になっても思い知らされた。役者は死ぬまで勉強。」と振り返った。今回の稽古をする中で、過去の自身の作品を見返した杉は、「当時の自分には、まだ純粋さがあった。良い意味でも悪い意味でも、色々な垢がついて汚れてしまい、『純』をなくした、役者・杉良太郎になってしまった。」と嘆いていた。

 「なんだか申し訳のない芸ですが。次は、もう少し童心にかえって、気に入っていただけるようにしたいと思いますが、2回目はあるのですかね~。」とユーモアを交え問いかけた。

 最後は、「皆さんにとって大事なものの1つは時間。今日は、その時間をいただいて、ありがとうございます。」と来場者に感謝しながら、自身が主演を務めた『遠山の金さん』の決めセリフ「これにて一件落着!」でイベントを締めくくった。

■ 舞台『旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽』

『旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽』(たびがらすはんじろう ふりむけばゆうひ)は、杉が1979年(当時35歳)に初めて上演した作品。杉の舞台、代表作の脚本を手掛けた中江良夫氏の作品で、同年に芸術祭優秀賞を受賞した。(下記、本作品のあらすじ)

 山形県の紅花問屋に丁稚奉公(でっちぼうこう・・・年少の少年が商家などで住み込みで働き、掃除や使い走りなどの下働きをする制度。)をさせられていた9歳の半次郎。いつも店の奉公人やまわりからひどい扱いを受けていたが、店の一人娘の“およう”だけはいつも半次郎に優しく接してくれていた。おようは「どんなにつらいことがあっても我慢するのよ」と励ましてくれる。その優しさに半次郎は「一生忘れることはない。この御恩は忘れない」と涙する。

 17年後、生まれ故郷へ帰ってくる半次郎。浜辺で偶然おようと出会うことになるが、紅花問屋のお嬢さんとは気が付かず、おようには猪之助という女衒(ぜげん・・・女性を遊女屋に売ることを生業としていた者。)が関わっていることを知る。

 半次郎は故郷の実家に帰るが、実の母から「番頭や手代を傷つけて役人に追われているお前はここに帰ってくるな。やくざ者になって帰ってきて、これから結婚を控えている妹に迷惑だ」と追い返される。

 その後、酒田港の茶店で紅花問屋の女中だったお仲と出会う。半次郎は「おようの居場所を知っているなら教えてくれ」と必死に頼む。お仲は「8年前に紅花問屋は火事でなくなり、旦那さんも奥様も亡くなった。おようさんはあんまり苦労が多すぎて、すっかり身体が弱っちまって」と話すが、半次郎の思いに負け「もう、昔のお嬢さんじゃない。お嬢さんがどんな姿になっていても、驚くんじゃないよ。」とやっとの思いでこの酒田にいることを告げる。おようは酌婦・女郎にさせられていた。

 

土地の親分・源造はおようを気に入り、買おうとするが、猪之助が「おようは自分が引き取る」と手付金を返し去っていく。そこへ、お仲に連れられ、おようが半次郎に出会う。半次郎は「やっぱり、やっぱりお嬢さんだ!」と、子供の頃に優しくしてもらい、励まされてきた気持ちを心の底から伝える。傷ついた二人、共に喜びを隠せない。

 

 猪之助はおようを自分の女にし、生涯をともにしたいという気持ちが強いが、おようはそれを承諾しない。おようがつぶやく「人のいないところへ行きたい」に半次郎も「一緒に探しながら生きましょう」と約束する。

 半次郎は土地の親分 源造を始末しなければ、決着がつかないと源造がいる料亭に殴りこむ。人質にとられていたおようは、昔、半次郎が助けた弥助、お松夫妻のおかげで救い出すことができ、おようと半次郎は逃げる。弥助は土地の親分・源造に斬られてしまうが、「自分を助けてくれた旅人 半次郎への恩を返しただけだ」と死んでいく。

 やっとの思いでおようと半次郎は生家にたどり着く。しかし、灯がついた家の中からは妹の祝言が執り行われている様子が聞こえてくる。中には母親、妹、その相手の農夫がいて、婚礼の祝いの唄・長持唄(ながもちうた)が歌われている。家の中に入りたい半次郎をおようが止め、疲れ切った二人はお互いをいたわるよう花道を入っていく。

 すすきが一面に生えている河原。おようが熱にうなされ、一人寝ているが、怖い夢を見たのか「半次さん!半次さん!」と飛び起きる。その声に反応し、半次郎が飛び出してくる。おように水を飲ませるが、おようは相当弱っていた。気配がし、ふと見ると付け回してきているヤクザの子分達の姿が見えたので半次郎はおようを隠そうと茂みの中へ連れて行くが、その後、立ち回りが続き、おようがすすきの中からあらわれる。さらにすすきの中から猪之助が突然現れ、おようが「半次さん!」と探している姿に嫉妬し、おようを刺し殺す。飛び出してきた半次郎、狂ったように猪之助を切る。

 とうとう、また一人になってしまった半次郎。「どこまでも一緒でござんすよ」とおようの亡骸を抱きしめる。

おようの遺髪を手にする半次郎を演じる杉。(当時)

お芝居は配信していないが、この作品の曲が杉良太郎公式YouTubeチャンネルに公開されており、曲の間奏にセリフが入っており、少しだけ杉良太郎の芝居の世界を楽しめる。

「旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽」 

(※②)杉の舞台活動は、1969年から杉劇団の座長として活躍し、2005年に座長を勇退。それ以降プロデュース公演などを務めてきた。2013年の『樅ノ木は残った』が最後の舞台活動となる。今回は、1か月公演のように芝居をしたわけではないが、舞台に関することを客前で披露した、いわゆる「舞台表現」としては12年ぶりとなった。

■ イベント冒頭では、観客からの質問に答えた

来場者からの「私は気が弱く、人間関係で相手に軽視されていると思う。人とどのように接すればよいか」という質問に杉は、「人と付き合わないと、生きていけないよね。私もデビューしたときに、芸能界で何が難しいと聞かれて、人間関係と答えたら生意気だと言われた。でも、いまだに難しいと感じる。人を理解するのは難しいし、人が一番やっかいだ。でも、自分の人生だから、くよくよせず、悩まず、自信をもって1度きりの人生を楽しんだら良いのでは。人間も白から黒までいろんな色があるし、苦しいこともつらいこともあるけど、明日がある。ちょっとしたことで幸せや良かったと感じることがあるから、自信をもって!」と答えた。

 また、「杉さんの中での優しさとは?」の質問には、「優しさの裏には強さがある。強く生きていくこと、誰に遠慮なく、自分の人生を自信もって生きていったらよい。一生懸命自分が生きて、少し余裕ができたら、他人のことを考えてあげる。そこに優しさがでてくるのではないかな。」

と答えるなど、1つ1つ自身の経験を振り返りながら、杉流に話した。

■ ヒット曲「すきま風」「明日の詩」などを披露!

講演の後半では、3曲を熱唱。杉が主演を務めた『遠山の金さん』のエンディングテーマ「すきま風」をはじめ、同じく主演を務めた『新五捕物帳』のエンディングテーマ「明日の詩」を歌唱。81歳には思えない、力強い歌声を披露した。

 3曲目には自身が作詞の「愛の一滴」を歌唱。この曲は、杉が法務省特別矯正監として全国の少年院を慰問、視察する中で感じてきた入院者(少年少女たち)の愛情不足を痛感し、わずか一滴ずつではあるかもしれないけれど、いつも気にかけ、愛情を注いでいるよという杉のメッセージが込められた1曲となっている。

 現在、警察庁特別防犯対策監として全国の警察署を訪問している杉は、署員から未成年の犯罪者について質問を受けることが多い。その質問に対し、「罪を犯した子供たちを真っすぐに治すには、1対1で寄り添い、多くの時間を費やす必要がある。」と答えているが、この日も改めて、この歌への思いを語り熱唱した。

■ 新著「生涯献身」発売中! ー杉の福祉、芸能での生き様とはー

 会場では、10月末に発売されたばかりの杉の新著『生涯献身』(刊・徳間書店 税込1,980円)が販売され、多数の来場者が手に取った。

 NHK出版より販売された「媚びない力」以来、約11年ぶりの出版となり、杉の福祉活動での取り組みや歌手、俳優としての芸道などの一端がしたためられている。

この機会に、ぜひ、ご一読いただきたい。

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