ドキュ・メメント実行委員会のプレスリリース
ドキュメンタリーの可能性を広げる上映イベント「ドキュ・メメント」が、2026年1月24日(土)&25(日)に北品川の「音響山 善福寺」と「そば処いってつ」で開催されます。今年のコンセプトは「地上に故郷を映し出す」。いつからか、生まれた場所で死ななくなった「人」。ふと、どこかに還りたいと想ったとき、これから死ぬ場所を見つけて“地上に故郷を映し出す”のかもしれません。
ドキュ・メメントとは?
「テレビや映画だけで終わらないドキュメンタリーの可能性を広げよう」と作り手たちが集まり、2017年に生まれた上映イベント「ドキュ・メメント」。映像を作る人、出る人、見る人が同じ空間で一期一会の時間を過ごします。無名の当事者たちが主人公となり、その知られざる物語を自由に語ることで、今という時代をあらわにする二日間。当事者・作り手・観客が、「品川宿」という歴史ある街で過ごし、自分たちが生きるこの時代の物語を作ります。
「ドキュ・メメント2026」の見どころ
今年は「地上に故郷を映し出す」をコンセプトに、北品川にある2つの会場で開催します。構成は“体験ライブ型”のドキュメンタリー上映「ライブ・ドキュメンタリー<登壇ライブ>」と、作家たちによる未公開映像の「ラフカット上映」の2本立て。それぞれの幕間には、作家と意見を交換できる交流タイムもあります。また紛争地を撮り続ける写真家・亀山亮の新作「クマと人間」を展示。様々な切り口でドキュメンタリーの世界に触れられる、新しい形の上映イベントです。
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1/24(土) |
▼ラフカット上映 会場:善福寺(品川区 北品川1-28-9) ※各回入れ替え制 ①13:00~15:15 松井至『走馬灯』 (オープニング 短編『品川人物図会』) ②15:30~17:30 スシ桑山『宿題』 17:30~18:30 交流タイム(軽食) ③18:30~20:30 飯田将茂『東京巡礼』 20:30~22:00 交流タイム(軽食) |
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1/25(日) |
▼ラフカット上映 会場:善福寺(品川区 北品川1-28-9) ④13:00〜16:00 ふくだぺろ『トゥワ歌』 ▼ライブ・ドキュメンタリー<登壇ライブ> 会場:そば処いってつ(品川区 北品川1-30-23) ⑤16:00開場、16:30スタート(~22:00 終了) 16:30~17:30 柿沼節也 ✕ Tommaso Barbetta ✕ 出村正幸『The Dolphine Wall』 オープニング 短編『篠原正勝さんを偲ぶ』) 17:30~18:30 土生田晃『面白くない人』 18:30~19:30 交流タイム(軽食) 19:30~20:30 紅子 ✕ 千絵ノムラ ✕ 田才孝子『紅子さん —色街写真家として生きる人—』 20:30~21:00 米本直樹『Private Film』 21:00~22:00 交流タイム(軽食) |
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両日 |
展示(善福寺):亀山亮『クマと人間』 |
ドキュ・メメント史上、初の試み「ラフカット上映」
両日に北品川「善福寺」で行われるのは、ドキュ・メメント史上初めての試みとなる「ラフカット上映」。これまでドキュ・メメントで発表してきた作家たちが、長年の制作をまとめて長編映画として発表する時期に来ています。 2026年は、まだ仕上げていない生々しい4つのラフカットを上映。日本のドキュメンタリーシーンのなかでも、野生的な制作に取り組む作家たちが放つ未公開の新作は、これから世界の映画祭や全国の劇場に飛び出していくでしょう。そのエネルギーに満ち溢れた初源の形を目撃します。
①松井至『走馬灯』
忘れられたような⼭奥の村がいま静かに消滅しようとしている。
福島県⻄会津奥川。
⼈々は⼭に⽣かされてきた記憶をもち、素朴な暮らしを連綿と続けてきた。
2011年の原発事故を機に村に戻った 1 ⼈の男。映画は彼のまなざしを通して、 村⼈たちの⼼や先祖の記憶に潜っていく。
⼀⼈の⼈間が⼀⽣の最期に⾛⾺灯を⾒るように、 消滅していく村の記憶がよみがえる。
私とは誰か、私たちとは誰か、なぜここで死にたいのか。 村に残り、村の⾵景になりたいと願う人々の語りから、還るべき故郷を共に見る。
②スシ桑山『宿題』
東京のテント村の仲間・先輩たちに恩返しできないまま、ハンガリーで帰る場所を失い死んだドキュメンタリー作家による成仏のための当事者研究。
③飯田将茂『東京巡礼』
東京の街中を舞踏の身体でゆっくりと歩行する。
身体の内部を通して都市が静かに裏返ってゆく。
その確かな変化を引き受けて、踊りと共に、私たちは故郷を巡る旅に出る。
④ふくだぺろ『トゥワ歌(短縮版)』
『トゥワ歌』は、未来のトゥワの人たちに向けられた彼らの声である。そこには、彼らと共に在り、ともに映像を「模索」した詩人人類学者の声もポリフォニックに重なる。
善悪や正邪の判断をいったん手放すとき、人は他者をまるごと引き受けて生きはじめる。喜びも、悲しみも、怒りも、幸せも、すべては同じ生のグルーヴとして響く。
“生の声”を交わすライブ・ドキュメンタリー<登壇ライブ>
1/25(日)に行われるのは、ドキュ・メメントを代表する企画「ライブ・ドキュメンタリー<登壇ライブ>」。制作者・出演者・観客が、作品の上映後に観たものについて意見を交換する、“体験ライブ型”のドキュメンタリー上映です。今年は、東海道品川宿でそば屋を営む「そば処 いってつ」さんが会場す。新しい形のドキュメンタリー上映を、ぜひ体験しに来てください。
▼柿沼節也 ✕ Tommaso Barbetta ✕ 出村正幸『The Dolphine Wall』
珠洲市飯田港にある「さいはてのキャバレー」の壁面に描かれたイルカの壁画は、能登半島地震による津波の直撃を受けながらも、奇跡的に大きな損傷を免れた。
しかし、港の復旧工事に伴い、建物の所有者である珠洲市は解体を決定する。
主人公の出村さんはこの壁画を「奇跡のイルカ」と呼び、その保存を訴え、たった一人で活動を続けている。だが周囲の賛同はなかなか得られず、行政の対応も冷たい。
解体着工まで残り三日。追い詰められた彼は、最終手段として珠洲市長への直談判を試みる。
その日、飯田町では震災後初めてとなる祭りが開かれていた。
本作は、風変わりな主人公の活動を追ったロードムービーであると同時に、「震災」が人々にどのような影響を与えたのか、そして本当の「復興」とは何かを、多面的に捉え直そうとする試みでもある。
▼土生田晃『面白くない人』
芸歴30年以上の芸人・へヴリスギョン岩月(55)は、「テレビに出たい」と語る。差別的で不謹慎、ときには下品で陳腐なその芸風は、どこに面白さを見出せばいいか分かりにくい。今では自身でも「面白くない」と自称し、それでも、アルバイトをしながらネタを披露し続けている。本作は、そんな岩月の姿を追うと同時に、“ドキュメンタリーで求められる被写体とは?”という問いについても掘り下げていく。
昨今、ネットやSNSには“面白い人”が溢れている。そんな世の中だからこそ、”面白くないとされる人”に焦点を当てることで、見えてくる普遍性がある。そう思い、ディレクターの土生田は、ある民放局のドキュメンタリー枠に岩月の企画を持って行った。しかしプロデューサーからは、「面白くない人を世間は求めていない」「好き勝手に生きる中年男性を誰も見たくない」と言われ、“求められる被写体”という考え方に疑問を持つこととなった。
社会的に取り上げるべき人やテーマが優先されることは十分承知の上で、それでも、取り上げるべきとは到底思えない人から普遍性を見出したく、今も撮り続けている。
▼紅子 ✕ 千絵ノムラ ✕ 田才孝子『紅子さん —色街写真家として生きる人—』
色街・・・かつて遊郭や赤線などとも呼ばれ、渦巻く人間の性と欲望を受け止めてきた街。
時代の変化によって陰へ陰へと追いやられ、幻のように消えつつある色街の、微かな面影をそっとなぞるように、紅子さんは写真を撮り続ける。
色街写真家・元吉原高級ソープ嬢・シングルマザー。並ぶ肩書きはセンセーショナルだが、実際に出会うと、驚くほど物腰柔らかで暖かいまなざしが印象的な人だ。「誰かに私を受け入れてほしい」その一心で色街に入り、20代のほどんどを色街で生きてきた。その時間を「後悔している」と紅子さんはきっぱりと言う。そして、こう加える「でも、なかったことにはしたくなかった」。40代後半から写真を学び、その歴史や人々の想いを知り、再び通い始めた色街は、まったく違う景色に見えたという。色街に生きること、身体だけでな心のある人が生きていることを知っているから、紅子さんの写真には確かにあった「息遣い」を感じる。
――なぜ色街を撮り続けるのか?紅子さんが惹かれる色街の面影を、一緒に探してみたい。
紅子さんと交流の深いライター・舞台役者の千絵ノムラさんと一緒に、紅子さんのまなざしを追体験したいと思う。
▼米本直樹『Private Film』
僕が22歳のとき、父は病気で死んだ。漫画を読むなとか、ドリフを見るなとか、勉強しないと乞食になるぞとか、そういうことばかり言う堅物のサラリーマンで、あまり仲良くなれなかった。でも遺品を整理していると、大量の8mmフィルムが出てきた。昔はカメラをもっていたということすら知らず、意外だった。所属していた映画研究会の映写機を使って、すべて再生してみた。そこには、父と母の結婚式や新婚旅行、兄が生まれ、姉が生まれ・・・僕が生まれる前までの、見たことのない米本家の姿が、動画で記録されていた。そして、あり得ないことだが、まるで“父が亡くなることを予期して撮られた映像”のように、僕には感じられた。
当時、この映像を編集して『Private Film』という短編を作り、大学の卒業式の日に母に見せた。映像を仕事にしていくという決意を、母に伝えたい気持ちもあった。映像を見ながら、母は涙した。
他人を題材にドキュメンタリーを作るようになって、改めて思う。父はなぜ、この映像を撮ったのだろうか。不特定多数の人に見せることは露ほども考えていなかったに違いない。ただ、記録しておきたかったのだ。自分のため、そしてもしかしたら、家族のために。こうして撮られた純粋な「記録」は、時代を越え、見る者を越え、新しい意味をもっていく。
僕は母以外、記憶によれば、誰にも見せたことがない。今、ふと思い立って探したが、当時の編集が見つからず、記憶を頼りにつなぎ直した。
“ごく私的な”記録。ドキュ・メメントを9年やってきて、この場なら上映できる気がしています。
紛争地を記録し続ける写真家・亀山亮の展示
八丈島在住で、紛争地を記録し続ける写真家・亀山亮の新作を、会場となる善福寺の境内などに展示します。今年のテーマは「クマと人間」。
北海道や東北では冬眠前のクマの出没騒ぎで日本中が「クマ」「クマ」「クマ」と空前の大騒ぎになった。殺されたクマたちのほとんどは食肉にされることもなくゴミとして処分されていく。山熊田のまたぎたちは自分たち人間もクマも山の生態系の中では同列で豊かな山河がなければ自分たちは生きていけないということを深く理解している。彼らにとって生と死は表裏一体の存在でクマは害獣ではなく、山の神からの授かり物として大切に扱われる。身体性の消失は生物としての人間の生が消滅していくと同時に、他者への創造力も欠如していく。温暖化は地球の環境を大きく変えてしまった。僕の住んでいる八丈でも巨大台風が上陸して大きな被害を受けた。海水温の上昇で南方系の魚が増えて、海藻類は消滅し海の中の生態系も大きく変わった。そしてパンデミックの終焉から世界各地で国家間の大規模な戦争が始まった。戦争は社会に分断を生み出し、古から為政者は「国の安全と平和を守る」というパワーワードで人々を狡猾に敵と味方に色付けし、民族や国籍の違いを理由に人間を記号化して憎悪が増殖されていく。戦争が一度始まってしまうと、後戻りが絶対に不可能な壮絶な破壊と想像を超えた殺し合いが始まる。世界を覆うファシズムの再来によって、私たちは無自覚のままに臨界点を超えて終焉へと向かっているのかもしれない。
<引用元・編集室水平線・雨晴「クマと人間」>
「ドキュ・メメント2026」開催概要
2026年1月24日(土)&25日(日)12:30 開場 13:00 スタート
会場:音響山 善福寺(北品川1-28-9)、そば処いってつ(北品川1-30-23)
▼入場料
≫ラフカット上映(各回入れ替え制)
1/24(土)①、1/25(日)④【軽食なし】……1,000円
1/24(土)②、③【軽食付き】……1,500円
学生・障がい者割引(すべての回)……500円
≫ライブ・ドキュメンタリー ⑤(登壇4本)
1/25(日)【軽食付き】……3,000円
学生・障がい者割引……1,000円
≫1日通し券(お得な1日券)
1/24(土)のラフカット上映3本(①・②・③)【軽食付き】……3,500円
1/25(日)のラフカットと登壇ライブ(④・⑤)【軽食付き】……3,500円
※HPの予約フォームでご予約後、当日、会場で現金でのお支払いとなります。
▼参加方法
人数に限りがあるため、HPの予約フォームからご予約ください。定員になった際は、キャンセル待ちとさせていただきます。
▼定員
ラフカット上映:1/24(土)25(日)の各回 50名ずつ・自由席(先着順)
登壇ライブ:1/25(日)のみ 40名・自由席(先着順)
主催:ドキュ・メメント実行委員会
助成:アーツカウンシル東京 [東京芸術文化創造発信助成(単年助成)]芸術創造活動
協賛:Tokyo Docs 東京ビデオセンター ﹅﹅ Film & Media リトルネロフィルムズ
HP:https://www.documement.com/
お問い合わせ:bug.document@gmail.com