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株式会社WOWOWのプレスリリース
「BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下- at 日本武道館」が、いよいよ3月8日(日)午後9:00からWOWOWで独占放送・配信される。今井寿(Vo./Gt.)、星野英彦(Vo./Gt)、ヤガミ・トール(Dr.)、樋口豊(Ba.)による新体制となって初のオリジナル・アルバム『スブロサ SUBROSA』をリリースしたのが2024年12月。同作を引っ提げたツアーファイナルとして辿り着いたのが、この日本武道館公演である。
厳かなSEと共に薔薇のモチーフを刻んだ幕が上がっていき、大きな歓声と拍手の中でメンバーが位置に着く。樋口が天を仰ぐように身体を反らし、凛と立つシルエットが祈りを捧げているようで目を惹いた。アルバム『スブロサ SUBROSA』の1曲目でもある、「百万那由多ノ塵SCUM」を、今井がギターでコードを撫でるように奏でながら<俺たちは独りじゃない>と歌い始め、やがて4人のアンサンブルを成していく。子守歌にもレクイエムにも聴こえる優しいミディアムバラードを序曲として、ライブはスタートした。
「フ~! 上がっていくよ! Boys&Girls、“雷神 風神 – レゾナンス #rising”」と今井が叫ぶとムードは一変。ダークでゴシックな耽美性は鳴りを潜め、スチームパンクの世界観が漂う舞台セットが露わになる。LEDヴィジョンに稲光が走り、スモークが立ち込める。照明が天井や壁面にもダイナミックに投影されていく。音と映像、照明で織り成す異世界に圧倒され、日常を思い出せなくなる。これがBUCK∞TICKのライブの凄みである。「雷神 風神 – レゾナンス #rising」は今井・星野によるツインボーカルを初披露した、新体制の第一弾シングル。前方で並び立ってパフォーマンスしたかと思えば、向き合う形で中央に設置された二台のシンセサイザーを二人同時に操作して、摩訶不思議なエレクトロサウンドを響かせる。
今井・星野がシンセから離れ再びギターを構えると、今度は樋口が後方の段から降りてきて3人が横一列に並んだ。作品ごとに全く異なる音楽性に挑んできたBUCK∞TICKのリズムの守り神・ヤガミのプレイは、あらゆる変化をどっしりと受容し、緻密なプレイを繰り出していく。4人は驚異的なスピードで変態を遂げ、また別の新しい形を示したのだ。
以後、『スブロサ SUBROSA』の収録曲たちを次々と披露していく。表題曲「スブロサ SUBROSA」はアグレッシヴなテクノビートに乗せて今井がラップし、星野は鞭打つような動作でメタル・パーカッションを強打。「From Now On」では暗号のような短い英語のフレーズを星野が繰り返し、レーザーを効果的に用いた照明演出がミステリアスなムードを高めていく。インストゥルメンタル曲「ストレリチア」は、シュールレアリスティックなアニメーションと共に披露。説明不能、だからこそ想像力を掻き立てられるさまざまな仕掛けが、どの曲にも散りばめられていた。
元来長くMCするタイプのバンドではなく、今井と星野がライブ中に口を開くこと自体稀だった。新体制BUCK∞TICKとなってからは、フロントマンとなった2人が随所で煽るので、ライブに新しいグルーヴ感のようなものが生まれている。今井の曲紹介はパンクアーティストの扇動のようでもあり宮沢賢治の詩のようでもあり、言葉選びも語り方も個性の塊。「いい気分だ。ここで、ガッガッガッガッガッとすっげぇ遠くまで、ぶち上げていきましょう。嵐の夜だ、“冥王星で死ね”」との前口上も、オノマトペを含め独特。ヤガミの勢いよく駆け回るようなタム回しで「冥王星で死ね」が始まると、祭囃子の原型のような躍動的なビートで観客をノせていく。樋口はステージを動き回ってベースを奏で、時にはボディを高く掲げるなど、華やかにパフォーマンスした。
「武道館! 腰を振ってもらえますか?」と星野がファンに呼び掛けクラップを先導し、「paradeno mori」をグラマラスに歌唱。かと思えば、「絶望という名の君へ」ではファルセットを交えながらピュアな歌声を響かせる。メロディアスな楽曲が続いた後は、アブストラクトなインスト曲「神経質な階段」を、謎めいたアニメーションと共にパフォーマンス。醒めない夢の中に居るような心地に誘った。
本編ラスト3曲は、新生BUCK∞TICKを象徴していた。「プシュケー – PSYCHE –」は星野メインボーカルで、エレクトロ要素を含んだダークナンバー。続いて「なあ、見えるか? 天使がラッパを吹いてるぜ」(今井)という言葉から「ガブリエルのラッパ」に突入。樋口がベースのネックをほぼ垂直に立てて、そっと弦に指を置く動作は、儀式の始まりのように厳かだ。添えるようにステージを動き回って歌う今井のオーラは凄まじい。スクリーンには不穏な雲が立ち込め、やがて雨が降ってくる。気付くと星野がステージ後方の台に登っていた。
雨が上がり、天使の梯子が掛かる光の世界へと背後が移り変わると、「3000年後の荒野で、会おうぜ。必ずだ」(今井)と力強く言い放ち、アルバムの最後を飾る曲でもある「黄昏のハウリング」へ。生と死、去来する希望と諦念、輪廻転生を思わせる大きなテーマの曲で、つくり込んだアルバムの世界観の中で唯一、感情が剝き出しのまま封じ込められていると感じる。今井が歌い終えてから、たっぷりの間を取ってヤガミがスティックを振り下ろし、渾身のドラミングへ。今井が掻き毟る長いギターソロは、魂の咆哮そのもの。泣いているように聞こえて胸が締め付けられた。会場ではたしかめられなかったその時の表情、メンバーの様子も、WOWOWのカメラは捉えている。
アンコールで真っ先に登場したヤガミの、緩急の起伏がありながらも一音一音が粒立ってシャープなドラムソロで沸かせたあと、今井、星野、樋口がステージに合流。2025年10月にリリースしたシングル表題曲「渋谷ハリアッパ!」、カップリングの「風のプロローグ」を届け、『スブロサ SUBROSA』から本編では披露しなかった無敵のアッパー・パーティーナンバー「TIKI TIKI BOOM」で盛り上げた。
「行くぜ東京!」(今井) 「武道館!」(星野) 「3月のWOWOWベイビーズ!」(今井)などと盛んに呼び掛けて、「Baby, I want you.」(『ONE LIFE, ONE DEATH』収録/2000年)をツインボーカルで披露。ここまではツアーでも聴かれた選曲だったが、「ラストにもう一曲やるから。皆で楽しもうぜ」との言葉から今井がギターアルペジオを一弾きすると、それが3rdシングル「スピード」(1991年)だとファンが察した瞬間どよめきが起きた。アレンジはほぼオリジナル通りで、今井はステップを踏みながら自由に歌い踊った。すると樋口も前へ出て、頭を左右に揺らしながらにこやかな表情でプレイ。ちなみに、音源では逆再生で伏字扱いだった部分は、2025年に相応しいヘルシーなワードに置き換え、ポップに表現されていたのが印象深い。放送時にご自身でチェックしてほしい。
2023年12月29日、悲報から2カ月で『バクチク現象-2023-』を決行し、活動の続行を誓った。2024年12月29日には、宣言通りリリースしたニューアルバムからの曲と過去の曲を織り交ぜた新体制ライブ「ナイショの薔薇の下」を成功させた。2025年12月29日の「-ナイショの薔薇の下-」は、フェス出演も含む地道なライブ活動の集大成であり、メンバーのパフォーマンスは穏やかな自信に満たされているように感じられた。
「ベイビーズ! ありがとう。美味しい、気持ちいい乾杯がこれでできます。皆も乾杯してください。今日はハレの日。ガガガガッと! 自分の信じた道をまっしぐらに突き進んでください、バイバイ、また会いましょう、PEACE!」と最後の挨拶をした今井。星野は「ありがとう!」を繰り返し、「また来年もいい年にしましょう。おやすみ!」と晴れやかな笑顔で手を振って投げキッス。ヤガミは「今年は本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。今日で武道館44回目だそうで。数えてませんでした(笑)。これからも“ing”で行きますので」と、指を回し“現在進行形”で動いていく、というジェスチャー。樋口は「去年の武道館から1年間、全国たくさん行ってパワーをもらいました、本当にありがとうございました。感謝してます。来年も一生懸命頑張りますので応援してください」と挨拶。サイン入りのタオルを見せながら笑顔で感謝を繰り返し、大きく飛び上がって投げキッスを何度も放った。
新曲の割合は2024年以上に増えていたが、この日だけ特別に選曲された「スピード」をメンバーも楽しそうな表情で歌い奏でており、過去が消え去ったわけではないことも改めて実感できた。新しい姿を見せることと、これまで歩んできた過去を大切にすることは両立し得る。そう思えたことで、未来に希望が持てたファンは多かったのではないだろうか。武道館やライブヒューイングでライブを観た方もそうでない方も、3月8日(日)午後9:00からのWOWOWでBUCK∞TICKの最新の姿をたしかめてほしい。
取材・文:大前多恵/撮影:田中聖太郎
【番組情報】
BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下- at 日本武道館
3月8日(日)午後9:00
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
年末恒例12月29日のBUCK∞TICK日本武道館公演を独占放送・配信!アルバム『スブロサ SUBROSA』、その世界観が完結する特別な一夜。
BUCK∞TICKにとって年末恒例となっている日本武道館公演。WOWOWでは今年もまたその模様を独占放送・配信する。2024年12月に新体制のBUCK∞TICKとしてリリースされた初のアルバム『スブロサ SUBROSA』。2025年は同作を掲げた全国ツアーを行ない、10月からは新たに「BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-」を開催。日本武道館公演はそのファイナルという位置付けで、『スブロサ SUBROSA』の世界観が完結する特別な一夜となる。今井寿と星野英彦、両ギタリストがボーカルを司り、ギターだけでなくシンセサイザー、メタル・パーカッションなどを駆使した独特な演奏スタイルを魅せ、その前衛的なパフォーマンスを、ヤガミ・トール(Dr.)と樋口豊(Ba.)による盤石なリズム隊が支える。予測不能な進化を遂げている新生BUCK∞TICKの姿を、ぜひお見逃しなく!
収録日:2025年12月29日
収録場所:東京 日本武道館
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