【映画館でバレエを】『ル・パルク』公開記念プレトークショー開催!秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル)&森菜穂美(舞踊評論家)がスクリーンで楽しむバレエの魅力を語る/パリ・オペラ座 IN シネマ 2026

東宝東和株式会社のプレスリリース

 350年以上の歴史を誇り、世界最古にして最高峰の芸術殿堂として名高いパリ・オペラ座。その舞台では、多くの名作が初演され、現在も世界中の観客を魅了し続けている。そんな伝統と革新の精神を受け継ぐパリ・オペラ座の最新公演や不朽の名作を、映画館で体感できる『パリ・オペラ座 IN シネマ 2026』が、昨シーズンに引き続き公開決定!2026年1月23日(金)~3月19日(木)の期間中、厳選された全2演目を各1週間限定で全国の劇場にて上映されている。まるでパリ・オペラ座の良席で鑑賞しているかのような臨場感と、映画館ならではの迫力ある音響で、日本にいながらパリ・オペラ座の芸術を贅沢に楽しむことができる。

オペラ座『ル・パルク』の公開を記念し、プレトークショーを開催!

東京バレエ団のプリンシパル・秋山瑛と舞踊評論家・森菜穂美が本作の魅力を語り尽くした!

左から森菜穂美(舞踊評論家) 秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル)

『パリ・オペラ座 IN シネマ 2026』「ル・パルク」プレトークイベント 概要

3月13日(金)

【会場】 TOHOシネマズ 日本橋 スクリーン6(東京都中央区日本橋室町2丁目3−1 コレド室町2 3F)

【登壇者(敬称略)】秋山瑛(東京バレエ団/プリンシパル)、森菜穂美(舞踊評論家)

MC:溝渕俊介

左から森菜穂美(舞踊評論家) 秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル) 溝渕俊介

 3月13日(金)、TOHOシネマズ 日本橋にて、パリ・オペラ座 IN シネマ 2026「ル・パルク」上映イベントのプレトークショーが開催され、東京バレエ団プリンシパルの秋山瑛と舞踊評論家の森菜穂美が登壇。上映前の観客に向けて、本作の魅力やバレエ鑑賞の楽しみ方について語った。

『ル・パルク』は、現代バレエを代表する振付家のアンジュラン・プレルジョカージュが1994年にパリ・オペラ座のために創作した作品。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの名曲を中心に、クラシック・バレエの技法とコンテンポラリーの感性が融合した傑作として知られている。今回の上映では、パリ・オペラ座のスターであるマチュー・ガニオとアリス・ルナヴァンの競演も大きな見どころとなっている。

 イベントではまず、MCから作品の概要が紹介された後、本作の印象について聞かれた秋山は「『ル・パルク』はよくガラなどで最後の“解放のパ・ド・ドゥ”がとても有名でご覧になった方もいると思います。私は何度も舞台で客席から観ていますが、(モスクワで開催された)ブノワ賞のガラ公演の時に舞台袖から観る機会があり、その時にダンサーの表情や息づかい、人に触れる時の温度感までが見えるように感じて、改めて本作の魅力に気づかされました。そして今回、全幕をシネマで観て、こんなに素敵な作品なんだという衝撃がありました。セリフはないのに、まるで本当にセリフが聞こえてくるような感覚になり、相手の顔を手でなぞるような動きに、温かみや感じるものがたくさん込められていて、こんなにも観ている方に伝わってくるものがあるんだと感じます。(観客の)皆さんもこれからご覧になってきっと同じ感想を抱かれるのではないかと思っています」とシネマを通して感じた本作の魅力を明かした。

秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル)

 さらにクラシック作品とコンテンポラリー作品を踊る際の違いについて質問が投げかけられると、秋山は「トウシューズを履いている、履いていないという違いや、クラシックに明確にはない要素もあります。私がより違うと思うのは、物語があるものです。『眠れる森の美女』のように、物語が知られているものを踊るときとの違いで、演じる私たちがこの振付にはどんな意味があるのかというのを振付家に聞いたり、自分でこうなのかと感じたりすることは、お客さんに説明しなくても絶対に伝わるものだと思っています。物語が決まっている作品以上に明確な物語がない作品の時は、これはどんな作品か、この動きにはどんな意味があるのかなどを、自分の中で持っていることが踊るための助けになっています」と説明した。

 一方、森は評論家の視点から本作の魅力について解説。「本作は“フライング・キス”の場面がとても有名ですが、全体で観るととてもユーモアがあって、そこがとても魅力的です。私は2008年のマニュエル・ルグリが主演の来日公演を観に行って、その時は3階の後ろの席で観ました。3階席からでも楽しめますが、映画館だとクローズアップでダンサーの姿を楽しむことができます。ダンサーの体温が感じられるような、指先や視線など細かいニュアンスまで楽しめるのは映画で観る魅力だと感じています」と映画館上映ならではの魅力を紹介。さらに、「4人の庭師というキャラクターがとても好きで、どこか可愛らしさがあるので皆さんにもぜひ注目してほしいです。また本作の音楽はモーツァルトで、東京バレエ団の『小さな死』という別のイリ・キリアン作品でも同じ音楽が使われていますが、ぜひ振付の違いを見比べてみてほしいです。そして、衣装はパリ・オペラ座が生まれたときのルイ14世のゴージャスな衣装を使っているのも見どころです。コンテンポラリーだけれど、椅子取りゲームなどを取り入れたユーモラスな場面があり、面白い作品ですので、ぜひリラックスして楽しんでいただけたらと思います」と作品の見どころを挙げた。

森菜穂美(舞踊評論家) 

 秋山は本作のようにクローズアップで観客に観られることについて聞かれると、「正直、どんな顔をしているか保証できないところはあります(笑)。でも本当にそこが素敵なんです。今回初めて『ル・パルク』を全幕で観ることになった時、正直飽きずに観られるか不安でしたが、引き込まれてしまって一瞬で終わってしまいました。アップで表情が観られるということも飽きない理由だったと思います」と笑顔を見せた。

 トークではさらに、オペラ座バレエ団の魅力についても言及。秋山は「最古の伝統的ですばらしいバレエ団です。私がダンサー目線で思うことは、フレンチスタイルというアームスや首の角度、足の使い方、ポワントワークなど、オペラ座のダンサーは他のバレエ団のバレエダンサーよりも“何か”が違うと感じています。ダンサーとして、培われてきたメソッドからなる逸脱しないポジションから生まれていると思います。それがオペラ座の品や美しさに繋がっていて、観ているファンとしても、オペラ座の特別さはそういったフレンチスタイルからきているのだと感じています」と語り、森も「秋山さんがおっしゃってくださったように、『ル・パルク』はコンテンポラリー作品で、オペラ座が300年にわたって築き上げたこのフレンチメソッドも息づいていると思います。新しいものを取り入れつつ、基本のエレガンスは絶対に保っているというところがオペラ座の魅力です」と明かした。

 さらに森は「『くるみ割り人形』のようなヌレエフ作品だと、鬼のようなテクニックが取り入れられていますが、秋山さんはいかがですか?」と問いかけると、秋山は「素敵だと思いますが、いざやると本当に難しいです。『ル・パルク』は表現をすることがとても多く、相手に対する振り向いてほしいという感情や、拒絶の気持ちを、身振りやマイムは大げさではないのにすごく伝わってくるんです。小さな動きやニュアンスで、すべてを伝えてくれていることがオペラ座の魅力のひとつだと思います」と続けた。

 続いて、英国ロイヤル・バレエのシネマシーズンの話題へ。英国ロイヤル・バレエ団の魅力について秋山は「先ほどオペラ座は少ない動きで伝えられるとお話ししましたが、ロイヤル・バレエ団はアームスの豊かさや上体の使い方が自由で、より動きや演技で魅せていると感じています。アシュトンの素早い足運びももちろんありますが、ロイヤル・バレエも素晴らしいバレエ団です」、森は「演劇性がとても豊かで、舞台の中にいる登場人物がそこで生きているということがロイヤル・バレエの魅力です」と魅力を紹介した。

 さらに話題は秋山が所属する東京バレエ団の活動にも及び、秋山は「3月20日~22日に上野水香さんのガラがあり、5月5日・6日には日本人演出・振付家の金森穣さんが手掛けた『かぐや姫』の上演を予定しています。私にとっては難しい作品でしたが、『ル・パルク』を観て、もう少し良いものにできるかもしれないと思いました。ぜひ興味のある方は観に来てください」と今後の公演予定なども紹介した。さらに日本人振付家について秋山は、「『かぐや姫』は日本の昔話からつくられている作品です。作品の中で月を見上げるシーンがありますが、「月を見ると切なくなる」といった、日本で生活している中で感じる共通認識のようなものが、表現や作品の中でつながり合うものがあると感じました。海外の方から新しいアドバイスもありますが、日本人だからこそもらえる演じる助けがあると思います」と思いを明かした。

森は東京バレエ団の魅力について「コールド・バレエが本当に素晴らしいです。ロイヤル・バレエやオペラ座より美しく揃っていて、世界最高です」と熱弁した。

 イベント終盤には、サプライズとして『ル・パルク』に主演するパリ・オペラ座のエトワール、マチュー・ガニオから日本の観客へ向けた特別メッセージが紹介された。MCによる代読で届けられたメッセージの中で、ガニオは「日本のファンの皆さんがこのバレエを全編で観られることをとても嬉しく思います」と日本の観客へ呼びかけ、これまで日本では全幕を通して踊る機会がほとんどなかったことにも触れつつ、今回の上映への喜びをコメント。さらに、コロナ禍の無観客で撮影された今回の映像について、「振付家のアンジュラン・プレルジョカージュがカメラの後ろから演出を指示できたことで、彼のビジョンが映像にしっかり反映されている。単なる記録ではなく映画作品として成立している」とメッセージを寄せ、「この作品が多くの方に観てもらえることを嬉しく思います」と日本の観客へ思いを届けた。

 約30分にわたるトークショーは終始和やかな雰囲気の中で進み、会場からは大きな拍手が送られる中、イベントは幕を閉じた。

ガニオからのメッセージを代読する溝渕俊介

秋山 瑛(あきやま あきら) プリンシパル プロフィール

                      

7歳よりバレエを始める。2012年に東京バレエ学校を卒業後、リスボンの国立コンセルヴァトワールで2年間学ぶ。その後、イタリアのカンパーニャ・バレット・クラシコに入団、2015年まで、パレルモ・マッシモ劇場、ミラノのテアトロ・ヌオーヴォ、モデナのテアトロ・ミケランジェロ、メッシーナのテアトロ・メトロポリタンなどイタリア各地の劇場で踊り、『パリの炎』、『くるみ割り人形』、『眠れる森の美女』、『エスメラルダ』などの作品の抜粋に出演した。同カンパニー在籍中には、イタリアのMabコンクールで特別賞を受賞、また、ドイツのタンツオリンプでは銅賞を受賞した。

2016年1月に東京バレエ団に入団。2022年4月にプリンシパルに昇進した。

主なレパートリーに、ブルメイステル版『白鳥の湖』のパ・ド・カトル、四羽の白鳥、ナポリのソリスト、『ドン・キホーテ』のキトリ/ドゥルシネア姫、『くるみ割り人形』のマーシャ、マカロワ版『ラ・バヤデール』のニキヤ、『海賊』のメドーラ、『ジゼル』のジゼル、『ラ・シルフィード』のエフィー、『パキータ』の第2ヴァリエーション、『タリスマン』のパ・ド・ドゥ、子どものためのバレエ『眠れる森の美女』のオーロラ姫、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』のキトリ/ドゥルシネア姫、『ザ・カブキ』の現代のおかる、ベジャール版『くるみ割り人形』の妹のクロード、『M』の円舞曲、『ギリシャの踊り』のパ・ド・ドゥ、ベジャール版『ロミオとジュリエット』パ・ド・ドゥ、ノイマイヤー振付『スプリング・アンド・フォール』などがある。

バレエ団初演作品にバランシン振付『セレナーデ』(2018年)、プティパ振付『騎兵隊の休息』のパ・ド・ドゥ(2018年)、『くるみ割り人形』のマーシャ(2019年)、クランコ版『ロミオとジュリエット』ジュリエット(2022年)、金森穣振付『かぐや姫』のかぐや姫(全幕2023年、世界初演)、『眠れる森の美女』オーロラ姫(2023年)などがある。

令和5年度(第74回)芸術選奨舞踊部門において文部科学大臣新人賞を受賞。

<バレエ『ル・パルク』作品情報>

【STORY】

庭園で貴族たちは駆け引きと椅子取りゲームに興じている。「彼」は男装した女性たちを物色し、「彼女」は無関心を装う。だが「彼」は「彼女」に気づいている。表向きは整然としているが、混乱を招く誘惑の駆け引きが始まった。「出会いのパ・ド・ドゥ」。「彼」は情熱的な一方で「彼女」は不安げだが、二人とも一緒の気持ちであることに気が付く。二人は会話を交わすが、「彼女」が失神するまでお互いに触れることをためらう。「彼ら」は、上品な社会のルールに忠実であり続けつつも、そこから抜け出そうともがいている。

女性たちは服を少し脱いでコルセット姿となり、もっと愛される予感を感じている。「彼女」は赤いドレスを着ていて、好奇心を持ちながらもまだ不安な気持ちがある。男性たちが現れ、そのうちの一人は「彼」だった。「彼」は別の女性と戯れ、相手を見つけられなかった男性たちはフラストレーションを踊りで表現する。「抵抗のパ・ド・ドゥ」。庭師たちは目隠しされた「彼女」を庭園の木陰へと連れていく。「彼」は「彼女」の気を惹こうとするが「彼女」は拒絶する。「彼」は心も身体も「彼女」へと捧げようとしているが、「彼女」は結末を恐れている。もしかしたら体は許しても心は許せないのかもしれない。

「彼女」は悪夢にとらわれていて、庭師たちに操られている。深夜に女性は失われた愛を嘆く。「彼」は欲望に燃え、他の男たちを煽る。男たちの何人かは、女性がどれほど彼らに依存しうるか、あるいは依存するかを悟る。誘惑が時に男性に「足枷」をもたらすこともあるが、女性にとってはあらゆる結果——出産やそれによる死までも——が身体に深い痕跡を残す。「解放のパ・ド・ドゥ」。「彼ら」が踊ると、それぞれが踏んでいたステップが一つへと癒合する。フライング・キスは愛についての最も見事な決意表明だ。でも愛が永遠に続くということを誰が信じようか。

エピローグ

空が暗くなって嵐が近づくと、庭師たちは最後のメッセージを伝える。

《ル・パルク》

音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

振付:アンジュラン・プレルジョカージュ

舞台デザイン:ティエリー・ルプルースト

衣裳デザイン:エルヴェ・ピエール

照明デザイン:ジャック・シャトレ

演奏:パリ・オペラ座管弦楽団

指揮:ベンジャミン・シュワルツ

ピアノ:エレナ・ボネイ

映像監督:ルイーズ・ナルボニ

【出演】アリス・ルナヴァン マチュー・ガニオ ほか

<料金:一般3,000円/学生2,000円(税込)>

■公式サイト:https://tohotowa.co.jp/parisopera/ 

■公式X:https://x.com/CinemaOParisJp

■公式Instagram:https://www.instagram.com/cinemaoparisjp 

■配給:東宝東和

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